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円高悲観論に与しない

  • 小平 和良,白壁 達久

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2010年9月6日(月)

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止まらぬ円高に輸出産業を中心とした日本経済への打撃を懸念する声が広がっている。経済界からの悲鳴を受けて政府と日本銀行もようやく重い腰を上げた。だが悲観論ばかりではない。円高を奇貨として成長への弾みをつけようとする企業もある。

 円高への無策ぶりを指摘された政府がようやく重い腰を上げかけた8月26日、アサヒビールが海外企業の買収を発表した。

 11月をメドに、オーストラリアで市場シェア3位の飲料メーカー、ピー・アンド・エヌ・ビバレッジズ・オーストラリア(P&N)の全株式を取得し、連結子会社にする。買収総額は約272億円。買収後は昨年、買収したオーストラリアで飲料2位のシュウェップス・オーストラリアとの統合を視野に入れており、オセアニアでの存在感を高める戦略を描いている。

泉谷直木社長は資本参加などで海外事業を拡大する方針を語った

 発表会見に登場したアサヒビールの泉谷直木社長に対し、記者からは円高に関連する質問が飛んだ。「円高はM&A(合併・買収)に有利に働くのではないか」。泉谷社長は「売却する際や今後の事業成長のことを考えるとどうなるかは分からないが」と前置きしたうえで答えた。「有利であることは確かだ」。

「外需企業には申し訳ないが」

 急激に進む円高に、経済界では悲観論が蔓延している。輸出産業が打撃を受け、産業の空洞化が進み、景気が悪化するというわけである。

 経済界からの悲鳴にも似た声を受けて、菅直人首相は8月27日夕方に「必要な時には断固たる措置を取る」と発言。日本銀行は8月30日、臨時の金融政策決定会合を開き、追加の金融緩和を決めた。

 確かに過度の円高は景気を冷え込ませる懸念がある。そういった意味では、政府・日銀の対応はあまりにも遅すぎると言える。

アサヒビールはピー・アンド・エヌ・ビバレッジズ・オーストラリアの買収を決めた

 その一方で、個別企業で見れば、円高が悪影響ばかりかというとそうとも言い切れない。アサヒビールの泉谷社長が言うように、円高は企業買収にとって「有利」な局面となるからだ。直近では、アサヒビールのほかにも、日本電産が米電機大手、エマソン・エレクトリックのモーター事業買収を決めている。

 ここ最近、中国企業による日本買いが大きく伝えられることが多いが、実は円高を追い風に日本企業による海外企業の買収も活発になっている。 M&A助言のレコフによると、今年1~7月の日本企業による海外企業の買収件数は207件と、前年同期の168件から2割以上、増えている。

 特に目立つのが、これから海外での地位を高めていきたい食品や消費財関連の内需企業や新興企業である(下の表を参照)。そうした「積極買収組」の代表格が楽天だ。台湾、タイ、中国と世界展開を加速し、議論を呼んでいる「英語公用化」までして、海外進出への決意を示している。

 今年に入ってからは、5月に通販サイト「Buy.com」を運営する米バイ・ドット・コムの買収を発表。さらに同月、約4億円を出資して、インドネシア最大の複合メディア企業、グローバルメディアコムと合弁企業を設立した。6月にはフランスでトップのEC(電子商取引)サイトなどを運営するプライスミニスターを約226億円で買収することを決め、欧州に本格進出した。

 「外需産業には申し訳ないが、我々にとっては強い円は歓迎だ」。楽天の三木谷浩史・会長兼社長はこう言ってはばからない。 円高に苦しむ輸出企業にとっては憎らしく、妬ましい発言かもしれないが、こうした声があるのも事実だ。

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