「時事深層」

時計業界、中国特需後の不安

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2010年7月30日(金)

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中国人観光客の増加が腕時計需要の回復を後押ししている。各社は電波時計を軸に、中国市場の開拓も加速する。だが先を見据えると、ブランド力のさらなる強化が不可欠だ。

 「和光なんか売り払って、メーカー色をもっと強めてほしい」──。

 セイコーホールディングスが6月末に開いた株主総会では、株主から不満の声が相次いだ。社長解任劇となったお家騒動に加えて、業績は保有不動産の損失計上などで2期連続の最終赤字。やり玉に挙がった和光は、東京・銀座の一等地で高級腕時計などを販売するが、街に客が溢れる日曜日は休業。株主の苛立ちはもっともではある。

日本の腕時計完成品の輸出量における地域別構成比

 だが、今の時計業界の状況を考えると、和光こそセイコー復活の切り札となり得る。急速に高まる中国への依存度がその理由だ。日本時計協会によると、2009年の国内メーカーの腕時計完成品の総出荷量(輸出を含む)は約5700万個と前年から19%も減少した。ただし輸出の地域別構成比では、不振の米欧市場を尻目に、中国を中心としたアジアは43%まで増加した。

 今年に入って国内需要は底入れし、セイコー、シチズンホールディングス、カシオ計算機の大手3社は揃って、2011年3月期の業績回復を見込む。ただし、消費者の財布の紐はなお固く、需要はジリ貧から完全に脱却したとは言い難い。そこで浮かび上がるのが中国人観光客だ。折しも、7月1日から中国人向け個人観光ビザの発給要件が富裕層から中間層まで広がった。

 訪日客の間で日本メーカーの腕時計の人気は根強い。主戦場となる家電量販店の店頭に中国語のカタログを置いたり、「中国未発売の機種を集めたコーナーを設置する」(シチズン)など、各社は囲い込みに余念がない。

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伊藤 正倫(いとう・まさのり)

日経ビジネス記者。



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