「ジャパン・ウォッチャーの眼〜参院選とその後」

民主と自民党は政策を磨き、二大政党制を

短期的には連立の動向に注目

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2010年7月26日(月)

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――今回の参院選挙の結果をどのように分析するか。「鳩山由紀夫前首相が犯した失策の影響が大きい。菅直人首相は悪くない」という人もいる。

スティーヴン・K. ヴォーゲル
カリフォルニア大学バークレー校準教授。プリンストン大学卒業。バークレー校で政治学博士号。専門は、先進工業国、特に日本の政治経済学。「ジャパン・タイムズ」の 記者、「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン」「フィガロ」のフリー特派員を経験。

ヴォーゲル 菅首相にも、もちろん責任がある。選挙前に消費税問題を持ち出すことは典型的な失策である。菅氏は歴史から何の教訓も得ていない。日本史と世界史を見ると、選挙前に増税を強調することはよくない。

 消費税率をいつかは引き上げなければならないことについては、ほとんどの有権者は賛成するだろう。だが、経済的な観点から見るとそのタイミングについては間違っている。今は最適な時ではないだろう。

 政治的な角度から見ても、菅首相は絶対に間違っている。今は、この問題を提示するときではない。選挙が済むまで待つべきだった。しかも、もっとじわじわと、国民の理解を引き出す方法で提示すべきだった。菅氏はベテランの政治家であるにもかかわらず、政治判断において大きな間違いを犯した。

――もし鳩山前首相が辞任していなかったら、選挙結果は民主党にとってもっと悪くなっていたと思うか。

 もっと悪くなっていた可能性があると思う。ただし、もし菅氏が消費税問題を持ち出さなかったら、はるかにいい結果になっていただろう。そういう意味で菅氏は、責任の一部を負わなければならないと思う。

消費税増税の議論は「過ぎたる」ものだった

――ここまで民主党が悪い結果になると予想していたか。

 ほとんどの人と同じように、私もここまでひどいとは予想しなかった。過半数を獲得するとは思わなかったが、予想よりも悪かった。今の日本は無党派の人が非常に多いので、投票の向きが短期で大きく動く可能性がある。もし選挙が2週間早く行われていれば、民主党はもっといい結果を残せただろう。もちろん、菅氏が大きな失態をやらないということを仮定しての話だ。菅氏は「万歳!小沢と鳩山を追い出した!」と笑って言うべきだった。

――そう思う。タイミングは非常に重要だ。

 鳩山氏と小沢氏が辞任するタイミング、つまり選挙の1カ月前というのはとてもよかったと思う。

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著者プロフィール

大野 和基(おおの・かずもと)
ジャーナリスト

大野 和基

1955年兵庫県西宮市生まれ。大阪府立北野高校卒。東京外語大英米学科卒業後、79年渡米。在米18年。米コーネル大学で化学、ニューヨーク医科大学で基礎医学を学んだ後、ジャーナリストの道に進む。以来、国際情勢の裏側や医療問題に関するリポートを発表するとともに、ヘッジ・ファンドの帝王ジョージ・ソロスや元CIA長官、映画監督マイケル・ムーア、えひめ丸事件の乗客、北朝鮮に拉致された曽我ひとみさんの米国人夫ジェンキンス氏の家族など、要人・渦中の人物への単独インタビューを次々とものにしてきた。単独での海外現地取材が圧倒的に多く、年間フライト数は80回を越える。翻訳『外科の夜明け』(小学館)があり、2009年5月17日に書き下ろしで『代理出産―生殖ビジネスと命の尊厳』(集英社)を発売。



このコラムについて

ジャパン・ウォッチャーの眼〜参院選とその後

 長年、日本をウォッチしてきた3人の米国人学者、ジャーナリストが参院選の結果を分析するとともに、参院選「後」の政局、外交問題を展望する。

 日本ウォッチャーとして、リチャード・カッツ、ジェラルド・カーティス、スティーブン・ボーゲルの3氏に登場していただく。カッツ氏は、日本お よび日米関係をテーマにしたニューズレター「The Oriental Economist」編集長。日本を30年にわたって取材している。カーティス氏は政治学者。早稲田大学で、公共政策研究所で客員教授を務めた経験を持 つ。ボーゲル氏はカリフォルニア大学で教鞭を取る政治学者。ジャパンタイムス記者の経験も持つ。

 7月の参議院選挙で与党・民主党が大敗した。有権者は、民主党が308議席を獲得した昨年の衆院選とは明らかに異なる選択をした。その理由は何 だったのか? 国会は、再び“ねじれ”に直面した。参議院で多数を占める野党は、この状況をどう“生かす”のか? 菅直人首相はこれをどう乗り切るのか? そして、ねじれ国会は国民に何をもたらすのか? 日本を取り巻く状況は、菅首相に多くの時間を与えはしない。普天間問題をどう進展させるかは、日米関係の将来に大きな影響を与える。

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