「日本キラピカ大作戦」

人がいないなら、エアコンは切れ

【建物編2】蛍光灯1本からコントロールする「賢いビル」

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2010年9月3日(金)

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 前回は、東京大学本郷キャンパスの工学部2号館を拠点に、産学挙げてBEMS(=Building and Energy Management System:ビルのエネルギー管理システム)に取り組んでいる「東大グリーンICTプロジェクト」を紹介した。今回は同プロジェクトのワーキンググループが実際に行っている実証実験をいくつか紹介する。

 「東大グリーンICTプロジェクト」が推進しているITによるビルのエネルギー管理システムの最大の特徴は、IPv6という次世代のインターネット・プロトコルを使ったオープンシステムであるということだ。

データの取得場所は現在373カ所

 現在、東大グリーンICTプロジェクトでは、予定も含め、36企業、17団体の計50組織が参画し、これまで30に及ぶ実証実験を行ってきた。

 競合となり得る複数の企業や団体が協力して1つの実証実験を行うためには、まず、自社を守る城壁となっている独自の仕様を公開し、データのフォーマットを標準化し、相互接続できるようにしなければならない。ここには勇気と決断がいる。

 これから紹介する実証実験はその壁を乗り越え、さらにIPv6という次世代の通信技術を使って相互接続しているという点が最大のポイントだ。

 照明器具やエアコン、センサーなどから取得した情報はすべて東京大学の共通データベースに蓄積される。データの種類は、電力使用量、ガス使用量、水使用量、室内外の温度、湿度、CO2などで、データの取得場所は現在373カ所。ワーキンググループではこれらの情報を基に、さまざまな実証実験を行い、具体的なソリューションの開発、提案を行っている。

カメラを使った人の動態管理

解像度の高いIPカメラは部屋の四隅を監視。人の頭と肩のシルエットから人のいる場所を検出する
画像のクリックで拡大表示
動画へのリンク
丸いカメラの映像をパソコンに取り込み、リアルタイムに画像処理。部屋を4分割し、各エリアにおける人の動態を「×(人がいない状態)」、「小(動いていない状態)」、「中(歩いている状態)」、「大(激しく動いている状態)」の4つのレベルに推定、分類し表示
画像をクリックすると動画をご覧いただけます。(WMV形式)

 東芝が中心となって進めている実証実験がカメラを使った人の動態管理だ。

 これは、部屋の出入り口にカメラを取り付け、在室者数をカウントすると同時に、部屋のどこにいるかを特定するというもの。その人が座っているのか、歩いているのか、もしくは走っているのかなど活動量も推定できる。

 カメラは人感センサーとは異なり人がいるかいないかだけでなく、何をしているかまで把握できる。人を見失うこともない。映像として保存できるため、セキュリティ面でも有効だ。

 東芝では、カメラからの画像情報を基に、もし部屋に人がいなければ、照明とエアコンの電源を自動的にオフにする、在室者の人数や活動量に合わせてエアコンの温度設定を最適化する、部屋の中で人がいる場所にだけ照明をつけるといった制御をしている。

 照明や空調を制御する場合、最も重要なことは、「人の動態を把握すること」という考えの下、開発したという。

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著者プロフィール

山田 久美(やまだ・くみ)

 科学技術ジャーナリスト。都市銀行システム開発部を経てフリーに転身。月刊誌やウェブサイトでハードウエア、ソフトウエアのレビュー、IT関連の記事を多数執筆。2005年3月に技術経営(MOT)修士取得。現在はサイエンス&テクノロジー関連、技術経営関連の記事を中心に、執筆活動を行っている。研究者の研究内容を聞くのが最もワクワクする時間。希望ある未来社会を実現するためのサイエンス&テクノロジーの追求をライフワークにしている。Twitterアカウントはこちら



このコラムについて

日本キラピカ大作戦

 日本はCO2排出量の削減や高齢化、需要不足など、大きな課題に直面している。そのため、日本全体に閉塞感が漂い、希望ある未来社会が描きづらくなっている。しかし、これらの課題はいずれ世界のすべての国が直面するものでもあり、今の日本を「課題先進国」と位置づけることもできる。
 「これは日本にとって千載一遇のチャンスである」と言う東京大学総長室顧問で三菱総合研究所理事長の小宮山宏氏のインタビューを皮切りに、日本が世界をリードできる技術の最先端や“産声”を追う。エコ、スマート、シルバー…。日本にはサステナブルな社会を実現するためのピカイチ技術がたくさんある。これを存分に生かして、キラキラと輝く未来を創り出そう。

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