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世界の果てに「原子力電池」

  • 水野 博泰

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2010年5月18日(火)

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10年間メンテナンスが不要という「乾電池」のような小型原子炉。米ロスアラモス国立研究所で生まれた技術の民間移転で実用化目指す。日本メーカーの協力を得て合弁生産し、10年間で1000基を売る計画だ。

 米国で複数のベンチャーが、“ミニ原発”の世界市場獲得を狙って動き始めている。その中で実用化に最も近いと見られるのが、米ハイペリオン・パワー・ジェネレーションが開発中の小型原子炉「ハイペリオン・パワー・モジュール(HPM)」だ。

 HPMは直径1.5m、高さ2.5mの鋼鉄製のカプセル形状をしている(右下図)。1基の出力容量は25メガワット(メガは100万)。商用原子力発電所で一般的な1000メガワット級原子炉の出力の40分の1とはいえ、米国の平均的世帯なら2万戸分の電気を賄える。

 工場で核燃料を詰めて完成品に仕上げ、需要地に向けて出荷する。1基当たりの重さは50トンなので、トラックや貨車、船舶などで運搬できる。

 発電には専用のプラントが必要だ(下図参照)。広さは60m×90m程度と、一般的な原子力発電所に比べはるかにシンプルな構造で省スペースで済む。発電するには、HPMを発電プラントにある地下10mほどの収納容器に収め、熱交換機を介して発電システムに接続すればよい。

発電プラント
小型原子炉「ハイペリオン・パワー・モジュール(HPM)」を設置した発電プラント(左)とHPMの内部構造のイメージ(上)

既に130基の予約注文が殺到

 1基当たりの寿命は8~10年。始動すると寿命が尽きるまでメンテナンスの必要が一切ない。核燃料が燃え尽きたら、熱交換機に新品のHPMを接続させて発電を続ける一方、古いHPMは約1年かけて冷却し撤去・回収する。原子炉を乾電池のように新品と交換するだけでよいので、「原子力電池」とも呼ばれる。

 HPM1基の価格は約5000万ドル(約46億円)。発電設備も約5000万ドルかかるが、こちらは30~50年の長期運用が前提なので総合的に見れば電力コストを大幅に抑制できるという。

 開発は、最先端の原子力研究で知られる米ロスアラモス国立研究所で15年前に始まった。研究者が勤務時間の1~2割を好きなテーマに取り組める制度を導入したところ、研究者数人が小型原子炉の設計に夢中になった。想定したのは僻地の軍事基地や、オイルシェールやオイルサンドといった高コストの資源掘削現場など、特殊用途での利用だ。人里離れた場所で、安価で簡易かつ長期安定的に作業用電力を供給できることを目指していた。ところが、温暖化対策が熱を帯びるに従い二酸化炭素を排出しない原子力発電への期待が高まり、利用の裾野が大きく広がる可能性が出てきたのだ。

ジョン・ディール社長兼CEO
ジョン・ディール社長兼CEO。少年期を沖縄で過ごした

 その流れに目をつけた米コロラド州デンバーの投資会社アルティラ・グループがロスアラモス研が保有する技術使用権を買い取り、事業会社ハイペリオンを設立したのが2007年のことだ。

 社長兼CEO(最高経営責任者)を任されたジョン・ディール氏は、政府系研究所で生まれた技術の商用化を21年間手がけてきた技術移転のベテラン。「HPMは既存の原子力発電所とは全く競合しない。発電所と送電線網が整備された都市部や都市近郊には興味がない。電力需要があるのに供給が難しい僻地が我々の仕事場だ」と話す。同社は小型原子炉の市場規模を世界電力市場の約1%に当たる700億ドル(約6兆4000億円)と見込んでおり、一気呵成にシェアを獲得する計画だ。

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大量陳列、大量販売というのがある程度限界にきているのかなと思います。

松﨑 曉 良品計画社長