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“課題先進国”はチャンスが満載

小宮山宏氏が推進する「プラチナ社会」実現のシナリオ(1)

2010年7月2日(金)

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 地球温暖化や高齢化、需要不足など大きな課題に直面する日本では、国全体に閉塞感が漂い、国民は希望ある未来社会が描きづらくなっている。しかし、これらの課題は実はいずれ世界のすべての国が直面する課題でもある。

 そこで、現在の日本を「課題先進国」と位置づけ、世界のフロントランナーとして山積する課題を解決し、「課題解決先進国」になることで、サステナブルで希望ある未来社会を築いていこうと主張するのが、前東京大学総長(現・総長室顧問)で三菱総合研究所理事長の小宮山宏氏だ。

 小宮山氏は2020年に50兆円の市場、700万人の雇用を創出できる「プラチナ社会」を提唱している。さらに今の状況は「日本にとって千載一遇のチャンスである」と語り、希望ある未来社会の実現に向け、さまざまなプロジェクトを強力に推進している。その青写真について語ってもらった。

(聞き手は山田久美)

 ―― 2010年4月1日に、三菱総合研究所(以下、三菱総研)は、「プラチナ社会研究会」を発足。「人間起点の希望に溢れる社会を実現し、2020年には50兆円の市場と700万人の雇用を創出する」と発表しました。「プラチナ社会」は小宮山理事長が提唱されている概念ですが、どのようなものでしょうか。

東京大学総長室顧問で三菱総合研究所理事の小宮山宏氏(写真:佐藤久、以下同)

 小宮山 プラチナ社会とは、21世紀の我々が目指す「ポスト工業化社会」、すなわち、普通に暮らしてもCO2を排出せず、若者も高齢者も生き生きと暮らせるような、環境に優しく安心・安全な社会のことです。

 一般に高齢者はシルバーと言われますが、プラチナはシルバーのように錆びることがなく、いつまでも輝き続けることができます。ゴールドよりも品格があることから、我々が目指す社会のイメージにピッタリだと考え、名付けました。ブランド登録もしてあるんですよ。

 日本は今、3つの深刻な課題を抱えています。1つ目は、地球温暖化問題、2つ目は、高齢化問題、3つ目は、需要不足とデフレ問題です。そのため、日本全体に閉塞感が蔓延しており、活力がなく、将来に対する希望を見失っています。

 しかし、この3つの課題は、実は日本だけのものではありません。遅かれ早かれ、中国やインドなど新興国を含むすべての国が直面する課題です。

 つまり日本は“課題先進国”なのです。その日本が、世界共通の課題を世界に先駆けて解決し、プラチナ社会という21世紀のモデル社会を提示することで、「課題解決先進国」として、再び躍進することができると考えています。

2020年には50兆円の市場と700万人の雇用が生まれる

 日本の優れた技術、サービス、制度をうまく組み合わせることで、環境問題と高齢化問題を解決し、その過程で新産業と新たな雇用を創出していこうというシナリオです。これにより、日本は活力と将来に対する希望を取り戻すことができます。三菱総研では、新産業の創出により、2020年には50兆円の市場と700万人の雇用が生まれると試算しました。

 4月に発足した「プラチナ社会研究会」は、プラチナ社会を推進するための活動のプラットフォームです。課題を解決するには、国、地方自治体、民間企業、大学・研究機関、そして市民が一丸となって取り組んでいかなければなりません。国民的活動が必要なのです。そのため、プラチナ社会研究会では、現在、趣旨に賛同する自治体や企業、大学・研究機関に多数参画いただいており、入会も随時受け付けています。

 実際、手応えはものすごくよいですよ。まずは、私が存じ上げている民間企業の方々にご提案したところ、「これはやらなければ!」ということで、喜んでヒト、モノ、カネといった資源を提供してくださいました。

 ―― しかしながら、プラチナ社会が実現する前に、日本は“沈没”してしまうのではないかという危惧があります。実際、少子高齢化が進む中、日本の民間企業は、シュリンクしていく日本市場から新興国市場へと大きくシフトし、国内では空洞化が起こっています。果たして日本はこのような状況から脱却し、プラチナ社会を迎えることができるのでしょうか。

 先進国というのは、人工物が飽和している社会です。そのため、基本的に需要不足の状態であり、先進国における需要はすべて“置き換え”になります。例えば、現在、先進国では、自動車は100人に4台の割合で普及しています。この数値が、需要の飽和状態の目安です。

 一方、新興国の中国で2009年に販売された自動車の台数は1300万台。人口が13億人ですから、ちょうど100人に1台という割合です。そのため、現在、中国では、自動車に対する旺盛な需要があり、日本の自動車メーカーがそういった需要に応えるというのはごく当たり前のことであり、需要が飽和した国内から新興国にシフトするというのもごく自然な流れです。

 しかしながら、私は、こういった状況というのはいったいいつまで続くのだろうかと考えました。そして、実際に計算してみました。結果、私が出した答えはせいぜいあと5年です。現在、中国は高度経済成長期を迎え、経済成長率は10%に達していますが、それがピークに達し、下降に転じるまでには、あと5年程度しかかからないと踏んでいます。

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「“課題先進国”はチャンスが満載」の著者

山田 久美

山田 久美(やまだ・くみ)

科学技術ジャーナリスト

早稲田大学教育学部数学科出身。都市銀行システム開発部を経て現職。2005年3月、東京理科大学大学院修了(技術経営修士)。サイエンス&テクノロジー、技術経営関連の記事を中心に執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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