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行政を担うのは政治家か、官僚か?

  • 後藤 啓二

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2010年5月17日(月)

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前回は、「法の支配の下にある国家、日本では、圧倒的な議席を確保した与党でも何でも許されるわけではない」ということを改めて学んだ花子と太郎。今回は、さらに法の解釈から官僚の役割へと話が続く。

花子 後藤先生は前回、『政権が変わったからといって簡単に法の解釈が変わる国は、もはや法の支配の下にある国家とは言えない』とおっしゃいましたよね。でも、ですよ、政権が変わっても変わらない法の解釈や制度の運用は、誰がするんですか? 日本では今まで、いったい誰がしてきたんですか?

後藤 最終的には裁判所ですが、まずはその法律や制度を所管する官庁であり、内閣としての解釈や憲法の解釈については内閣法制局です。ご存じですか?

太郎 内閣法制局。内閣で、法制を…。

花子 すみません、よく判りません。

後藤 内閣法制局とは、内閣、つまり政府が新しい法案を国会に提出する前に、すでにある法律と矛盾がないかを審査し、内閣や各省庁からの問い合わせに対し、法律的な見地から意見を述べる、法律の専門機関です。

花子 各方面からの「この解釈で問題ないか?」という問い合わせにも答えるわけですか。

後藤 そうです。私は2年間、自民党政権下の内閣法制局で仕事をしたことがあります。内閣法制局は、自民党の一部からは煙たがられていましたが、慎重に、憲法を侵さないように法律や制度が整備されることを念頭に業務に当たってきました。それはもちろん、日本が法の支配の下にあるからです。

太郎 内閣法制局で働く人って、どんな身分でしょう?司法の人?行政の人?

後藤 どちらもいます。

花子 うーん、そうすると、これまでは、法の解釈を、司法関係者はいいとして、官僚が行ってきたということですよね。

太郎 それっていわゆる官僚による政治支配ってやつか!!

花子 こら、言葉が過ぎるわよ。

太郎 すいません、ちょっと言ってみたかったんです。「いわゆる官僚による政治支配」って。

後藤 そう感じてしまうのは、さきほどお話しした、自民党時代の政権運営のせいかもしれませんね。彼らは官僚頼りが過ぎて、本来なすべき仕事をしていない側面もありました。

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花子 ですよね。だから、自民党も民主党もちょっとアレだけど、官僚だけは絶対にイヤ、という雰囲気があるんじゃないですか。この人たちにだけは支配されたくない、という。

太郎 そうそう、自分もそれが言いたかったんですよ。

後藤 さきほどの「官僚による政治支配」ですが、支配とは違うと思いますよ。内閣や大臣といった「時の政権」が法的に誤ったことをしそうになったときに、専門家として意見を言うのですから。それを尊重するかどうかを決定するのはあくまで内閣であり、大臣ですね。ただ、これまでの法律解釈や実務、判例、法律学者の見解などを踏まえて官僚が専門的見地から判断しているものを、時の政権が「政治主導だ」「政治家は官僚のいうことは聞く必要はない」などといって、どんな風にでも変えられるのだとしたら、その方が危険です。例えば、天皇陛下の外国要人との会見ルールが1例です。

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