千葉県柏市、愛知県豊田市、横浜市と並んで内閣府の「ITS(高度道路交通システム)実証実験モデル都市」に選定されている青森市。地域ITSの普及がなかなか進まない中、なぜ、青森市ではITSの推進活動が盛んなのか――。その裏には、日本初のITSのNPO法人、青森ITSクラブの存在があった。今回は青森ITSクラブの中心的人物で、常務理事・事務局長を務める葛西章史氏の活動にスポットを当てた。

青森ITSクラブ常務理事・事務局長。1968年、青森市生まれ。青森市内の会社勤務を経て1999年に情報系のベンチャー企業設立。2003年にNPO法人青森ITSクラブを設立。2010年から社団法人土木学会 実践ITS研究委員を務める。
「青森市は、全国の県庁所在地の中で唯一“特別豪雪地帯”に指定されています。冬季は路線バスが予定よりも30分や1時間、遅れて到着するのが当たり前。それが青森のイメージダウンにつながらないよう、先手を打っておきたいのです」
そう語るのは、NPO(非営利団体)法人「青森ITSクラブ」の常務理事で、事務局長を務める葛西章史氏である。
2010年12月4日に東北新幹線新青森駅が開業する。これを機に訪れる観光客が、いかにスムーズに市中心部と行き来できるかは、地域全体の重要な問題である。
新青森と市中心部との間が大問題
新青森駅と既存の青森駅の間は4km離れており、新青森駅を降り立った観光客は中心市街地までバスやタクシー、レンタカーを使って移動する以外方法がない。
新幹線開業は青森にとって100年に1度の大事業である。現在、青森市では、新青森駅から青森駅経由の青森市観光ルートバスを走らせるなど新規顧客の受け入れ態勢の整備に余念がない。
しかし、開業が冬の時期ということもあり、バスの遅れなどが雪に慣れない観光客に不安を与えるのではないかと心配は尽きない。バスの到着が遅れたせいで予約していた新幹線に乗り遅れてしまったとなれば一大事だ。
そんな中、大きな期待が寄せられているのがITS(高度道路交通システム)。そして、その推進にあたり、けん引役を担っているのが葛西氏なのである。(ITSの解説はこちら)
雪国特有の課題を多く抱える
葛西氏が青森ITSクラブを発足したのは2001年10月のこと。それを2003年3月にNPO法人化した。ITS関連のNPO法人は国内でも極めて珍しい。以来、地道かつ精力的にITSの推進活動を行ってきたことが認められ、今回、千葉県柏市、愛知県豊田市、横浜市と並び内閣府の「ITS実証実験モデル都市」に選定された。
青森市は、吹雪や視界不良による交通障害への対応、生活交通を確保するための除排雪や歩行者の安全確保といった雪国特有の課題を多く抱えており、モデル都市の条件は揃っている。とはいえ、北海道やほかの東北の都市でなく、青森市になったのは、青森ITSクラブの存在が大きい。
全国各地でITS協議会が設立されているのに、青森市で、地域ITSの推進活動が盛んなのはなぜなのか――。その理由を知ろうと、さまざまな地方自治体が葛西氏の元を訪れるという。
葛西氏は「ほかの地域でITSが進んでいないのは、ITS協議会の多くが行政主導となっているからではないか」と指摘する。
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