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「電池のないEV」がなぜ走る?

【交通編4】発想の大転換、ちょこちょこ充電するクルマが拓く大きな未来

2010年8月6日(金)

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 キャパシタとは、多くの電気製品に使われている電子部品「コンデンサー」の一種である。プラスとマイナスの電極が対になっていて、ここに電荷をとどまらせることで電気エネルギーを蓄える。その中でも、「電気2重層」という構造になっているキャパシタは、大容量であることが特徴だ。

100万~200万回の充放電が可能

 キャパシタは、ほんの数十秒で充電を完了することができ、しかも充放電を繰り返しても劣化しない。これが、電気自動車の常識を大きく覆す可能性を秘めている。

 電池内部で化学反応を起こしながら充放電するリチウムイオン電池は、充電時間が長いだけでなく、充放電のたびに劣化していく。充放電の回数は1000~2000回が限界とされる。現在実用化されている電気自動車のリチウムイオン電池の場合、毎日充放電を繰り返した場合、3年程度で寿命が来てしまう計算だ。

右の銀色のパッケージがキャパシタ。これを複数組み合わせて左のような白いケースに入れ、蓄電装置にする

 しかし、化学反応を伴わないキャパシタなら100万~200万回の充放電が可能だから、寿命は半永久的と言えるレベルに達する。しかも、リチウムイオン電池とは違って、端子間の電圧からエネルギーの残量を正確に測れるという利点もある。

 「毎日、何度も充放電を繰り返すためには、寿命が長く、高速に充電できることが重要だ。その点、化学変化を伴わないキャパシタは最適と言える」と堀教授は主張する。

 リチウムは鉄やアルミニウムなどに比べて産出量が少ない「レアメタル」に属する金属だ。しかも、原料は輸入に頼っており、将来に渡って安定的に確保することが不安視されている。キャパシタはこうしたレアメタルに依存する部材が少なく、“資源貧国”である日本と相性がいい蓄電装置だと言える。

電車のようなエネルギー供給方法

 ただし、キャパシタには決定的な弱点がある。それは、エネルギー密度が小さいことだ。

 現在の技術では、リチウムイオン電池の約10分の1しかない。例えば、堀教授が開発したキャパシタ電気自動車「C-COMS」の場合、1回充電して時速40kmで走った場合、10~20分程度で電気エネルギーが空になってしまう。

 蓄電装置に使えるキャパシタが、電気自動車の分野で主役になれなかった理由は、まさにここにある。

 しかし、堀教授は「これまでの固定観念を捨てることで、大きな可能性が見えてくる」と話す。ここで言う固定観念とは、「電気自動車も、ガソリン車に負けないようエネルギーをできる限り多く搭載し、航続距離を伸ばす」という考え方だ。

 堀教授は電車を例に取る。「ほとんどの電車は、車両単体での航続可能距離はゼロkm。それでも走っているのは、架線からエネルギーを供給し続けているからだ。ガソリン車はタンクを積んで、時々、給油しなければならないが、電気自動車なら電車のようなエネルギー供給ができる」。

動画へのリンク
C-COMSの走行実験
画像をクリックすると動画をご覧いただけます。(WMV形式)
動画へのリンク
“満タン”の200ボルトになるまでにはほんの数十秒。メーターの数値がどんどん上がっていく(実験車両は充電プラグを利用している)。
画像をクリックすると動画をご覧いただけます。(WMV形式)

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「「電池のないEV」がなぜ走る?」の著者

山田 久美

山田 久美(やまだ・くみ)

科学技術ジャーナリスト

早稲田大学教育学部数学科出身。都市銀行システム開発部を経て現職。2005年3月、東京理科大学大学院修了(技術経営修士)。サイエンス&テクノロジー、技術経営関連の記事を中心に執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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