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若者が「地域再生」を諦める時――。

自治体非常勤職員の24歳女性のケース

  • 小林 美希

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2010年6月14日(月)

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 「打ち込める仕事に就けたが、先が見通せない」

 都内の基礎的自治体で非常勤職員として働く山下久美さん(仮名、24歳)は、複雑な思いを抱いている。久美さんは、教育に関わる仕事がしたいと、自治体の教育委員会に配置される「社会教育指導主事」を補佐する「社会教育指導員」として働き、地域での活動に取り組んでいる。

 もともと新卒採用で内定を得た企業は、希望する業界でキャリア教育に関するコンサルティング会社だった。しかし、5月の連休明けに内定が出てから間もなく、その企業でアルバイトを始めると、“ブラック企業”に違いないと確信した。

 就職が決まった久美さんを前に、若手社員は職場で「マジ、給料低いんだけど~」「うち、一部上場って、広告に入れたいだけでしょ~」といった具合の会話ばかりだった。

 8月末に内定を辞退した。

 自分の目指す職業を改めて振り返り、「地域、子ども、教育」という分野での就職活動を再開した。卒業後の4月から、最初は自治体が設置する小学生を対象とする学童保育の指導員の非常勤職員として採用されたが、月に16日の勤務で月給は手取り14万円という待遇だった。そのうち、社会教育指導員の空きが出たことを知り、試験を受けて合格して、教育委員会に転職。地域に向けて社会問題について提起するようなシンポジウムなどの企画運営を任されることになった。

「あなたが企画するから参加する」

 ところが、採用当初、「1年更新の非常勤職員で契約更新は4回まで」という条件での雇用だった。つまり、5年を上限に退職することが初めから決められていたのだ。月に120時間勤務。月給は額面が20万円に満たないため、手取りで17万円となり、ボーナスはない。5年経っても正職員になれないばかりか、職を失う。それでも久美さんは「就職氷河期に贅沢は言えない。好きな仕事ができるのだから、ここでできる限りを吸収して、次へのステップにしよう」と割り切った。

 働き始めると、すぐに仕事に夢中になった。何度も会を重ねると、地域で顔見知りが次々と増えていき、個人的な話もするようになった。「こうやって、自治体職員が自ら人の輪を作っていけるんだ」ということを実感した。中には「久美さんが企画する会だから参加するんだ」と言ってくれる年配の人もいる。そんな言葉を聞くと、自分の存在が何か社会に役に立っている気がした。人とのつながりが着実に広がっていく。殺伐とした東京の中でも、昔ながらの人間関係を新しく作っていくことは十分できると感じた。

 ところが、夏の予算編成の時期になると、職場では「この事業、来年度はなくなるかもしれない」という声が聞こえてくる。その度に、自分の仕事がなくなる心配をした。そして、「地域で蓄積された人間関係が、職員が非常勤だからといって5年で自動的に『はい、さようなら』ということでいいのだろうか」という疑問を強く感じるようになった。

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