円高が長期化する中、日本メーカーが競争力の低下に悩んでいる。通貨安を追い風に、海外のライバルが攻勢を加速しているからだ。成長を期待する海外での苦戦は、業績回復に水を差しかねない。
サッカーに続き、半導体製造装置でもオランダに敗れるのか――。
「ユーロ安でライバルのオランダメーカーの価格競争力が高まっている。新型製造装置の受注が本格化したばかりなのに…」
6月下旬に中期経営計画を発表したニコン。木村眞琴社長(発表時点では副社長)の口調には、先行きに対する懸念がにじんでいた。
ニコンは、半導体露光装置でオランダのASMLと世界トップを争う。過去5年以上、ASMLが高性能な装置の開発で先行し、シェアを奪われてきた。
しかしニコンは今春からASMLの製品を凌駕する性能を実現したとされる新製品の「S620」を本格投入。巻き返しに出た矢先に、ユーロ安に直面した。ニコンは日本、ASMLはオランダなどで装置を生産するため、為替レートが競争力に与える影響は小さくない。
最近の業績でも差は顕著だ。ニコンの製造装置などの精機事業は赤字が続く。これに対して、ASMLは昨年後半に黒字化し、営業利益が拡大している。
半導体の微細化のカギを握る露光装置では、かつてニコンとキヤノンが世界市場を席巻。日本の独壇場だったが、技術開発で遅れたキヤノンのシェアは低下。「先端装置の開発競争から脱落しそうだ」(半導体大手の幹部)。
そんな日本勢の“最後の砦”として、ニコンに期待がかかっている。6月29日にトップに就任したばかりの木村社長にとっても、露光装置で世界首位を取り戻すことは任期中の重要課題だ。

ユーロ安に悩む日の丸製造装置
「新型装置の技術力は、顧客から高く評価されている」とニコンの幹部は強調するが、「性能面でASMLに決定的な差をつけたとは言い切れない」(国内証券アナリスト)。そうなると価格が、1つの焦点になる。
もちろん顧客である半導体メーカーにしてみれば、1社の装置メーカーが独占的な地位を得るのは、価格と技術革新の両面で好ましくない。性能が良ければ、ニコンが受注できる可能性はある。それでもユーロ安で価格競争力が高まるASMLとの競り合いから、ニコンは今後、販売台数の拡大と利益確保の両面で悩む局面がありそうだ。
半導体装置に限らず、様々な分野で日本メーカーは、通貨安を武器にする海外勢の攻勢に苦しんでいる。
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