「時事深層」

円高で四面楚歌の日本企業

バックナンバー

2010年7月5日(月)

1/3ページ

印刷ページ

円高が長期化する中、日本メーカーが競争力の低下に悩んでいる。通貨安を追い風に、海外のライバルが攻勢を加速しているからだ。成長を期待する海外での苦戦は、業績回復に水を差しかねない。

 サッカーに続き、半導体製造装置でもオランダに敗れるのか――。

 「ユーロ安でライバルのオランダメーカーの価格競争力が高まっている。新型製造装置の受注が本格化したばかりなのに…」

 6月下旬に中期経営計画を発表したニコン。木村眞琴社長(発表時点では副社長)の口調には、先行きに対する懸念がにじんでいた。

 ニコンは、半導体露光装置でオランダのASMLと世界トップを争う。過去5年以上、ASMLが高性能な装置の開発で先行し、シェアを奪われてきた。

 しかしニコンは今春からASMLの製品を凌駕する性能を実現したとされる新製品の「S620」を本格投入。巻き返しに出た矢先に、ユーロ安に直面した。ニコンは日本、ASMLはオランダなどで装置を生産するため、為替レートが競争力に与える影響は小さくない。

 最近の業績でも差は顕著だ。ニコンの製造装置などの精機事業は赤字が続く。これに対して、ASMLは昨年後半に黒字化し、営業利益が拡大している。

 半導体の微細化のカギを握る露光装置では、かつてニコンとキヤノンが世界市場を席巻。日本の独壇場だったが、技術開発で遅れたキヤノンのシェアは低下。「先端装置の開発競争から脱落しそうだ」(半導体大手の幹部)。

 そんな日本勢の“最後の砦”として、ニコンに期待がかかっている。6月29日にトップに就任したばかりの木村社長にとっても、露光装置で世界首位を取り戻すことは任期中の重要課題だ。

半導体露光装置でニコンを圧倒するオランダのASMLの工場

ユーロ安に悩む日の丸製造装置

 「新型装置の技術力は、顧客から高く評価されている」とニコンの幹部は強調するが、「性能面でASMLに決定的な差をつけたとは言い切れない」(国内証券アナリスト)。そうなると価格が、1つの焦点になる。

 もちろん顧客である半導体メーカーにしてみれば、1社の装置メーカーが独占的な地位を得るのは、価格と技術革新の両面で好ましくない。性能が良ければ、ニコンが受注できる可能性はある。それでもユーロ安で価格競争力が高まるASMLとの競り合いから、ニコンは今後、販売台数の拡大と利益確保の両面で悩む局面がありそうだ。

 半導体装置に限らず、様々な分野で日本メーカーは、通貨安を武器にする海外勢の攻勢に苦しんでいる。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント5 件(コメントを読む)
トラックバック


このコラムについて

時事深層

日経ビジネス “ここさえ読めば毎週のニュースの本質がわかる”―ニュース連動の解説記事。日経ビジネス編集部が、景気、業界再編の動きから最新マーケティング動向やヒット商品まで幅広くウォッチ。

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン

日経ビジネスからのご案内