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日本の水源林はどう守るべきか

資源争奪戦に直面する自治体の本気

  • 平野 秀樹

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2010年7月26日(月)

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 石原都知事が言い放った。
「フランスごとき会社が出てきてだね、手賀沼(千葉県の湖沼)の浄水やるなんてのは、私に言わせりゃ、こしゃくな話で、こんなものはとっくに、東京に依頼すればやったのに、そういうところのセールスがだめなんだな、日本人は」

 2010年春、海外からの水ビジネスの参入について、コメントを求められた石原知事は一気にまくし立てた。フランスの水メジャー・ヴェオリアが千葉県の浄水事業を落札したことに憤っている。

水メジャーの虜になる自治体

 東京都の漏水率はわずか3%。ロンドンやパリの20%とは比較にならない。その技術力は世界トップクラスなのだから、もっと世界へ打って出るべきだと。

 海外では水道施設が民営化されている事例が少なくない。すでに13カ国で民間企業が上下水道事業を行っており、水道事業はビジネスの時代に入っている。グローバルな実態は、欧州大手の水メジャーの上位3社、ヴェオリア、GDFスエズ、テムズ・ウォーターが世界の水道市場のほぼ過半を占める。

 このうちのトップ、ヴェオリアの日本法人が千葉県などから下水道施設の管理を委託されている。まさに黒船襲来である。

 水男爵(ウォーターバロンズ)と呼ばれる彼ら水メジャーは優秀だ。高給取りの社員は、自社がもつ設計システムの優秀さをスマートに説き、もっともらしい指標と複雑なバランスシートを持ち出し、たちまち自治体職員や議会議員を虜にしてしまう。自治体ニーズのツボもよく抑えている。

「これなら事業仕分けにも耐えられる」

 彼らのプレゼンを聞いた者なら、だれもがそう思うだろう。バイリンガルを匂わせる口調はなめらかで、すべてがテイクノートすべきご高説に聞こえる。
 東京都としては、「そうはさせない」というわけだ。外資ヴェオリアの向こうを張って、海外進出も視野に入れ実践していく。手始めは三菱商事などと組んで、オーストラリアへ進出だ。(*1)

 現在、世界の水需要は逼迫の極みにあり、世界の投機マネーは、天然資源になだれ込んでいる。空気と水と安全はタダだと思ってきた日本人には驚異だ。こうした水環境の中、東京都の踏み出しは、水道事業だけにとどまらない。視点がグローバルだから、さまざまな影響や問題も東京都には見えている。

 思い切った買収さえ、首都東京なら可能になる。

(*1)2010年5月、東京都はオーストラリアの水道事業会社UUAとコンサルティング契約を結んだ。UUAは、三菱商事、日揮、産業革新機構(官民出資)によって買収(150億円)された豪州水道事業会社で、約300万人に給水している。

“急募! 4000ヘクタールの水源林”首都東京の即効手段

 妙なうわさを耳にするようになった。経済成長が著しい中国が日本の山林を買いあさっている、と。
 目的は森林でなく水源地を押さえるためだ。将来の水不足を見越しての動きではないか。ならばどこで? 東北地方、いや中部地方かな。はっきりしない。日本の企業を買収しているらしく、実態はなかなかつかめない。以前はやった"口裂け女"のエピソードによく似ていないか。うわさばかりで、本当にみた人はいないのだ。

―― 猪瀬直樹「水ビジネスの時代」(*2)

 東京都副知事の猪瀬氏がそう書くぐらいだから、東京都でも話題になっていたのだろう。
 確かに東京都奥多摩地区では、2006年頃から外資による森林買いの噂が出ていた。首都圏の水がめだから気になっていた。
「奥多摩エリアについても、一度精査しておかねばならないかも…」
 そう思っていた矢先のことだった。

世界に誇る日本の水源林(写真:平野秀樹)

 2010年春、突如、東京都水道局は宣言した。
 『都、奥多摩の民有林買収 来月にも地権者募集』(*3)
 多摩川上流の〈水源林〉をすべて都有林にしていく計画だ。
 面積は約4000ヘクタール。山手線の内側のほぼ7割に相当する水源林(私有林)を都は所有者から買収する。林地ごと買い取るのだ。平均的な買収価格は公示価格を勘案して決めるという。

 なぜ、こういった大事業がはじまったのか?

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