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「電池のないEV」がなぜ走る?

【交通編4】発想の大転換、ちょこちょこ充電するクルマが拓く大きな未来

2010年8月6日(金)

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 CO2削減による環境保護の観点から、自動車業界はガソリンから電気へと大きく転換しようとしている。しかし、電気自動車にはガソリン自動車には真似のできない様々な特技がある。それを活かすことで、我々のライフスタイルは大きく変わるかもしれない。今回は、東京大学新領域創成学研究科・先端エネルギー工学専攻の堀洋一教授が取り組んでいる、電池を持たず、ワイヤレスでエネルギーを補給する電気自動車を紹介しよう。

 「おじいちゃんが若い頃にはガソリンスタンドというものがあってね、自動車は3、4日に1回、そこでガソリンを入れないと、走れなかったんだよ」――。

 十数年後か、数十年後か、人々がガソリンスタンドの存在を忘れる日がやってくるかもしれない。ガソリンスタンドが減る一方で、現在、東京都内を中心に、電気自動車(EV)充電スタンドやバッテリー交換ステーションの設置が始まっている。

充電スタンドが必要なくなる!?

電池を持たない電気自動車の研究開発を行っている東京大学新領域創成学研究科・先端エネルギー工学専攻の堀洋一教授

 「しかし、都心の街中ではそれすら必要なくなるかも知れない」

 そう語るのは、東京大学新領域創成学研究科・先端エネルギー工学専攻の堀洋一教授である。堀教授が取り組んでいるのは、「電池を持たない電気自動車」。しかも、エネルギーをワイヤレスで供給しようという一風変わった仕組みだ。

 現在、CO2削減による環境保護の観点から、自動車業界はガソリンから電気へと大きく転換しようとしている。そのため、世界各国が優れた蓄電池の開発にしのぎを削っている。主役は放電電圧と、蓄電装置の大きさに対する蓄積エネルギーの容量を示す「エネルギー密度」が高いリチウムイオン電池だ。例えば、三菱自動車の電気自動車「アイミーブ」も、総重量200kgのリチウムイオン電池を搭載している。

 アイミーブの場合、本体に装備している車載充電器により、一般家庭用の交流200ボルトまたは交流100ボルトのコンセントから充電ができる普通充電システムと、今後、各所でインフラ整備が行われていく急速充電器による急速充電システムの2種類が用意されている。

コンデンサーの一種を活用

 しかし、ここで問題となるのが、充電時間だ。最高時速は130kmで、充電1回あたりの航続距離は最長160kmである(カーナビもエアコンも一切使用しない場合)。ガソリン自動車の場合、満タンに給油した場合の航続距離が400~500kmということを考えると、3倍以上の頻度で給電しなければいけない計算だ。ところが、フル充電させようと思うと、一般家庭用の電源で8時間以上、急速充電器を使っても30分もかかってしまうのである。

 そのため、給電回数を減らすには、よりエネルギー密度の高い蓄電池を開発するか、蓄電池をたくさん搭載するしかない。前者に関しては開発を待つしかないが、後者で解決しようとすれば車体が重くなり、エネルギーの効率が落ちてしまう。

 電気自動車を普及させるには、いかに高速かつ簡単に給電できるようにするかが大きな鍵となる。その1つの解が、堀教授が提案する電気自動車である。

 従来型の電気自動車と大きく異なるのは、電気を貯める蓄電装置に電池を使わず、「キャパシタ」という電気部品を用いる点だ。

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「「電池のないEV」がなぜ走る?」の著者

山田 久美

山田 久美(やまだ・くみ)

科学技術ジャーナリスト

早稲田大学教育学部数学科出身。都市銀行システム開発部を経て現職。2005年3月、東京理科大学大学院修了(技術経営修士)。サイエンス&テクノロジー、技術経営関連の記事を中心に執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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