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「3年で職を失う」不安を抱えたまま働く

事務派遣の31歳女性のケース

  • 小林 美希

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2010年4月26日(月)

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 「このままでは、先が見えない」

 松田亜紀さん(仮名、31歳)は、非正社員のまま8年になる。

 大学卒業後、事務職の派遣社員として働き出した亜紀さん。卒業した年は、超就職氷河期の真っ最中だった。「いつか正社員になりたい」と、派遣会社に登録して働きながら転職や正社員登用を狙うことにした。

 最初の2年間で何社かの派遣を経験。現在働いている不動産会社で働き始めてから6年目に入った。最初は時給1500円、3カ月更新という条件で一般事務職として、庶務や経理、調査業務のアシスタントなどの仕事を始めた。

 派遣先では、上司から「正社員になってくれたらいいのに」と言われていた。半年で時給は50円アップ、2年目にまた時給が50円上がり、1600円になった。月収は約25万円。そこから交通費や社会保険料、税金が引かれると手取りは約20万円だったが、「この調子で頑張れば、正社員になるチャンスがあるかもしれない。もっと仕事を覚えたい」。そんな期待に胸を膨らませ、進んでどんな仕事も回してもらった。

 派遣社員で働いて3年になる直前、上司から「3年経つと正社員にしなければならないから、うちでこのまま働くには、いったん契約を打ち切らせてほしいと人事部が言っている。そうすれば、しばらくしたら、また来てもらえるから」と、クーリングオフを提案された。

派遣切りは改善されたのか?

 労働者派遣法では、安易な正社員の代替としての派遣制度の利用を防ぐため、通訳など専門的な26業務以外の職種では派遣期間は3年が上限と決められている。一般事務などで3年を超えて同一業務に携わる場合、派遣先はその職種を採用する際に、3年働いていた派遣社員に対し、優先的に直接雇用(正社員や契約社員、アルバイトを指す)を申し出る義務がある。

 2004年の労働者派遣法の改正で、派遣期間が1年から3年へ延長されたことをきっかけに、大手企業を中心に「コンプライアンス(法令順守)重視」と、直接雇用を嫌う企業が3年経った派遣社員や派遣契約を一斉に打ち切るという、一般事務職の派遣切りが横行し、その慣行が浸透。2年11カ月という、労働基準法が定める「雇い止めの30日以上前に予告する」というギリギリのところでの派遣契約の打ち切りが行われるようになったのだ。リーマンショック後の製造業の派遣切りより以前から、こうした問題は起こっていた。

 このいわゆる“3年ルール”があるため、派遣社員が同じ職場で3年を超えて働く場合、派遣先が直接雇用する意思がない以上、3年を超えないように契約にクーリング期間を設けるという現象が起こった。このクーリング期間については、厚生労働省の「派遣先が講ずべき措置に関する指針」によって、「同一の業務について契約を更新する場合、直前の契約と次の契約の間が3カ月を超えない場合、継続した契約とみなす」と規定されていることから、それを拡大解釈したものと言える。

 こうした実態は、派遣だけでなく契約社員などの有期労働契約も同じで、労働者派遣法が改正された同じ年の2004年は、労働基準法も改正され、有期労働契約の期間の上限が1年から3年となったことで、契約社員などにも“3年ルール”による非正規切りが起こっていた。この傾向は、大手企業ほど顕著だった。

 のちに、こうした“3年ルール”による派遣切りが社会問題化し、正社員登用が進んだ。が、「コンプラ重視」によるものである以上、雇用の質としては“名ばかり正社員”の域を超えるものではないことが少なくない。

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