『私にとってEVとは、EV自体を創ることだけが目的ではありません。その向こう側にある新しい価値ある暮らしの創造が目的なのです。』
私は日産自動車のデザイナー時代に日本初のピュアEV「ハイパーミニ」のプロジェクトにコアメンバーとして参加していました。あれから12年。現在、世界中で大手自動車会社はもちろん、さまざまなベンチャー企業がこのEV事業に参入していますが、これまで自動車産業界の良い部分、悪い部分を体験してきた私は、なにか違った業界からEV事業が起こせないものかと長い間考えていました。
「人と街とEV」をつなぐスマートグリッド
以前、本コラムでこのようなことを書きました。
『ハイパーミニ2』はもしかしたら実体を持たないEVコミュニケーションツールかもしれません。
『ハイパーミニ2』はもしかしたらインテリジェンスな実体を持つEVコミューターかもしれません。
『ハイパーミニ2』はもしかしたら農園を走るアジアのスターになるかもしれません。
『ハイパーミニ2』はもしかしたら草食系の若者たちが好む新しい移動具かもしれません。
私の思いは日産「ハイパーミニ」の後継車を言っているわけではありません。これから「EVで儲けよう、稼ごう」がスローガンでは本当の暮らしは変わっていかないのです。これまでと同じ発想の ビシネススタイルの商品では「こころ」には何にも伝わりません。 EVを新しい暮らしの、新しいビシネススタイルの始まりにしたいのです。
私はEV事業を、ハードウェアだけでもなくソフトウェアだけでもない、その間をつなぐものとし、これまでにないビジネススタイルを生むきっかけにしたいと考えています。人と街とEV。これらの間をつなぐシステムやビジネスとEV事業をうまく併せ持ったアプローチができないものか。
その1つがEVに欠かせない電気供給に関わるスマートグリッドの概念です。
スマートグリッドとは、社会の電力供給を最適化する人工知能やIT(情報技術)を用いて統括的に管理する電力網のことを言います。現状の電力の管理、とりわけ暮らしの中の電力需要のコントロールはあってないようなものであり、大きな問題を抱えています。環境問題と直結した今後の電力網の考え方は暮らしのデザインと直結するものでなければいけないのです。
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デザイナー、SWdesign TOKYO代表、Audi Design Partner。1961年東京生まれ。武蔵野美術大学卒。84年日産自動車入社。シニアデザイナーとして、初代セフィーロ(88年)、初代プレセア(89年)、セフィーロワゴン(96年)などの量販車を担当した。89〜91年、英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート留学。日産勤務時代最後の作品として電気自動車のハイパーミニをデザインした。98年、アウディAG/アウディ・デザインへ移籍。シニアデザイナー兼クリエーティブマネジャーとして、現行のA6、Q7などの主力車種を担当した。アウディのシンボルとも言えるシングルフレームグリルをデザインし、その後「世界でもっとも美しいクーペ」と評されるA5を担当した。そのほかAudi Pikes Peak Quattro、Audi Avantissimoなどのショーカーも担当した。2009年6月アウディから独立。自身のデザインスタジオ「

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