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農業生活に適応するようどんどん小進化してきた人間

生物も企業も競争力獲得のカギは共生

2010年8月5日(木)

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 人間を含む多細胞生物、即ち真核生物の細胞には、遺伝子が存在する場所が主に2つある。動物の場合は細胞核とミトコンドリアであり、植物の場合はミトコンドリアの代わりに葉緑体である。それぞれ独自のDNAを持っている。細胞核の遺伝情報は、母親と父親双方から来ているのに対して、ミトコンドリアの遺伝子は母親からだけで、言わば母親のミトコンドリアのクローンだ。

 細胞核は、ほとんどのDNA=ゲノムの存在場所であって、細胞が必要とするほとんどのアミノ酸=タンパク合成を指令しているが、ミトコンドリアは、生命活動を駆動するエネルギー生成のみに関与している。この2つの遺伝子群が細胞内で役割を分担して、複雑な生命維持活動を円滑に行えるようになっている。

 ところが、この2つは、太古の全く別の2種類の単細胞生物であったものが、融合して一つの細胞になったというのが定説だ。ミトコンドリアは元来、好気性の古細菌の一種だったらしい。葉緑体も太古は古細菌の一種であるシアノ・バクテリアの一種であったと考えられている。太古、全く別の生物であった大腸菌や藻類などの細菌類(真正細菌)と、嫌気性のメタン生成細菌や熱水鉱床などの極限環境に多い細菌類である古細菌が合体・融合して出来上がったのが、真核生物らしい。

 これは、有名な天文学者のカール・セーガンの奥さんであったリン・マーギュリスが、1970年代に提出した説であり、当時は荒唐無稽な説と見る学者も多かったようだが、現在では定説になった。真核生物、即ち多細胞生物は、単細胞生物よりも増殖速度も進化速度も遅いが、複雑で大きな体を作ることによって、なるべく危険を回避できるようにし、より事故死、餓死を防ぐことで生き残る戦略である。

相利共生で考えるビジネスの生存戦略

 真核生物は、複数の得意技の違う単細胞生物が合体・融合することによって、各細胞が複雑に機能分化する多細胞生物になることを可能とし、結果、シナジー効果で生存確率を向上させた。この2つ以上の別の単細胞生物の細胞融合は、蟻とアリマキ、花とミツバチ、果実と鳥の関係など、お互いにメリットを共有できるシナジーを得る、生態学で言う相利共生と基本的に同じである。

 生物の進化は、通常、一種類の生物が単独で進化するのではなく、競合したり依存したりする他の生物との関係の中で、共進化する。共進化には、相利共生と、捕食者と被食者の関係のような片利片害共生、ないし赤の女王効果=軍拡競争(寄生と被寄生者の関係、雌雄間競争等)等の幾つかのパターンがあるが、任意の種にとって、最も生存戦略として有効なのが相利共生である。

 この観点で、特定の会社、ビジネスの長期的な生存戦略を考えてみると、真核生物の誕生の様に、別の得意分野を持った異種の企業と、言わば「細胞融合」する戦略というのが有効だろうという見方ができる。別に変わった話ではなく、異分野間のM&Aである。これは、どの事業分野でも見られるが、筆者の専門であるエネルギー分野で最近の2例を紹介する。

スーパーメジャーの生存を盤石にしたシェールガス革命

 最近の2、3年でエネルギーの分野では、一般的には十分知られていない静かなる技術革命があった。太陽光発電や、それを利用するための技術であるスマート・グリッド、あるいは電気自動車に搭載する蓄電池などの技術開発は、マスメディアでは期待先行で喧しく論じられているが、この「静かなる技術革命」は天然ガスの生産技術に関するものである。この革命で、世界の天然ガスの資源量は一挙に数倍になり、平均生産コストもかなり下がると考えられている。

 従来の天然ガス資源は、在来型と呼ばれる。太古の有機物を含んだ土砂が、長い年月の果てに地中数千メートルに沈んで圧縮された堅い岩盤の高温高圧下で、埋蔵有機物が化学変化して生成される。その後、比重が軽いので上方に移動し、たまたまその上部に浸透性の極めて低いお椀型をした地層があった場合、その下に捕捉されて、濃縮され貯留したものである。

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