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騒乱のキルギス、タイをめぐる大国の思惑

米露中の勢力バランスはどうなる?

  • 鍛冶 俊樹

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2010年4月19日(月)

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 4月7日、中央アジアのキルギスの首都ビシケクで騒乱が発生した。クルマンベク・バキーエフ大統領は首都を脱出し内閣は総辞職、国会は解散し翌8日、女性のローザ・オトゥンバエワ元外相が臨時政府の樹立を宣言した。

 バキーエフ政権の汚職・腐敗ぶりに国民の不満は募る一方であり、3月からは抗議行動も表面化していた。4月7日も首都で約5000人のデモ隊が治安部隊と衝突するとともに各地で暴動が起こったという。しかし、ろくな武器も持たない単なる群衆が国軍によって守られている国家元首を放逐できるわけはない。映像では治安部隊とデモ隊の衝突する様子だけが繰り返し映し出されるが、そこには映像に映らない背後の真実が隠されている。

 キルギスの陸軍には旧ソ連製の戦車T72が約200台配備されているが、ニュース映像を見る限り戦車の影はない。つまりデモ鎮圧に当たっている治安部隊とは警察部隊であり、国軍ではないと見ることができる。大統領が身の危険を感ずる事態になって国軍の出動を命じないわけはないから、当然命じたはず。となると、国軍は出動命令を拒否したのであろう。

 つまり国軍は大統領追放に協力したわけだ。また同時に各地で暴動が起きるというのも、デモ隊が単なる烏合の衆ではないことを示している。背後に統一した指令組織がなければ、こうした動きは不可能であろう。

米露の軍事基地があるキルギス

 また注目すべきはこの4月7日という日付である。この日、バラク・オバマ米大統領はプラハで行われる米露核軍縮条約調印のため移動中であり、この政変についてコメントできない状況にあった。米国はキルギスに空軍基地を置いており重大な関心を抱いて当然であるが、コメントできない状況にあるのを見計らって政変が引き起こされたと考えるの自然だろう。

 こうして見ていくと、この政変劇の背後にいる存在としてロシアが浮かび上がってくる。キルギスは旧ソ連に属しており、現在でもロシアの影響力は依然として強い。特にキルギス軍には武器の供与などを通じて指導力を発揮しており、さらにロシアはキルギスに軍事基地を置いている。キルギスの情報機関なども旧KGB(国家保安委員会)時代の名残をとどめており、事実上ロシアの出先機関であろう。軍と情報機関が協力すれば、治安機関の動きを制することは簡単にできる。

 騒乱直後に、ロシアのウラジミール・プーチン首相は「今回の騒動にロシアは関与していない」と声明したが、旧KGB出身のこの首相の不関与発言を真に受ける情報関係者はいないだろう。しかもバキーエフ大統領が行方不明と報じられた段階で「この政権は腐敗がひどく国民に見放された」と、政権復帰を否定するコメントまでしている。

 オバマ大統領はプラハに着きロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領からこの政変についての説明を受けたのだろう。新たに設立された臨時政府について否定的なコメントを控えている。ちなみに臨時政府の代表となったオトゥンバエワ元外相はモスクワ留学の経験もある外交官出身であり、臨時政府設立直後にプーチン首相と電話会談を行い、ロシアはこの臨時政府を承認している。ロシアはさらに首都ビシケクに空挺部隊を派遣したというからできすぎたシナリオとしか言いようがない。

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