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英語に“敵対”していたフランスでも逆らえない

欧州で英語が公用語化している現実

  • 河合 江理子

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2010年9月7日(火)

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 ネットモール「楽天市場」を運営する楽天やカジュアル衣料店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングなどが、社内の公用語を「英語」とする方針を打ち出した。グローバルでの取り組みを考えて「言語を同じにしなければならない」という主張がある一方で、「正確なコミュニケーションができないのではないか」「仕事よりも英語ができる人材が評価されるのではないか」という意見も出てきている。

 このように賛否両論が相次ぐ日本の状況を、そもそもは英語が必ずしも公用語ではない地域であるフランスやスイスといった欧州で働くビジネスパースンはどう見ているのだろうか。その経験から、英語との上手な付き合い方を学んでいく。

 この夏、スイスから日本に一時帰国した私は、少しびっくりした。楽天やファーストリテイリングなどの「英語」公用語化に対して、賛成と反対、様々な考え方が噴出して大きな話題になっていたからだ。でも落ち着いて考えてみれば、今の時代、日本企業でも韓国企業でもフランス企業でもドイツ企業でも、世界を相手に仕事をしている人たちが英語やほかの外国語を話すのは普通のことと言えるのではないだろうか。

 企業のグローバル化が進むにつれて、英語を公用語として採用する企業は非英語圏で増えつつある。公用語といっても、英語以外の言葉を禁止するわけではない。現在の公用語(フランスの企業ならフランス語、ドイツの企業ならドイツ語)と英語も公用語として併用するということである。国籍の異なる関係者が理解できる言葉ということで、英語が選ばれている。

 従って、普段は英語も公用語というフランスの大企業では、フランス人同士であればフランス語を話す。すなわち、日本人しかいない会議で、わざわざ英語で話をしなければならないということではない。日本国内の仕事で、日本人しか働いていないのに高度の英語の能力を求められることはないのである。

EU発足が、英語の公用語化のきっかけ

 私は25年近く、欧州企業を中心に働いてきた。スイスのバーゼルという地方都市にあるBIS(国際決済銀行)とパリにあるOECD(経済協力開発機構)という2つの国際機関は、ともに英語が公用語化されている組織だった。ロンドンのシティーでファンドマネジャーを務めたり、ポーランドのワルシャワで民営化に携わったりした際も、英語で仕事をしてきた。

 こうした経験を踏まえてはっきり言えるのは、1993年11月にEU(欧州連合)が発足して以来、欧州では英語公用語化は大きな流れとなっているということだ。フランスは英語に対して“敵対的”であったが、そんなフランスでさえも英語が浸透してきている。最近ではパリの地下鉄の切符売り場でも駅員が片言の英語を話す。アメリカ人訛りのフランス語を話すアメリカ人の女性が、「市場で野菜を買うのにも英語で返事が返ってくるのよね」と嘆いている。

 私が勤務していたBISは、1930年にドイツが第1次世界大戦の賠償金を支払うために設立された世界最古の国際機関である。スイスは小さい国でありながら、ドイツ語圏、フランス語圏、イタリア語圏に分かれている。BISが拠点を構えるバーゼルはドイツ語圏である。銀行から一歩、外に出れば、スイス方言のドイツ語が話されているような場所だ。

 BISでは、約500人あまりの職員が働いている。スイス近隣のフランスやドイツ、イタリアという非英語圏からの採用も多く、合計すると57カ国の異なる国籍の人が働いている。ここでも、英語が共通語になる。このため、多くのイギリス人の優秀な女性が秘書として採用されている。通常の秘書業務に加えて、フランス人やドイツ人が書いた英語を完全な英語の文章に直すことも彼女らの重要な役割になっている。

 とはいっても、公式なミーティングと議事録以外は、出席者の言語能力の最大公約数と力関係によって、話す言葉が決められていると言って間違いではないだろう。フランス人が多く、ある程度フランス語が理解できる人が出席者の場合は、フランス語でミーティングになるといった具合だ。今から20年前のBISの銀行局では、局長がフランス人だったため、フランス語で会議を開き、日本銀行から出向した方がとても苦労したと聞いた。

 やはり20年ほど前、イギリス出身のアンドリュー・クロケット氏がBISの総支配人に選ばれた時のこと。クロケット氏がBISに電話をかけたら、英語が通じない。「グローバルな国際機関であるのに、電話交換手が英語を話さないのはいけないと思い、改革しなければと感じた」と笑いながら話してくれた。

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