「ソーシャルWEBと選挙」

オバマ選挙はもう古い! ウェブが促す市民の政治参加

ITがもたらす「Gov2.0=政府のプラットフォーム化」

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2010年6月14日(月)

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 第1回では、ソーシャルWEBという言葉の背景にある「可視化」と「マッチング」の2つのキーワードについて言及しました。そのうえで、選挙に関する情報は可視化が進んでおらず、例えば「投票しても良い」と思える候補者を検索サイト「グーグル」で探すことすら難しい、という事実を指摘しました。

 第2回は、ソーシャルWEBが文化的にもテクノロジー的にも進んでいる欧米の事例を紹介しながら、ソーシャルWEB時代の政治参加のあり方を考えていきたいと思います。

オバマ選挙におけるソーシャルWEB活用

 既にだいぶ昔の話となりつつありますが、ソーシャルWEBの威力を世間に知らしめた米国オバマ選挙の事例を再確認しておく必要があるでしょう。

 オンライン広告、メール、YouTube(ユーチューブ)、スマートフォンアプリケーションなど様々な施策が行われましたが、もっとも興味深いのは「MyBO(my.barackobama.comの通称)」と呼ばれる専用SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)です。このSNSに登録すると、バラク・オバマ氏を支援するために必要なツールや情報を手に入れることができ、ほかの支援者とつながることができます。オンライン献金も可能で、MyBO経由で総額6億ドルの個人献金を集めたという逸話は有名です。

 SNS活用の画期的な点は、散らばりがちなオンライン上の支持者を一点に集めたことでしょう。MyBOは支持者にとっての情報ポータルとして機能し、オンライン戦略のハブとして活躍したことが指摘できます。

 支持者たちを束ねる専用SNSを作るという発想は、日本の政治家にはまだないものです。一部の政治家はmixi(ミクシィ)やフェイスブックといったオープンなSNSを使ってコミュニティを構築していますが、専用SNSに比べてカスタマイズに限界があり、メールアドレスや電話番号といった個人情報へのアクセスも限定的です。ハブとしての機能はやや不十分でしょう。

 とはいえ、専用SNSへの登録者の集めることやコミュニティを活性化させることは非常に困難なのが現状です。日本でも、様々な企業が顧客を囲い込むために自社のSNSを構築しましたが、そのほとんどは不活性となっています。MyBOの成功は、SNSのプロフェッショナルであるフェイスブック創業者のクリス・ヒューズが関わっていたこと、大統領選という大イベントであったことが背景にはあるのでしょう。

 MyBOをはじめとするソーシャルWEB活用は、間違いなく選挙活動のあり方を変えました。ただし、どちらかと言えば短期的で「キャンペーン的」な性質の強いものです。予算も大規模で、オンライン広告には16億ドルという大金が費やされました。

 政治分野におけるソーシャルWEB活用の基本的な姿勢は、短期的なトップダウン型のキャンペーンではなく、「草の根的なエンパワーメント」であるべきだと私は考えています。私たちのような一般の市民は、ソーシャルWEBを活用することで、より強い力を持つことが可能になるのです。

スマートフォンで町の問題を気軽に報告

 「草の根的なエンパワーメント」として面白い事例は「市民がコミュニティの問題を行政やメディアにレポートすることができる」というコンセプトの米国発のウェブサービス「SeeClickFix(シークリックフィックス)」です。

 スマートフォンアプリケーションを通じて、比較的緊急性の低い町の問題、例えばマンホールが割れているといった情報を写真とともに報告することができます。公式サイトでは、これまでに市民からの通報で信号の不調が解決される、落書きの犯人が捕まるといった事例が報告されています。活発に利用されているサービスで、日々様々な問題が報告・解決されているようです。

 ソーシャルWEBのキーワードは「情報の可視化の促進」です。ツイッターは「140文字の気軽なつぶやき」というお題目の下、「今渋谷のスタバにいる」といった些細な情報の可視化を進めました。情報が可視化されれば、そこに利用価値が生まれます。

 SeeClickFixもスマートフォンアプリケーションというスタイルで、情報の可視化を進めています。普通に生きていれば、よっぽど困ってでもない限り、放置自転車や落書きといった問題を「わざわざ」行政に電話で報告することはしないものです。SeeClickFixの仕組みは、報告に掛かる時間的・心理的なコストを下げ、これまでは可視化されなかったような、しかし利用価値の高い情報を行政に届けることを可能にしています。

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著者プロフィール

イケダ ハヤト(いけだ・はやと)

イケダ ハヤト トライバルメディアハウスSMMコンサルティンググループSMMアナリスト。2009年早稲田大学政治経済学部卒業。国内大手半導体メーカーで広報を経験し、2010年2月にソーシャルメディアマーケティング支援会社のトライバルメディアハウス(東京都渋谷区)に転職。アナリストとして日々、調査・執筆・講演活動を行っている。



このコラムについて

ソーシャルWEBと選挙

にわかに注目を集めているのが「ソーシャルWEB(ウェブ)」というキーワード。インターネット上に新たなプラットフォームが登場し、社会性がより増す。これによって、個人の生き方やマーケティングをはじめとする企業のあり方に大きなインパクトをもたらす。この動きに、政治も無縁ではいられない。まだ日本では公職選挙法の改正案に見られるようにネット利用は情報の頒布ととらえられている感もあるが、ソーシャルWEB先進国では既にネットを通じて民意を集約する形で政治参加する取り組みも始まっている。

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