――今回の参院選で民主党が大敗した原因は何か? 有権者は、必ずしも自民党を支持しているとは限らないと思う。

政治学者。コロンビア大学政治学部バージェス教授、早稲田大学公共政策研究所客員教授、東京財団上席研究員・仮想制度研究所フェロー。学位は政治学博士(コロンビア大学)。 コロンビア大学東アジア研究所所長、コロンビア大学政治学部教授、東京大学法学部客員教授、慶應義塾大学法学部客員教授、政策研究大学院大学大学院政策研究科客員教授などを歴任。
カーティス 菅直人首相の消費税についての説明のまずさ、提示の仕方が選挙にマイナスだった。しかし、これらだけで民主党が負けたと考えるのは大間違いである。10カ月にわたる鳩山政権の動向を見て、国民は「日本を運営する能力が民主党にあるのか」という不安を抱いた。その懸念が根本的な敗因だと思う。菅氏は、鳩山政権の大失態を忘れさせるチャンスがあった。だが、消費税についての発言でそのチャンスを自ら逃した。
今回の選挙で民主党が負けた結果、自民党の議席数が増えた。特に1人区でそうだった。前回の総選挙で民主党に入れた人は絶望を感じて、今回の参院選では自民党に票を入れた。1人区では、民主党でなければ自民党しかない。そのため自民党に投票したのである。この流れは大きいと思う。
消費税増税は正しい、しかし提起の仕方を誤った
――消費税の増税を、菅首相は提起するべきではなかった?
提起すべきだったと思う。ただし、言う以上、中身のある話でないとだめだ。
もしオバマ大統領が2006年の大統領選で「医療保険制度を改革すべきだ。国民皆保険にすべきだ。具体的なことは大統領になってから、みなさんと相談する」と言っていたら、米国民はどう思っただろう? 「この人にリーダーシップはまったくない」と思ったに違いない。
だから菅氏は、消費税増税に触れる以上、矛盾したことを言ってはいけなかった。消費税率を引き上げる目的は、ギリシャのようにならないための財政再建なのか、福祉の拡充なのか、最後まではっきりしなかった。さらに「次回の総選挙まで1円も上げない」と言えば、いったいこの人は何を考えているんだ、ということになる。
私の考えでは、今の日本国民は消費税率の引き上げはやむをえないと思っている。にもかかわらず、消費税の議論そのものが先送りされることになった。菅首相の問題提起の仕方がよくなかったからだ。
――民主党が9月に代表選を行う。菅首相はどう出るか?
続投すると思う。しかし、これから菅氏が支持率をどこまで回復できるかによる。いま代表選をやれば、再任され続投になる。でも先のことは分からない。9月までに支持率が20%くらいまで下がれば辞任せざるを得ないだろう。
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