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安定した経済環境の創出がミッションで、財政再建はその手段である

【第32回】財務省 池田洋一郎氏《前編》

  • 佐藤 ゆみ

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2010年6月14日(月)

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佐藤 ゆみ(以下、佐藤) 池田洋一郎さんは連載第1回の高田英樹さんと同じく財務省に入省し、今年、国際局で入省10年目の春を迎えました。また、2年間、米ハーバード大学のケネディスクールに留学され、そこでの学びや経験を書籍『ハーバード・ケネディスクールからのメッセージ ~世界を変えて見たくなる留学~』(英知出版)にまとめています。

 霞ヶ関でのお仕事に加え、「官民協働ネットワークCrossover21」を立ち上げ、その代表としてこれまで8年間、勉強会やシンポジウムの企画など、様々な活動にも取り組まれています。今回はそんな池田さんの現在のお仕事や国家公務員を目指した動機、ケネディスクールで学ばれたことやCrossover21の活動を通じて実現したいビジョンなどを中心に伺いたいと思います。まず、現在は財務省の国際局でどのような仕事をされているのですか?

池田 洋一郎(以下、池田) 「国際機構課」という部署で課長補佐として、2008年9月のリーマンショック以降の国際金融危機への対応や今後同様の危機を起こさせないために、あるいは起こってしまった場合でもその影響をできるだけ小さなものにするために、どのような取り組みや仕組みが必要か、そうした取り組みの中で日本はどのような貢献ができるのか、というテーマで仕事をしています。

池田 洋一郎(いけだ・よういちろう)氏
1977年タイのバンコクに生まれ2歳で帰国、東京で育つ。1996年3月、私立城北高校を卒業。2001年3月、早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業し、同年4月、財務省に入省。主計局、広島国税局、金融庁総務企画局を経て2006年9月より米ハーバード大学ケネディスクールに留学。2008年6月同大学院にて公共政策学修士号(Master in Public Policy)取得・卒業。現在、財務省国際局にて課長補佐としてIMF、G7、G20などを担当、世界金融危機への対応や、危機後の国際通貨・金融システムの検討などに従事。2009年2月には、留学時代の経験や学びを綴った書籍『ハーバード・ケネディスクールからのメッセージ ~世界を変えて見たくなる留学~』(英治出版)より上梓。公務の傍ら、政府と市場、政府と地域社会とのコミュニケーション・ギャップを埋め官民協働の礎を創るべく、2002年4月に各省庁横断的な同期生とともに「官民協働ネットワークCrossover21」を立ち上げ、代表として様々なシンポジウムや異業種勉強会、討論会などを主催。(写真:佐藤ゆみ)

佐藤 巨大な国際金融危機に対応し、また予防するために、具体的には何が必要なのですか。

1929年世界恐慌の教訓を生かす

池田 第一に国際協調が重要です。多くの人は、今回の危機を1929年の世界恐慌になぞらえて「100年に1度の危機」と表現しています。確かに、規模的には1929年世界恐慌に匹敵するものかもしれませんが、危機に際して各国が採った対応は当時とだいぶ違います。1929年の世界恐慌の際、主要国は自国の経済や雇用を守ることばかりを考えるあまり、例えば自国の通貨を切り下げて輸出促進を図る、あるいは関税を引き上げて輸入品と競合する自国の産業を保護するという措置を一斉に採りました。

 このために、世界全体の貿易量は劇的に減少し、世界経済はさらに厳しい不況に陥ってしまいました。また、第1次世界大戦の敗戦国であるドイツの経済復興のためにアメリカは多くのお金をドイツに貸していましたが、大恐慌の発生により、一斉にそうしたお金を「貸しはがした」ために、ドイツ経済は再び大混乱に陥ってしまいました。こうした経済的な混乱が、アドルフ・ヒトラーの台頭、そして第2次世界大戦の経済的な素地を作ったと言われています。

 今回の世界金融危機では、こうした教訓を糧に、G7(先進7カ国)あるいはG20(主要20カ国・地域)といった場で、各国の首脳や財務大臣、中央銀行総裁が頻繁に集まり、例えば通貨の切り下げはしない、主要金融機関は潰さない、あるいは各国一斉に財政出動をして景気を下支えするといったことを約束し、実行してきました。

佐藤 池田さんは、先ほど韓国出張から戻ってきたばかりとのことです。その韓国ではどのような会議が開かれ、池田さんはどのように関わっていたのですか?

池田 韓国の釜山で、6月4~5日まで、G20の財務大臣・中央銀行総裁会議が開かれており、その準備や事前の事務レベル交渉に参加するために、数日前から釜山入りをしていました。

 先ほど危機対応と再発防止には国際協調が第一に重要と申し上げましたが、もう1つ重要な課題として、国際機関、具体的にはIMF(国際通貨基金)の機能強化が挙げられます。

 IMFはある国の「倒産」が他国の「連鎖倒産」を招き、さらには国際通貨・金融システムが機能停止に陥るような事態を防ぐために、何らかの理由で対外的な資金繰り難に陥った国に対する融資を実施しています。今回の危機ではラトビアやアイスランド、ウクライナなど、主として欧州の新興国を中心に、次々と融資を実施してきました。また、最近財政危機に陥ったギリシャに対しても、EU(欧州連合)と協調して多額の融資を決定したのはご記憶にあるかと思います。

 今回の釜山におけるG20では、テーマの1つとして、IMFの融資機能の強化や組織のあり方の見直しなどが挙げられています。僕はその担当として、G20財務大臣・総裁会合に提出する報告書の作成や各国との交渉に当たっていました。

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