(前編から読む)
―― プラチナ社会の実現に向け、さまざまなプロジェクトを立ち上げ、アクションを起こしているとのことですが、三菱総合研究所が中心となって取り組まれているプラチナ社会研究会以外、現在、どのようなプロジェクトを推進中なのでしょうか。

小宮山 現在、私が注力しているのが、「プラチナ構想ネットワーク」です。これは、地方自治体主導でプラチナ社会の実現に向けた取り組みを行いつつ、各自治体をネットワークで結ぶというものです。目指しているのは、自律分散協調系の国家。地方自治体主導にすることとネットワーク化することには大きな意味があります。
まず、前回、申し上げました通り、プラチナ社会を実現するための既存のモデル、導入すべき産業というものは現在、世界中のどこにも存在しません。だからこそ、課題先進国である日本にとって、千載一遇のチャンスなのです。
日本が行うべきことはただ1つ。自分たちで新しい産業を創出し、自分たちの力で幸せになるということです。
国主導から「地方自治体主導とネットワーク化」へ
明治維新以来、日本は中央集権主導で進んできました。理由は、日本が西欧諸国や米国など先進国が興した産業を導入してGDPを増やし、先進国の植民地にならないよう国力を向上させていくためには、国主導の方が都合が良かったからです。
制度に関しても同様です。明治維新以来、欧米へのキャッチアップを目指してきた日本にとって、制度を一から考えて作るということは必要ありませんでした。議員制度は英国のものを導入し、警察制度はフランスのものを導入してきました。
つまり、日本はこれまで、国家主導の下、既存の産業や制度を海外から取り込むことで、幸せになるというモデルを取ってきたわけです。しかしながら、このモデルはもはや通用しません。なぜなら、導入すべき産業も制度ももはやどこにもないからです。
では、自分たちで新しい産業を創出し、制度を整備するためにはどうすればよいか。私は、日本における最善の方法とは何かについてずいぶん考えました。その1つの答えが、地方自治体主導とネットワーク化だったのです。
日本は明治維新の頃、美術や文学、食など文化に関しては世界一流でしたが、唯一欧米に負けていたのが、軍備に象徴される産業競争力でした。産業競争力において、キャッチアップというフェーズでは、必要な社会実験というものは、すでに先進国で実施済みです。
ところが、新たな産業を創出するフロントランナーのフェーズになると、すべてゼロから始めなければいけません。その際には、社会実験が不可避であり、実験を通して、経験するさまざまな失敗や気付きを、制度として反映していく必要があります。そのためには、やはり地方自治体が立ち上がる以外ないのです。
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