「時事深層」

ウナギは陸で創る

最新・養殖技術(水産総合研究センター、近畿大学)

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2010年7月30日(金)

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世界で漁獲制限が進み、魚食を好む日本への“包囲網”が狭まりつつある。水産資源の安定確保策の1つが、他国をリードする養殖技術だ。世界初のウナギの完全養殖は、次代の食を守る技術として注目を集める。

 7月26日は土用の丑の日。この日に栄養価の高いウナギを食べ、暑い夏を乗り切ろうというアイデアは、約200年前の江戸時代の発明家、平賀源内が発案したとする説が有力だ。だが、今、香ばしいにおいを漂わせる蒲焼きに大きな壁が立ちはだかろうとしている。

 ウナギ流通量が世界的に急減しているのだ。日本で食べられるウナギは99%が養殖もの。そのうち3分の2は中国からの輸入で、残りが国産だ。

 養殖ウナギは天然ウナギの稚魚であるシラスウナギを捕獲して育てる。そのシラスウナギの捕獲量が、右のグラフにあるように年々減っており、養殖できる個体数が減少している。

 12月から翌年4月までが例年、シラスウナギ漁の時期とされる。水産庁の発表では今年2月までのシラスウナギの捕獲量は前年同期比9割減と壊滅状態。3月以降、若干回復したが、結果は昨シーズンに比べ7割以上少ない9.2トン(推計値)と厳しい状況に変わりはない。欧州ではシラスウナギの捕獲に制限をかける動きがあり、近い将来、それを基に養殖する中国産ウナギの輸入も減る可能性がある。

ウナギ大国の日本。完全養殖の早期事業化が切望される

 このため、世界のウナギ消費量の7割を占める日本では、稚魚の捕獲に依存せず、卵から孵化させて育てる「完全養殖」の実現が望まれていた。

 しかし、研究は1960年代に始まったものの、半世紀近い時を経ても実現できていなかった。ウナギの生態そのものに未解明な点が多かったからだ。

謎多きウナギの生涯

 成長したウナギは川の中流から下流、あるいは河口や湖などに生息するが、産卵の際には海に帰る。広い太平洋のどこで卵を産み、何を食べて育ち、どうやって日本へ戻ってくるのかは、長きにわたって謎に包まれていた。

 そんな中、今年4月に独立行政法人・水産総合研究センターが「ウナギの完全養殖に成功した」と発表したことは、世界の水産関係者を驚かせた。

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著者プロフィール

白壁 達久(しらかべ・たつひさ)

日経ビジネス記者。日経BP社入社後、日経ビジネス編集部に配属。翌年日経ビジネスアソシエ編集部へ移り、若手ビジネスパーソン向け経済情報を取材・執筆する。2007年から再び日経ビジネス編集部へ。重工、中堅・中小企業を担当。近年は第一次産業や人材業界に関する取材にも注力する。趣味は幼少期から続く宝塚歌劇鑑賞(月2回の観劇はマスト)と、ハマってから6年目になる阿波踊り。今年も徳島と東京・高円寺で踊る予定。



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