前回は、東京大学本郷キャンパスの工学部2号館を拠点に、産学挙げてBEMS(=Building and Energy Management System:ビルのエネルギー管理システム)に取り組んでいる「東大グリーンICTプロジェクト」を紹介した。今回は同プロジェクトのワーキンググループが実際に行っている実証実験をいくつか紹介する。
「東大グリーンICTプロジェクト」が推進しているITによるビルのエネルギー管理システムの最大の特徴は、IPv6という次世代のインターネット・プロトコルを使ったオープンシステムであるということだ。
データの取得場所は現在373カ所
現在、東大グリーンICTプロジェクトでは、予定も含め、36企業、17団体の計50組織が参画し、これまで30に及ぶ実証実験を行ってきた。
競合となり得る複数の企業や団体が協力して1つの実証実験を行うためには、まず、自社を守る城壁となっている独自の仕様を公開し、データのフォーマットを標準化し、相互接続できるようにしなければならない。ここには勇気と決断がいる。
これから紹介する実証実験はその壁を乗り越え、さらにIPv6という次世代の通信技術を使って相互接続しているという点が最大のポイントだ。
照明器具やエアコン、センサーなどから取得した情報はすべて東京大学の共通データベースに蓄積される。データの種類は、電力使用量、ガス使用量、水使用量、室内外の温度、湿度、CO2などで、データの取得場所は現在373カ所。ワーキンググループではこれらの情報を基に、さまざまな実証実験を行い、具体的なソリューションの開発、提案を行っている。
カメラを使った人の動態管理
画像をクリックすると動画をご覧いただけます。(WMV形式)
東芝が中心となって進めている実証実験がカメラを使った人の動態管理だ。
これは、部屋の出入り口にカメラを取り付け、在室者数をカウントすると同時に、部屋のどこにいるかを特定するというもの。その人が座っているのか、歩いているのか、もしくは走っているのかなど活動量も推定できる。
カメラは人感センサーとは異なり人がいるかいないかだけでなく、何をしているかまで把握できる。人を見失うこともない。映像として保存できるため、セキュリティ面でも有効だ。
東芝では、カメラからの画像情報を基に、もし部屋に人がいなければ、照明とエアコンの電源を自動的にオフにする、在室者の人数や活動量に合わせてエアコンの温度設定を最適化する、部屋の中で人がいる場所にだけ照明をつけるといった制御をしている。
照明や空調を制御する場合、最も重要なことは、「人の動態を把握すること」という考えの下、開発したという。
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