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太陽光は「地域ぐるみ」が使いやすい

先進的であるがゆえの難題「電力品質問題」を解決する

2010年9月10日(金)

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 風力発電や太陽光発電など再生可能エネルギーの最大の課題は発電量の不安定さにある。しかし、多くの国では、全エネルギー量の20~30%をこれらで賄おうとしている。今後、このようなエネルギーが電力網に大量に流れ込んだ場合、既存の電力網のままでは、停電や電力品質の低下を引き起こすことになりかねない。

 そこで、既存の電力網に影響を与えない「自律度向上型太陽光発電システム」の研究と実証実験を行っているのが東京工業大学統合研究院ソリューション研究機構の黒川浩助特任教授の研究グループと新日本石油である。

 停電は滅多に起きず、電気機器の不調や故障につながる周波数の変動も小さい日本の電力網は世界最高レベルの信頼性を誇る。だが、その信頼性が脅かされかねない事態に直面している。再生可能エネルギーの大量導入である。政府は、太陽光発電の導入量を2020年には2005年の約20倍の28ギガワットに、2030年には2005年の約40倍の53ギガワットに拡大することを目標にしている。

「コミュニティー」単位で装置を共有

 風力発電や太陽光発電の最大の課題は、発電量の不安定さにある。気象条件によって大きく左右されるからだ。そのため、この電力が電力網に入り込んだ場合、住宅が余剰の電力を電力網を通して売るといったことが頻繁に発生するようになる。結果、電力網の電圧や周波数の安定性に影響を与える。

 この問題を解決しようと、既存の電力網に影響を与えない太陽光発電システム、「自律度向上型太陽光発電システム」の研究と実証実験を進めているのが、東京工業大学統合研究院ソリューション研究機構の黒川浩助特任教授の研究グループと新日本石油である。

 このシステムは、ほとんどの住宅やビルに太陽光発電システムが導入された地域を想定している。そしてまず、地域内で自動的に電力を融通し合う。その上で地域としての電力が不足すれば電力網から購入し、余剰があれば電力網へ流して販売する。個々の住宅が電力網に直接つながるよりも安定性を保ちやすいという考え方である。

 同システムの研究は、2004年度から2005年度にかけてNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が手がけてきた。その成果を確認するため、2008年度に東京工業大学と新日本石油が、国土交通省から実証実験を受託した。現在、東京・目黒区にある東京工業大学の蔵前会館の屋上には太陽光パネルが設置されており、ここが実験場となっている。

東京工業大学の蔵前会館の屋上に設置されている太陽光パネル

 現在、太陽光発電パネルを設置した住宅の多くは、1軒に1台ずつ、蓄電池とパワーコンディショナーを設置している。パワーコンディショナーとは、太陽光発電によって得られる直流の電気を一般家庭で使う交流に変換する装置だ。

 しかし、自律度向上型太陽光発電システムでは「コミュニティー」と呼ぶ地域全体で1台、蓄電池とパワーコンディショナーを共有する。各住宅やビルの太陽光パネルで発電した電力をそこにためて、再配分するのである。

周波数から充電状態を読み取る

 同時に、パワールーターという装置を使って、複数のコミュニティーをつなぐ。電力を融通し合う範囲はできるだけ広くした方が、発電量の変動などによる影響を吸収しやすいからだ。

 新しいシステムのカギは、このパワールーターの技術にある。

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「太陽光は「地域ぐるみ」が使いやすい」の著者

山田 久美

山田 久美(やまだ・くみ)

科学技術ジャーナリスト

早稲田大学教育学部数学科出身。都市銀行システム開発部を経て現職。2005年3月、東京理科大学大学院修了(技術経営修士)。サイエンス&テクノロジー、技術経営関連の記事を中心に執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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