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「価値観の共有」それは幻想です

女性の年齢が気になって仕方ない人は“矯正”できません

2010年5月28日(金)

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 職場で男性たちが年齢のことを探ろうとし、指折り計算してみたり、年齢がわかれば鬼の首をとったように喜び、周りに広げ、不快で苦痛です。(30代女性)

 遙から

 世間は、30代を「もうおばさん」と言ったり、そうかと思えば40歳前後をアラフォーと言って洒落てみたり、勝手なものです。世間は年齢差別なんかないという人と、あるという人に分かれます。

 私もかつてその不快さに、「女に年齢を聞くなら、男性は年収をまず言ってください」と反発したことがありますが、人の価値をそこにしか見出そうとしない連中に対する当てつけでした。しかし周りを見渡すと、堂々と年齢を言う女性と、言わない女性に分かれます。「堂々と言えばいい」という明るい意見もよく耳にします。堂々とカミングアウトすればもうそのことで女性は不快さから開放されるでしょうか? 私はそのことには疑問を覚えます。

 ある番組を見ていましたら、自らカツラであることを公表した男性タレントがその日のゲストとして出演していました。カミングアウトとは、“話題にしてもいい”という免罪符を周りが得たことになります。周りの質が問われる投げかけなのです。実際、1時間の放映中、その男性タレントへの質問は髪の毛の話題にばかり終始しました。

「デビューの頃はまだ毛があったんですね」
「この頃から抜け出したんですか」
「毛が抜け始めた頃のお気持ちは」
「もうこの時は、毛はないんですね」
「この頃はまだバレてないんですね」

 カミングアウトとは、その人物への興味がそこだけに集中することを野放しにすることだ、と、その番組を苦々しく見ました。

 似た経験は私にもあります。30歳のころ、何をどうしても「もう20代ではない」という評価でしか対応されない時期がありました。お洒落をすれば「もう30歳でっせ」と共演者から突っ込まれ、無知なら「30歳のくせに」と批判され、物知りなら「さすが30歳」と揶揄され、食事をすれば「30歳の食べ方」、歩けば「30歳の歩き方」、若く見えれば「30歳には見えない」etc…。

 なにをどうしたって話題はそこにしか到達しないわけです。

 なんのトークに展開させても「で、毛は?」としか聞かれない男性タレントの不遇に自分の過去がダブりました。

 今では私は年齢を言いませんが、指を折ろうと思えば計算は誰にも出来ます。それはどうぞご自由に。陰口もどうぞご自由に。ただ、私はそういった扱いを不快に思っておりますよ、という意思表示と反発が、その話題には乗らない、ということなのです。その姿勢が周知されれば、少なくとも私の周りの狭い空間だけは私にとって過ごしやすいものになりました。差別がなくなったのではありません。ただ、私の前でだけは堂々とそれが言いにくくなった、ということなのです。

 堂々と年齢を言う女性が、「堂々とすればいいのに」と助言するのは少々乱暴な気がします。私はそういった性善説には慎重です。堂々と年齢を言うからその女性が差別されないのではなく、そのことで差別しない環境や人に囲まれているからその女性は堂々と言えたにすぎないのではないでしょうか。

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「「価値観の共有」それは幻想です」の著者

遙 洋子

遙 洋子(はるか・ようこ)

タレント・エッセイスト

関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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