「時事深層」

【隠れた世界企業】韓国大統領が提携申し入れ

テムザック(福岡県宗像市、ロボットの開発・製造)

バックナンバー

2010年7月29日(木)

1/3ページ

印刷ページ

400m離れた先から操作可能な救助ロボットを生み出し、世界に注目される。技術力を見込んだ韓国、シンガポール、デンマーク政府が誘致に動く。国内外50以上の大学、研究機関と協力関係を結んでいることが、強さの源泉だ。

 「イ・ミョンバク大統領の初来日に合わせて、東京に来てもらえませんか」

 2008年4月、福岡県でロボット製造を営むテムザックの高本陽一社長は韓国政府から突然、こう依頼を受けた。

 イ大統領に随行した韓国の政府高官はテムザックに対して、韓国企業との技術提携とその見返りに開発資金の供与を申し入れ、その場で覚書を交わした。イ大統領は高本社長と握手をして、「ぜひ一緒にやりましょう」と語りかけたという。

 ロボット開発で高い技術力を持つテムザック。その後も、韓国や台湾メーカーから出資話が次々と舞い込んでいる。昨年にはシンガポールとデンマーク政府が相次いでテムザックを訪れた。福岡県の小さなベンチャー企業を巡って世界の争奪戦が始まっている。

30種類以上のロボットを開発

 テムザックは2000年に設立して以来、30種類以上のロボットを生み出した。本社は北九州市と福岡市の中間に位置する宗像市にある。社屋はのどかな農村地帯、玄界灘にほど近い小高い森の中にあり、さながら秘密基地のようだ。薄暗い入り口を入ると受付ロボット「テムザック4号機」や留守番ロボット「ロボリア」などが並ぶ。奥には番犬ロボット「番竜」や甲冑を身にまとった人型ロボット「キヨモリ」がある。

北九州市の戸畑消防署に配備している救助ロボット「援竜」と、開発したテムザックの高本陽一社長 (写真:菅 敏一)

 高本社長は「不便な場所だがロボット開発には向いている。大型ロボットの組み立ても屋内でできるし、広い駐車場で実験もできる」と笑顔で話す。

 創業以来、高本社長が掲げている開発テーマは「人に役立つロボットを作る」ことだ。人に代わってロボットが作業をする。その代表例がレスキューロボットの「援竜」だ。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント0件受付中
トラックバック
著者プロフィール

宇賀神 宰司(うがじん・さいじ)

日経ビジネス記者。1993年に日経BP社に入社し、パソコン専門誌「日経MAC」「日経クリック」「日経WinPC」の編集を担当する。2002年〜2004年、米ニューヨークに留学。帰国後、中小企業のためのIT化情報サイト「SMB+IT」「日経ベンチャー(現・日経トップリーダー)」の編集を経て、2007年から「日経ビジネス」編集部。流通、中小ベンチャー、マネジメント、IT(情報技術)を担当する。2011年、約4カ月にわたりケニアの首都ナイロビに滞在。趣味はサーフィン、スノーボードとサンバ楽器演奏。



このコラムについて

時事深層

日経ビジネス “ここさえ読めば毎週のニュースの本質がわかる”―ニュース連動の解説記事。日経ビジネス編集部が、景気、業界再編の動きから最新マーケティング動向やヒット商品まで幅広くウォッチ。

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン

日経ビジネスからのご案内