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【隠れた世界企業】四川大地震で活躍した紙技

安達紙器工業 (新潟県長岡市、特殊紙の加工業)

2010年6月16日(水)

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紙でありながら堅牢さや加工性に優れ、環境・天災・安全などの分野に展開される。社会性を意識して開発する姿勢に、世界のデザイナーや企業が注目、市場を広げる。現場には伝統技術を守る執念と、新規市場を開拓する信念があった。

 「明日の朝までに、ある分だけ成田に送ってほしい」

 安達紙器工業(新潟県長岡市)に中国の企業から電話が入ったのは2008年5月13日のこと。7万人近い人命が奪われた中国・四川大地震が発生した翌日だった。送ってほしいと頼まれたのは、安達紙器が独自開発した「レスキューボード」。特殊紙で作られた折りたたみ式の担架だ。

 重量は通常の担架の半分程度の3.5kgと軽量で、折りたためば縦60cm、横73cmで厚さはたったの5cmとコンパクトだ。組み立てなど必要なく、広げればすぐに患者を乗せることができ、取っ手を持てばそのまま搬送できる。

ニューヨーク近代美術館で展示も

災害時に活躍するレスキューボード (写真:佐藤 悟)

 原料は紙とはいえ、特殊な加工を施した特殊紙を使用しており、耐荷重量は500kgと丈夫だ。紙の弱点とされる水にも強い。1日中水に浸けておいても220kgの荷重に耐えられるという。

 担架ながら軽くコンパクトで輸送しやすく、耐久性も優れている。この特徴が四川地震で、注目を浴びた。連絡が夜のため輸送用のトラックが手配できず、軽貨物専門の「赤帽」を呼んで軽自動車の荷台に積めるだけ載せて送り出した。積み込み数は、100に及んだ。

 非常時に輸送がしやすいレスキューボードは、2005年に米ニューヨーク近代美術館(MoMA)が行った企画展に出展を要請され、後にMoMAの「永久保存所蔵品」として認定を受けた。

 同年に開発した特殊紙製のペーパーナイフはドイツで開かれる世界最大の消費財見本市「フランクフルト・メッセ・アンビエンテ」でデザインプラス賞を受賞するなど、開発する製品が世界でも高く評価されている。

 安達紙器の社員は60人。小さな会社が、なぜ世界に羽ばたけるようになったのか。そこには、枯れかけた伝統技術を守り続けた執念と、新たな市場を作り続ける信念があった。

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「【隠れた世界企業】四川大地震で活躍した紙技」の著者

白壁 達久

白壁 達久(しらかべ・たつひさ)

日経ビジネス記者

2002年関西大学経済学部卒業後、日経BP社に入社。日経ビジネス、日経ビジネスアソシエを経て、2015年から香港支局長としてアジア全体をカバーする。2016年8月から日経ビジネス記者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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