円高下で、日本の自動車メーカーがタイへの生産投資を急加速している。世界への輸出拠点としての期待から、国内とは対照的に大型投資が相次ぐ。税優遇、FTA(自由貿易協定)の優位性は、日本の無策の裏返しでもある
「タイのバンコクでは日本食レストランがどこも驚くほど混雑している。自動車業界の関係者が多くて、安心して仕事の話ができないほどだ」。最近タイに出張した日本の自動車メーカーのある幹部はこう話す。
日本の自動車産業が総出でタイに引っ越しする。そう思えるほどに、タイへの日本メーカーの投資は急増している。日産自動車が新型「マーチ」をタイから日本に逆輸入し始めたことは有名だが、それは氷山の一角にすぎない。
8月26日、マツダは米フォード・モーターとの合弁会社、オートアライアンス・タイランド(AAT)に、3億5000万ドル(約300億円)を投資すると発表した。2011年半ばから次世代ピックアップトラックの生産を始める。
マツダは昨年7月にもタイで最新鋭の乗用車工場を稼働させており、既にAATで「マツダ2(日本名デミオ)」と兄弟車の「フォード・フィエスタ」を生産している。道路事情が悪い新興国では、ピックアップトラックの需要も高いことから、新規投資を決めた。

「タイは国内市場が好調なだけでなく、輸出拠点としても魅力的。工場の稼働から10年以上が経ち、技術レベルも高まっている。追加投資のチャンスをずっと探っていた」(マツダの古賀亮・執行役員)
三菱自動車も2011年度に投入を予定する排気量1000〜1200cc程度の世界戦略車をタイで生産する。約400億円を投じ、年間20万台の生産能力を倍増させる計画だ。日産と同様に、次世代の小型車を、日本などに輸出することも計画している。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。




からのご案内




