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腫瘍部分のみを破壊

粒子線ガン治療(三菱電機、日立製作所)

2010年5月17日(月)

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切らずに治すガン治療として知られる粒子線治療。X線に比べて体への負担が少ない夢の治療だが、高額な治療代がネックだった。医療保険の充実で、誰でも受けられる医療に変わりつつある。

 今年春、サムスン電子の会長に電撃復帰した李健熙(イ・ゴンヒ)会長。巨大コングロマリット(複合企業)の舵を取る名経営者に体の異変が生じたのは、2005年のことだ。すぐさまチャーター機で渡米、行き先はガン治療で有名なテキサス大学MDアンダーソンガンセンターだった。検査で異常が見つかり、放射線治療を受けた。

 切らずに治すガン治療として知られる放射線治療。だが現在、その放射線治療より確実に腫瘍組織を破壊し、かつ副作用が少ない治療法として広まりつつあるのが、粒子線治療だ。従来の放射線治療では効果が薄かったり、外科手術では手の施しようがなかったガン治療の手法として、成果を積み重ねている。

 粒子線治療には「重粒子線」と「陽子線」の2種類の放射線を使った治療方法がある。陽子などを高速に加速してできた放射線の一種で、得られるエネルギーを用い治療する。

 右のグラフは、皮膚から15cmの場所に腫瘍がある場合のエネルギー量の比較だ。従来の放射線治療に用いられたX線は中性子線と呼ばれ、体に照射するとエネルギーが皮膚付近を頂点に減衰する。狙うはずの腫瘍に到達するまでにエネルギー量が減り、逆に正常組織には過剰な照射で皮膚の潰瘍など、副作用をもたらす可能性がある。

 一方、粒子線治療に用いられる陽子線や重粒子線は、体内に入射されるとそのエネルギーに対応した距離で止まる。その直前に大きなエネルギーを周囲に放出して線量のピークを作るという特性がある。この特性を生かし、粒子線は病巣部分のみにピークのエネルギーをピンポイントで照射する。照射する位置を調整できることから、腫瘍個所にエネルギーを集中させ、正常組織に副作用を与えにくい治療となる。

 粒子線治療技術はもともと、1980年代に米国で生まれた技術だ。機器の販売はベルギーのIBAが最大手だが、日本企業も負けてはいない。「治療の信頼性、確実性が高いのは日本製。世界最高水準だ」と粒子線治療の第一人者であるメディポリス医学研究財団のがん粒子線治療研究センターの菱川良夫センター長は語る。国内では現在8つの施設で治療が行われており、その稼働率(治療遂行率)は世界最高だ。

 国内メーカーで先行するのは三菱電機だ。国内の販売実績で首位に立ち、運転・治療実績も豊富だ。海外での販売実績を誇るのが日立製作所。粒子線治療の生みの親である米国のMDアンダーソンガンセンターに納入。北米や欧州向けに営業を強化している。

1回約15分、通院治療も可能

 陽子線と重粒子線の違いは、腫瘍細胞の殺傷効果だ。重粒子線の方が陽子線の2~3倍の殺傷効果があるとされる。だが、機器が倍以上大きくなり、建屋の建設費用もかかる。そのため陽子線治療機器を備える施設が多い。

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「腫瘍部分のみを破壊」の著者

白壁 達久

白壁 達久(しらかべ・たつひさ)

日経ビジネス記者

2002年関西大学経済学部卒業後、日経BP社に入社。日経ビジネス、日経ビジネスアソシエを経て、2015年から香港支局長としてアジア全体をカバーする。2016年8月から日経ビジネス記者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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