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鳩山首相を追い込んだ普天間問題

沖縄が嫌悪する「国家のウソ」、鳩山「土下座訪問」も逆効果だった

2010年6月2日(水)

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 普天間移設問題に揺れている沖縄。鳩山由紀夫首相の発言が火をつけた「基地問題」は、日米関係を緊張させ、政権をも崩壊させた。その震源地となった沖縄からのリポート。

 本土復帰から38年。9兆円とも言われる巨額の補助金が投じられた南の島は、未だ経済復興を果たせない。だが、「基地経済」と言われた依存体質は今、大きな曲がり角に来た。

 2010年、沖縄――。新しい国のあり方を、日本の南端で沸き起きている産業・政治の新潮流から考えていく。

(この記事は、日経ビジネス5月17日号時事深層『沖縄が嫌悪する「国家のウソ」』を加筆、再編集したものです)

 「沖縄の人々におわび申し上げないといけない。すべてを県外に、というのはなかなか難しい」

 5月4日、鳩山由紀夫首相は沖縄を訪問し、米軍普天間基地の移設問題で「国外、最低でも県外」という持論を撤回した。仲井真弘多知事や稲嶺進・名護市長らと次々に面会すると、うつむき加減で陳謝の言葉を並べ立てた。

悪夢のような1日

 沖縄にとって、悪夢のような1日となった。

 移設先は、事実上、名護市の辺野古に戻ってしまった。

辺野古の漁港で座り込みを続けるヘリ基地反対協議会の安次富浩・代表委員(撮影:金田 信一郎、以下同)

 その海辺で、反対運動の先頭に立ってきたヘリ基地反対協議会の安次富浩・代表委員は、今も座り込みを続けている。辺野古の上空は雨雲に覆われ、反対派のテントは、梅雨に濡れていた。

 「こんなウソで国民をだますなんて、政治家として恥ずかしくないのかね」

 安次富代表は最後まで鳩山を信じていた。あの「土下座訪沖」の日までは…。

 しかし、一向に辺野古に代わる移転先が見えてこない。住民たちは苛立ちを募らせていった。そうして鳩山批判の声が上がるたびに、安次富代表は住民たちをなだめた。

 「鳩山さんを信じよう。5月末に決まらなくてもいいじゃないか」

 どうしても、この海を破壊されたくない。だから、時間をかけてでも「県外」を実現してほしかった。

米軍基地の移設が予定される辺野古沖

 だが、あの発言がすべての希望を叩き潰した。そして、安次富代表の考え方は一変した。

 5月4日、鳩山首相が県庁で撤回発言すると、彼は名護市のキャンプ・シュワブの門の前に陣取った。そして、首相一行が到着すると抗議の声を上げた。

 「座り込みは絶対にやめない。これまで基地建設の動きを阻止してきた実績がある。今度の案も潰せる」

 彼を「基地移設反対」へと駆り立てる原体験は、高校2年までさかのぼる。

 東京から家族で移住して、農業で生計を立てようとするが、旱魃による水不足で農作物が壊滅状態に陥った。家庭で使った汚水を田畑にまいていると、フェンスの向こうで米兵がシャワーを浴び、軍用車を洗っている姿が目に飛び込んできた。

 「おかしいと思ったよ。日本人が日本に住んでいるのに、なんでこんなひどい境遇に置かれるのか、と」

「火を付けたのは向こうなんだよ」

 全国に報じられる米兵による暴行事件ばかりでなく、日常生活の中で「基地反対」の思いが沖縄県民の心に刻まれてきた。だが、本土復帰前に建設された基地を動かすことが容易でない現実も思い知らされている。

 だからこそ、昨年8月の「最低でも県外」という鳩山発言を聞いて、諦めかけていた願望が呼び覚まされた。

 「火を付けたのは向こう(鳩山首相)なんだよ」(地場企業役員)

 だからこそ、膨らんだ期待は、いくら宰相が頭を下げても簡単には収まらない。

コメント20件コメント/レビュー

そもそも一国の首相が、実現可能性の検証も十分に行わないまま発言した、というのは大きな問題である。選挙前に言いたいことを言って期待ばかりを煽っておいて、「あれは公約ではなく個人的な意見だから」と言うのはいかがなものか。マスコミが「沖縄に基地は要らない」と煽っている旨発言される方がいらっしゃるが、自民党がやっとケリを付けようとしていたことを無責任に蒸し返したが結局どうにもならなかった、ということではないのか。(2010/06/10)

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「鳩山首相を追い込んだ普天間問題」の著者

金田 信一郎

金田 信一郎(かねだ・しんいちろう)

日経ビジネス編集委員

日経ビジネス記者、ニューヨーク特派員、日経ビジネス副編集長、日本経済新聞編集委員を経て、2017年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

そもそも一国の首相が、実現可能性の検証も十分に行わないまま発言した、というのは大きな問題である。選挙前に言いたいことを言って期待ばかりを煽っておいて、「あれは公約ではなく個人的な意見だから」と言うのはいかがなものか。マスコミが「沖縄に基地は要らない」と煽っている旨発言される方がいらっしゃるが、自民党がやっとケリを付けようとしていたことを無責任に蒸し返したが結局どうにもならなかった、ということではないのか。(2010/06/10)

やはり、現実を直視しない方々が、さも沖縄県民の味方みたいな議論を続け、ますます県民を不幸な状況に追いやっているのが、この記事とコメントが表しているように思います。◆国際情勢とそれに対応する各国の政策や日本の立ち位置の現実を受入れないまま、沖縄住民と米軍だけの関係のみで議論をして基地の存続が決まるのでしょうか? 数年の間に地政学上の重要性が変わる訳でもなく、中国のプレゼンスが後退する訳でもなく、米軍の安全保障政策(米国自身の)が変わる訳でもないでしょう。現地で危険と向き合っているパレスチナ難民の声が関係各国にも国連にも届いていない現実、そして各国のレアルポリティークスに翻弄されている現実を他山の石としないで、前進する道が有るのでょうか? ◆将にこのような現実を直視しない声が、過去の開戦という誤った道を選択させた事を忘れているのでは?と危惧します。 (2010/06/09)

> 基地収入が15%から5%まで減少したということは、基地があっても経済が発展したということではないのか?基地からの収入は変化せずに経済成長すれば比率は下がります。問題は本土と比べて沖縄の成長率が低いということであり、基地が要地を占めていることがその原因として挙げられているわけです。(2010/06/07)

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