400m離れた先から操作可能な救助ロボットを生み出し、世界に注目される。技術力を見込んだ韓国、シンガポール、デンマーク政府が誘致に動く。国内外50以上の大学、研究機関と協力関係を結んでいることが、強さの源泉だ。
「イ・ミョンバク大統領の初来日に合わせて、東京に来てもらえませんか」
2008年4月、福岡県でロボット製造を営むテムザックの高本陽一社長は韓国政府から突然、こう依頼を受けた。
イ大統領に随行した韓国の政府高官はテムザックに対して、韓国企業との技術提携とその見返りに開発資金の供与を申し入れ、その場で覚書を交わした。イ大統領は高本社長と握手をして、「ぜひ一緒にやりましょう」と語りかけたという。
ロボット開発で高い技術力を持つテムザック。その後も、韓国や台湾メーカーから出資話が次々と舞い込んでいる。昨年にはシンガポールとデンマーク政府が相次いでテムザックを訪れた。福岡県の小さなベンチャー企業を巡って世界の争奪戦が始まっている。
30種類以上のロボットを開発
テムザックは2000年に設立して以来、30種類以上のロボットを生み出した。本社は北九州市と福岡市の中間に位置する宗像市にある。社屋はのどかな農村地帯、玄界灘にほど近い小高い森の中にあり、さながら秘密基地のようだ。薄暗い入り口を入ると受付ロボット「テムザック4号機」や留守番ロボット「ロボリア」などが並ぶ。奥には番犬ロボット「番竜」や甲冑を身にまとった人型ロボット「キヨモリ」がある。

高本社長は「不便な場所だがロボット開発には向いている。大型ロボットの組み立ても屋内でできるし、広い駐車場で実験もできる」と笑顔で話す。
創業以来、高本社長が掲げている開発テーマは「人に役立つロボットを作る」ことだ。人に代わってロボットが作業をする。その代表例がレスキューロボットの「援竜」だ。
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