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多数決で決められないこともある

  • 後藤 啓二

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2010年5月13日(木)

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 10年前であれば、政治の話をする機会はそれほどなかった。しかし、2004年の小泉劇場以来、好む好まざるを別に、家や職場、盛り場で、政治について見聞きし、語る機会が増えている。

 例えば、民主党幹事長の小沢一郎氏を巡る政治資金規正法違反疑惑では、東京地検特捜部は氏を事情聴取した。鳩山由紀夫首相に関しても偽装献金事件で脱税疑惑まで浮上し、秘書らは起訴され有罪が確定した。その後、検察は小沢氏、そして鳩山首相の起訴には持ち込めず、そして検察審査会は小沢氏については「起訴相当」、鳩山氏は「不起訴相当」と判断を下すというねじれが起こっている。そして、小沢氏には再度の事情聴取が検討されているという。いずれにせよ、鳩山首相、小沢氏のふたりとも、十分な説明責任を果たしたとは見なされていない。

 誰しもが、この問題について考えたり語ったりしたことがあるはずだ。しかし、どれだけの人が根本的に、こういった動きの、いったいどこが問題なのかを理解しているだろうか。例えば、説明責任に関して言えば、小沢氏も鳩山首相も「国民は理解してくれているはず。選挙で選んでくれたのだから」といった意味のことを発言するに留まっている。確かに民主党は選挙で大勝したのだから、それが民意と言えなくもないような気がするが、果たしてどうなのか――政策の中身も大いに関心があるが、その前に、はじめての民主党政権の政治姿勢、権力の行使の仕方に、戸惑っている方も多いのではないか。

 今回は、23年間の警察官僚経験を経て現在は弁護士の後藤啓二氏に登場いただき、国家とは、政治とは、政権とは、簡単に言うと、どんなもので、どんな風になっているのかを、入社15年目の会社員・花子と、入社5年目の会社員・太郎が学びます。

後藤 まずですね、政権党は、「選挙で勝ったから何をしてもいい」わけではありませんよ。

太郎 あ、そうなんすか。

花子 そう言いたくなることもあるけど、でも、実際に私たちが選挙で選んだわけだし、と思考がループするんですよね。「何をしてもいいのではない」と言い切れる根拠はどこにあるんですか。

後藤 まず、日本は民主主義国家であるということです。民主主義ってなんだか知っていますか。

花子 え。民主主義ですか。きちんと考えたことがないですね。

太郎 ノリとしては「みんなで決める」的な?

花子 すみません、教えてください。

後藤 民主主義とは一般に「民意によって政治を行うこと」とされています。日本のような間接民主制をとる国では、民意は選挙によって明らかにされるものと見なされています。多数決ルールで民意が決定されると言っていいでしょう。これに基づくと、選挙で勝った党の政策が民意である、と一応は言えます。

太郎 なら、「『選挙で勝ったから何をしてもいい』わけではない」って言えなくないっすか?

花子 そうよねえ。だって、選挙で勝った民主党の政策が、民意ってことなんですよね?

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後藤 そこには盲点があります。まず、先の衆議院選挙の投票率は69.28%です(小選挙区、以下同)。そして、民主党の得票率は47.4%です。かけ算をすると、約33%。国民の3割ちょっとが民主党を支持しただけとも言えるのです。

太郎 へえ、意外と少ないすね。

後藤 そうです。圧勝したはずの政権党を支持しなかった国民も多いのです。また、投票をした人もすべてを委ねたわけではないですよね。ですから、すべてを多数決で解決しようとすると、政権党を支持しない国民はもちろん、その他の人も含めて、多くの権利や利益を不当に害する恐れがあります。それなのにすべてを多数決で決められるとなると、多数党の独裁を認めることになりかねません。

花子 けれど、多数決でもして決めないと物事が進まないという側面もありますよね。どこまでは多数決で決めてよくて、どこからはまずいのかがよくわからないんですが。

コメント17件コメント/レビュー

国会改正法法案など、これまでに定められた法律に関係なく、専門家の意見を廃し、与党の認識のみにて合憲と判断できるようにする法律の提案などは、完全に行き過ぎており、法治国家ではなく、人治国家への転換を進め得るものであると考える。これまでの法律を…などとの意見もあるようですが、これまでの法律は、それ以前の法律にのっとって作られてきていますが、この法案はそれを無視してよいというようなものです。こうした法案を提出し、十分な話し合いをせずに、衆議院を通してしまった民主党政権が行過ぎていることは明白と私は考えます。と、このような意見を出しましたが、これすら禁じ、このような意見を出した者を逮捕する法案すら合憲としうるわけです。(2010/05/14)

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国会改正法法案など、これまでに定められた法律に関係なく、専門家の意見を廃し、与党の認識のみにて合憲と判断できるようにする法律の提案などは、完全に行き過ぎており、法治国家ではなく、人治国家への転換を進め得るものであると考える。これまでの法律を…などとの意見もあるようですが、これまでの法律は、それ以前の法律にのっとって作られてきていますが、この法案はそれを無視してよいというようなものです。こうした法案を提出し、十分な話し合いをせずに、衆議院を通してしまった民主党政権が行過ぎていることは明白と私は考えます。と、このような意見を出しましたが、これすら禁じ、このような意見を出した者を逮捕する法案すら合憲としうるわけです。(2010/05/14)

民主党も自民党もあまり変わりはないと思いますが。冒頭で、選挙で大勝した民主党の批判を行い「自民党は民主主義をサボっていただけ」と言っているが、自民党だって、低投票率のもとで既得権益を守ろうする組織票をバックに選挙で勝ってきたはず。森元首相の「寝ていればいい」発言もあった。政治資金うんぬんにしても、収賄疑惑で起訴された後も次の選挙で当選すれば「みそぎを受けた」という自民党議員は多くいた。自民党を擁護し民主党批判するようなミスリードは止めて欲しい。批判するなら同列に客観的に批判して欲しい。数の論理については、小沢幹事長が自民党幹事長時代も同じことを言っていた。小沢幹事長が抜けて、自民党に策士がいなくなっただけのこと。ただ小泉さんは策士だったな。(2010/05/14)

既に他にコメントされている方もいらっしゃいますが、なぜ民主党のときだけ批判をされる(因みに私は民主党支持でないし、前回選挙も他党に入れましたが)? 多数決で押し切ることは、自民・公明の連立政権も多用されていたのに、こちらはいいのですか?支持率が絶対的でないのに多数の議決は小選挙区制(特に日本のようなドント式で配分するとさらに)だと必ず起こる弊害だと、導入前から批判されていたのに、「批判をしている社・共のような政党がおかしく、小選挙区制こそグローバルスタンダードだ!」という言い方を、マスコミも筆者のような法律関係の専門家・特に専門を持たない評論家のような方々も口をそろえて絶賛し、導入させたのでは? 散々ほめ散らかしたり、推奨したものを、自分の意とそぐわぬ効果を発揮し始めたから悪く言うというのは、非論理的だし、ご都合主義では?(2010/05/14)

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