「若きキャリア官僚たちの春2010」

ケネディスクールが教えてくれた「官民協働」

【最終回】財務省 池田洋一郎氏《後編》

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2010年6月21日(月)

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前編「安定した経済環境の創出がミッションで、財政再建はその手段である」から読む)

佐藤 ゆみ(以下、佐藤) 池田洋一郎さんは米ハーバード大学ケネディスクールに留学されていました。ケネディスクールと言えば、世界銀行のロバート・ゼーリック総裁や、国連のバン・ギムン事務総長など、世界のリーダーを輩出している公共政策大学院です。この連載第2回で取り上げた「新しい霞ヶ関を創る若手の会(NPO法人プロジェクトK)」代表の朝比奈一郎氏もケネディスクールの卒業生です。池田さんは、なぜケネディスクールを志願したのですか?

池田 洋一郎(以下、池田) 僕とケネディスクールとのつながりは、社会人1年目に偶然本屋で見かけた『なぜ政府は信頼されないのか』(ジョセフ・ナイ著、英治出版)という本から始まりました。

池田 洋一郎(いけだ・よういちろう)氏
1977年タイのバンコクに生まれ2歳で帰国、東京で育つ。1996年3月、私立城北高校を卒業。2001年3月、早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業し、同年4月、財務省に入省。主計局、広島国税局、金融庁総務企画局を経て2006年9月より米ハーバード大学ケネディスクールに留学。2008年6月同大学院にて公共政策学修士号(Master in Public Policy)取得・卒業。現在、財務省国際局にて課長補佐としてIMF、G7、G20などを担当、世界金融危機への対応や、危機後の国際通貨・金融システムの検討などに従事。2009年2月には、留学時代の経験や学びを綴った書籍『ハーバード・ケネディスクールからのメッセージ 〜世界を変えて見たくなる留学〜』(英治出版)より上梓。公務の傍ら、政府と市場、政府と地域社会とのコミュニケーション・ギャップを埋め官民協働の礎を創るべく、2002年4月に各省庁横断的な同期生とともに「官民協働ネットワークCrossover21」を立ち上げ、代表として様々なシンポジウムや異業種勉強会、討論会などを主催。(写真:佐藤ゆみ)

佐藤 『なぜ政府は信頼されないのか』・・・なかなか耳の痛いタイトルですね。

池田 当時、僕は主計局で予算編成に携わっていました。特に予算編成期の主計局の勤務環境は苛酷で、平日はもちろん、土日も深夜まで膨大な仕事と格闘していました。他方、新聞、週刊誌やテレビのワイドショーでは、官僚バッシングが吹き荒れていて、職場にもしょっちゅう苦情の電話がかかってくる。

 こんな状況の中で出会った『なぜ政府は信頼されないのか』というタイトルは、確かに、ハートのド真ん中に投げ込まれたイタイ直球でした。

公共の問題と対峙するとは?

佐藤 著者は、政府が信頼されない原因をどう捉えているのでしょうか?

池田 著者は、ビル・クリントン米政権で国防次官補を務めたジョセフ・ナイ学長(当時)を中心とするケネディスクールの教授陣でした。彼らは米国連邦政府を中心とする様々なケースを取り上げ、政府の役割や業績が経済・社会の変化やグローバリゼーションの進展に伴ってどのように変わってきたのか、そもそも国民の政府に対する信頼とは一体何なのか、どのようにして計ればよいのか、そして、それが本当に低下しているとすれば原因はどこにあるのか、本当に役人や政治家が悪いのかなどの疑問を解き明かすべく、様々な角度から仮説と検証を試みていました。

佐藤 なるほど、それで結論は?

池田 実は最終的にこの本は、なんら確たる結論を語っていないのです。さらに、「そもそも民主主義社会において、国民が政府を『信頼』するのは不健全と言えるかもしれない」という見方も書かれていました。

佐藤 確かに、国民が政府を信頼し切っていたら、政治家や役人のやっていることをチェックする人がいなくなり、全体主義的な雰囲気になってしまうかもしれませんね。しかし、いろいろと分析した挙げ句、明確な答えを示してくれないのでは、何だか拍子抜けな気がしますね。

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著者プロフィール

佐藤 ゆみ(さとう・ゆみ)

佐藤 ゆみ政治アナリスト、マナー・礼法講師。札幌市出身。米国ルイス&クラーク大学留学、政治学・国際関係を学ぶ。帰国後、総合広告代理店にプランナーとして勤務。その後、衆議院選に出馬。政策担当秘書として国会議員の各種政策立案に携わる。現在、INTEGRACE(インテグレース)代表。企業・個人を対象に印象マネジメント、営業・接遇マナー、時事研修を実施中。ハリウッドビューティサロン「美人講座」講師。政治を切り口にしたコンサルティング・研修には定評がある。ウェブサイト「人を動かすマナーの法則」連載。



このコラムについて

若きキャリア官僚たちの春2010

税金のムダ遣い、縦割り行政の弊害、天下りの横行・・・。様々な批判が浴びせられる官僚たち。政権を担う民主党はマニフェストで「国家公務員の総人件費を2割削減する」と掲げた。日本の高度成長を支えた官僚の後輩たちは、どんな現状認識を抱いているのか。そして、国家運営に対する志は残っているのか。生の声から探っていく。
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