部品メーカーのユーシンが次期社長を公募する。かつては後継者選びにファンドを頼ったが、それも頓挫。急速な海外展開と人材不足という矛盾が表面化した。
「これ以上はこちらの寿命がもたないです。(高齢でも元気なスズキ社長兼会長の)鈴木修さんがうらやましい」
おどけているかのようだが、中堅自動車部品メーカー、ユーシンの田邊耕二社長は焦っている。現在、76歳。一度は病気療養のために一線から身を引いた同社長の最後の大仕事が、今始まる。「公募」による後継者探しだ。
新社長に求める条件はシンプルだ。年齢は30〜40代で、英語が堪能。365日、国内外を飛び回る体力を持ち、経営者に値する手腕を持ち合わせていること。これらを兼ね備えていれば、年収3500万円以上が約束される。

既に募集を開始しており、8月10日に締め切る。来年2月開催の株主総会で取締役に選出、2011年11月期中の社長就任を予定している。
1部上場企業が、新聞などを使って次期社長を公募するなど、極めて稀なケースと言える。そのような突飛な手段を選ばなければならなかった背景には、4年にわたる波乱があった。
事の始まりは2006年4月のこと。健康に不安を抱えていた田邊社長は、自らの後任探しを引き換え条件に、投資ファンドのRHJインターナショナル(旧リップルウッドホールディングス)から20%の出資を受け入れた。
2カ月後にはRHJ側が部品メーカー、ナイルスの元社長である竹辺圭祐氏を新社長として派遣した。ところが、この人事が後々、大きな波紋を広げた。
わずか1年3カ月後に、竹辺氏は辞任したのだ。前社長の田邊氏を担ぐ、ユーシン社内の生え抜き層が竹辺氏を事実上の解任に追い込んだ。5カ月の社長職空席の後、田邊氏が再登板した。
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