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ゴールドマンとゆうちょ銀行のデジャブ

リスクは過小評価されるという不都合な真実

  • 竹中 正治

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2010年5月10日(月)

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 米証券取引委員会(SEC)が米ゴールドマン・サックスを情報開示不正の容疑で4月に提訴した。それに関連して開催された連邦議会の上院公聴会(4月27日)の報道記事を読んで私は強い既視感(デジャブ)に襲われた。

いつか見たゴールドマンのデジャブ

 議会の公聴会では議員らが同社の証券化事業に従事していた社員(Fabrice Tourre)の電子メールなどを証拠に引用し、同社の責任と容疑を追及した。電子メールの文面が示唆するのは、市場でバブル崩壊が起こり始めていることを承知で自ら組成した証券化商品を「カモ」の顧客に売り抜ける姿だ。

 IT(情報技術)バブル崩壊後の2001~02年に起こった米エンロンや米ワールドコムなど一連の企業会計粉飾事件の時も同様のことが発覚した。米メリルリンチのIT企業担当の人気証券アナリストが肯定的な評価を公表していたIT企業銘柄に対して、内部では「くず(junk)」と語っていた電子メールが暴露された。

 今回SECが問題にしているのは、2006年末から2007年初にかけてゴールドマンが組成して販売した「アバカス(ABACUS)」と呼ばれるCDO(債務担保証券)の一種であり、その担保となる資産の選定に、当該資産価格が下落すると利益が得られるヘッジファンド(Paulson & Co)が関わっていたことだ。この事実をゴールドマンは投資家に開示しなかった。

 訴追の件に限らず、住宅バブル崩壊の兆しが出ていた2007年第1四半期にゴールドマンが自ら組成した同分野の証券化商品(自社の投資在庫)を内外の機関投資家相手に売り抜き、その後の価格暴落による損失を最小限にしたことは、これに関わった金融業界人の間では周知の事実だ。

 連邦検察当局もゴールドマンに対して詐欺罪での調査を開始したと報道されている。クリントン政権ではルービン長官、ブッシュ政権ではポールソン長官など歴代財務長官を同社の経営幹部出身者が務め、権力と金融市場を制したかに見えた同社であるが、「驕れる平家は久しからず」の展開になるかもしれない。

リスクは過小評価される

 ゴールドマンの問題について私は報道されている事実しか知らない。ゴールドマンのCDO売り抜け手口は興味深いが、長くなるので本稿では省略する。ご関心のある方は筆者のブログをご覧頂きたい。

 ここでは視点を変えて一連の損失を被った投資家側の問題を考えてみよう。今回のバブル崩壊で莫大な損失を生んだ証券化商品の購入者は、米国内外の機関投資家、金融機関だった。

 彼らは素人ではない。

 リスク管理部署に多くの専門スタッフを擁し、高度なリスク管理システムで投資資産を管理している。にもかかわらず、なぜリスクを過小評価し、あっけなく巨額の損失を被ったのだろうか。この点を考えるとリスク評価と管理に潜んでいる問題が浮かび上がる。

 金融機関、機関投資家、大手企業は今日ではVaR(Value at Risk)と呼ばれる資産ポートフォリオのリスク管理手法を使用している。VaRは1990年代の初め頃に米国で開発され、90年代に世界中に普及し、リスク管理に大きな革新をもたらした手法だ。

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