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記者が見た米国農家の今

「人が食べる遺伝子組み換え作物を植え始めた」

2010年7月21日(水)

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 世界に広まる、遺伝子組み換え(GM)作物の作付け。記者はGM作物普及の旗振り役である米国の、ある農家を訪れた。そこには、これまでの飼料用ではなく、人が食べるためのGMトウモロコシが植えられていた。GM普及の理由を農家は「儲かるから」と語る。一方で、消費者からは根強い反発の声も。資本の論理と、消費者感情が対立する。農業先進国が作るルールに、輸入依存国日本は従うしかないのか。

※日経ビジネス7月19日号「食料がなくなる日」の読みどころ解説はこちら

 シカゴから向かう飛行機の窓の色が、空の青から緑色に塗り替えられる。一面に広がる農場が、その色の素だ。記者が訪れた米イリノイ州は、穀物輸出大国として知られる米国の中でも、穀倉地帯として知られる。

 世界3大河川として知られるミシシッピ川が緩やかに流れる。時として襲い掛かる嵐によって川が氾濫することも。災害の一方で、肥沃な土を運んでくる。それが穀倉地帯を支える基盤ともなっている。

「ようこそ、遺伝子組み換えの畑へ」

遺伝子組み換えのトウモロコシ

 40度を超える気温に60%を超える湿度。6月下旬とは思えない、酷暑とも言うべき環境の中、ケニス・ハートマン・ジュニア氏が大きな手を差し伸べて握手を求めてきた。

 「ようこそ、遺伝子組み換えの畑へ」

 ハートマン氏は3500エーカーの農地を持ち、大豆とトウモロコシ、小麦を作付けしている。今年は1800エーカーがトウモロコシ、1200エーカーが大豆、残りの500エーカーに小麦を植えている。トウモロコシと大豆はすべて遺伝子組み換え(GM)の種だ。ハートマン氏が持つ農地全体の86%を占める。

 「どの作物がどれだけ実をつけ、どれだけ収益を上げたのか。すべてパソコンで管理している。一番儲かる作物をより多く植える。だから毎年、作付けの割合は変わる」

 需要予測と収穫高――。

 米国の大規模農家の多くが、作付け品種や面積を変える戦略を持つという。このような“攻め”の姿勢が出始めたのは、GM作物が登場し、より安定的に収益を得られるようになったからだとハートマン氏は語る。

種子メジャーによる食の支配

 GM作物の種子メーカーは大手3社の寡占状態にある。GM大豆種子では世界シェア9割を超える米モンサント。デュポンの傘下で、同社全体のR&D(研究開発)費用の半分以上をつぎ込む米パイオニア、そしてスイスの種子メーカーであるシンジェンタだ。

 消費者や環境活動家らの反対運動が根強く続く中、GM作物の作付けは拡大の一途をたどっている。2010年には世界25カ国、1億3400万ヘクタールにまで拡大し、作付けが本格化した1996年に比べて約80倍にまで広がっている。

 米国農務省の調査によると、2009年における米国内でのGM作物の作付け比率はトウモロコシで85%、大豆で91%と圧倒的多数を占める。この勢いは北米だけでなく、南米にも広がりつつあり、ブラジルやアルゼンチン、チリなどの穀物輸出国へと拡大している。

作付面積は世界で急拡大
「GM作物の作付面積の推移 出所:国際アグリバイオオ事業団(ISAAA)」

コメント22件コメント/レビュー

同じ種の植物でも、早く芽を出す個体、平均的なタイミングで芽を出す個体、遅く芽を出す個体があることをご存知ですか。それによって、気候などの急変にも、種として生き残るための対応をしているのです。素晴らしい機能ですね。しかし、それを実現しているメカニズムは解明されていませんし、そのバランスを人為的に作るとこともできません。人間の実力なんて、そんなものです。(2010/07/27)

「食料がなくなる日」のバックナンバー

  • 2010年7月21日

    記者が見た米国農家の今

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「記者が見た米国農家の今」の著者

白壁 達久

白壁 達久(しらかべ・たつひさ)

日経ビジネス記者

2002年関西大学経済学部卒業後、日経BP社に入社。日経ビジネス、日経ビジネスアソシエを経て、2015年から香港支局長としてアジア全体をカバーする。2016年8月から日経ビジネス記者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

同じ種の植物でも、早く芽を出す個体、平均的なタイミングで芽を出す個体、遅く芽を出す個体があることをご存知ですか。それによって、気候などの急変にも、種として生き残るための対応をしているのです。素晴らしい機能ですね。しかし、それを実現しているメカニズムは解明されていませんし、そのバランスを人為的に作るとこともできません。人間の実力なんて、そんなものです。(2010/07/27)

大豆の自給率3%とは、情けない。毎日、納豆を食べてるが、スーパーで買う時、いつも国産大豆の表示を確認してる。でも先日、知ったところによると、国産大豆の中に遺伝子組み換えも混じっているとか。ほんとうかしら。日本の生産品は品質が良いことで、世界の信用を、得ているが、遺伝子組み換えでない、大豆をぜひ大量に生産する、システムを作ってほしい。限界集落などのお百姓さん頼みでなく、農林水産大臣が音頭をとって、会社組織にして大規模農業として、雇用も増やすのだ。15年ぐらい前だったろうか,定かでないが、中国のお百姓に米国人が遺伝子組み換えの種を宣伝して中国に売り込もうとしてるのを、テレビで見て、あっと思った。怪しからん事だわっと思った。業務スーパーの、冷凍野菜は全て、中国産である。こんなことで良いのか?日本人にアレルギーや、男子の精子減少、その他いろいろな以前になかった身体への影響が出てきてるのではないか?もっと、農業を大変身して甦らす努力を国を挙げて、今こそ、考える時ではないか。日本の主婦等も皆、遺伝子組み換えは嫌だと思ってる筈です。(2010/07/26)

>「遺伝子組み換え大豆をしようしております」という豆腐があれば率先して買いたい。それが日本の為になると思うから。問題は、豆腐をつくるのに美味しい遺伝子組換え大豆がない、というところでしょうか。サイレント・マジョリティの消費者が「遺伝子組換え反対」という声に押し切られている以上、メーカーも思い切って手を出すことはない、と思います。今作ってもコストが高くて、非組換えには対抗できない現状もあります。> 日本の食糧戦略がないのと、遺伝子改造種子を使わないということはイコールではないと思います。その通りですね。安全と安心がイコールではないことと同じです。いつからか、安心と安全がセットで言われるようになりましたが。(2010/07/26)

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