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菅政権の歴史的役割はポスト冷戦「後」への対応

冷戦時代から続く不毛な「左右対立」を克服せよ

  • 宮家 邦彦

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2010年7月16日(金)

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 鳩山由紀夫内閣は普天間基地の移設問題で足をすくわれた。菅直人内閣は消費税論議でつまずいた。昨年秋に鳴り物入りで登場した民主党政権が迷走を続けている。有権者が政権交代を求めた理由はさまざまだろう。だが、多くの国民は「こんなはずではなかった」と首をかしげているに違いない。

 ただし、菅首相が掲げた今後の民主党政権の指針である「Manifesto2010」を見ると、菅首相の外交・安全保障政策は、鳩山前首相のそれに比べて進歩が見られる。両者を比較する際に使ったものさしは「歴史的視点」だ。日本が直面する課題は、民主党内の権力闘争や新たな連立の行方などではない。真に重要なことは、新しい国際環境を生き抜く力のある政府をいかにつくるかである。そのために菅首相は、歴史的視点に基づき、「現在」の政治経済状況を踏まえたスタンスを取ることが必要だ。

 「現在」は、既に「ポスト冷戦後」の時代に移行した。ソ連の崩壊により「冷戦」期が終了。世界は1990年代以降「ポスト冷戦」期を過ごした。「現在」は、ポスト冷戦の「後」の時代である。

 ポスト冷戦後の「あるべき姿」から見て、菅首相の方針は鳩山前首相のそれより前進している。しかし、まだ十分とは言えない。「冷戦」期、「ポスト冷戦」期の発想から脱し切れていないことが、マニフェストの文言に表れている。本稿は、まず菅首相のマニフェストと鳩山首相のマニフェストを比較する。その後、比較のものさしとした「歴史的視点」について解説する。最後に、菅首相が直面する外交・安全保障問題について、論点を整理するとともに、筆者が考える菅首相が取るべき道について述べる。

菅首相の外交・安全保障政策を採点する

 最初に、菅首相のマニフェストのどこに進歩が見られるのか、どこが旧態依然なのか、筆者の独断と偏見で採点する。総じて言えば、今年のマニフェスト外交部分はかなり改善されていると言えよう。

大見出し:責任ある外交で、開かれた 国益を実現

小見出し:地殻変動ともいうべき国際社会の大きな変化の中で、世界平和という理想を求めつつ、現実主義を基調とした外交を推進

 鳩山首相のマニフェストのような「ポスト冷戦期のリベラル・ナショナリスト政権的発想」が薄まり、最近の国際政治経済環境の激変を踏まえ、現実主義的外交を強調した点が目新しい。

総合安全保障、経済、文化などの分野における関係を強化することで、日米同盟を深化

 同盟の深化に言及しているものの、肝心の軍事分野における関係強化にはなぜか触れていない。同盟関係の基本が軍事協力であることへの認識を意図的に避けているような気がする。

普天間基地移設問題に関しては、日米合意に基づいて、沖縄の負担軽減に全力を尽くす

 普天間基地の辺野古移転という現実を受け入れたのはよかった。だが、ここでいう「日米合意」が何を指すのか。特に、過去2008年までの日米諸合意を含むのかどうかが大いに気になるところだ。

緊密で対等な日米関係を構築するため、日米地位協定の改定を提起

 「対等な関係」という時代錯誤的表現を残している。第2の普天間問題にもなりかねない「地位協定改定」に再び言及した。ここに、鳩山版と同様の「ポスト冷戦的思考」の残滓が見え隠れする。

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