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第7回:「会社の内側」「会社の外側」という区別が消えていく

2010年9月2日(木)

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 タイトルが「私達の自立宣言 ~会社と個人の新しい関係をつくろう」となっている通り、本欄のテーマは、個人の生き方と組織のあり方を見つめながら、両者の新しい関係性について考えてみよう、ということになっている。私自身はいくつかの転職をしながら今のキャリアを作ってきているのだが、必ずしも転職をしたり独立したりしなくても、個人の人生は個人の人生として設計することは出来るし、それを追求することも出来るよ、ということを言いたいコラムだ。実は、連載開始前の準備段階では、「私達の独立宣言」というタイトル案も編集部から頂いたのだが、「組織にいながらにして個人が“自立”する」という新しい世界観を表現したくて、あえて「自立」という言葉にこだわった、という経緯もある。

 そんなわけで、第6回までは、個人をとりまく環境が変わってきていることや、そこで意識していきたい生き方のヒントについてお話ししてきた。だが、ほとんどの人は組織に属しながら生きているわけだから、個人の話だけでは埒が明かない。そろそろ、組織が今後どうなっていくのか、ということについて掘り下げたい。

壁で仕切られた「法人格」から、浸透膜で囲まれた「生態系」へ

 ビジネスの世界では、「組織」という言葉が登場しない日はないくらい、その存在感は大きい。だが、「組織」という言葉の使われ方は状況によっていかようにでも変わる。例えば、「自分の部」を指す言葉で使うこともあれば、「会社全体」、あるいは「グループ全体」という意味で使うこともできるわけで、レベルも規模もその構造も、誰がどの文脈で使っているかによって「組織」の意味は変化自在なのだ。

 一方で、企業経営上の「組織」の位置づけや役割については、過去いろいろなことが言われてきた。アルフレッド・チャンドラーは「組織は戦略に従う」と言っている。ピーター・ドラッカーによれば「組織の狙いは凡人が非凡な成果を上げる状態を創ること」だそうだ。有名な経済学者のコースという人が言った「組織の内・外のラインは、内部化する方がコストが安いライン」というフレーズも、よく知られている。これらの法則は、提唱されてから数十年経っても、「組織」の本質を押さえているものと重宝され、企業はこの法則に則って意思決定を繰り返している。

 しかし、様々な定義はあるとしても、今のビジネスの世界においての組織は、「法人格」を一単位とするものではなくなっているのではないかと私は思う。つまり、法人格の壁の「外にいるか、中にいるか」で組織の一員であるかどうかを区別する、というものの見方は通用しなくなってきているのではないか、ということだ。組織の枠はもはや「壁」で仕切られるのものではなく、同一のビジョン、戦略、そして価値観を共有する企業や個人によって形成された「生態系」になりつつある。そして、その生態系は分厚い壁に囲われるかわりに、同質の企業や個人が自由に出入りできる「浸透膜」でくるまれているようなつくりになっているのではないか。私はそんな風に考えている。

「自前主義」を捨てて、異能の「アグリゲーション」で勝つ

 昨日の正解が今日も正解かどうかわからない。そんな変化の速い今の時代において、自社が持っているものだけで競争に勝ち続けるのは難しくなっている。そんな中、自社が価値を創出する本業以外の業務を、効率化を目指して外部にアウトソーシングする、という動きは、過去10年でだいぶ進んできたものの、大半の日本企業は、従来の自社法人格の中で事業運営を完結する「自前主義」から、本質的には脱却出来ていない。つまり、人財も資産も、出来るだけ自社の中に存在するものを活用し、そこから創出されるものの中に価値を見出そうという発想が、依然根強いのだ。だが、今グローバル競争に勝っている企業は、「自社」という概念を早くもとっぱらい始めている。無駄な業務を外に出し、自社の本業効率を高めて競争力を上げる、という視点ではなく、ビジョンや価値観を共有する企業や個人が集まり、自社の強みと「他者(必ずしも他社ではない)」の強みを組み合わせる、あるいは役割分担することで、全く新しいゲームのルールを作ってマーケットを制する、という新しい勝ち方に移行しているのだ。

 iPhoneやiPadを世に送り出したアップル社のアプローチは、わかりやすい例だろう。彼らは世界中の人にとって魅力的なデバイスとOSをデザインし、そこにiTunesを軸としたプラットフォームを作って乗せた。そしてその上で動くアプリケーションについては、自分達で開発することはせずに、全世界のアプリケーション開発者に対してオープンにしたのだ。その結果、現在iPhone、iPad上で動くアプリケーション総数は、15万本を超えている。また、同社はデバイスの製造を台湾のホンハイ社に完全アウトソースしているが、アップル社がホンハイ社を選んだ理由は、その圧倒的な開発製造スピードだと言われている。通常はどんなに早くても1年半かかるものを、アップル社がアイデアを出してから半年でマーケットに出せる品質でつくりあげてしまう、という目を見張るスピードが、次から次へと魅力ある製品を世に送り出すアップル社の戦略を支えている。

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「第7回:「会社の内側」「会社の外側」という区別が消えていく」の著者

柴沼 俊一

柴沼 俊一(しばぬま・しゅんいち)

日本銀行、マッキンゼー&カンパニー、ファンド投資先経営を経て、2009年1月からシグマクシスに入社。パートナー(役員)として、戦略コンサル、M&Aアドバイザリー、事業開発など、新サービスを開発・提供

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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