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スマートグリッドは、いったい何が凄いのか?

「家庭」「エネルギー」「自動車」の将来と切り離せない

2010年9月27日(月)

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 私が「スマートグリッド」という言葉と初めて出会ったのは、2009年1月頃だったと思う。とある勉強会において、グーグルの名誉会長であり、スマートグリッドの伝道師と自他共に認める村上憲郎さんが、この聞き慣れない言葉について熱く語っておられたのがそれだ。それはわずか5分程度の短いスピーチであったが、直感的に、スマートグリッドとはインターネットと同じようなイノベーションであると理解した。その後、現在所属する富士通総研において、本格的にスマートグリッドを研究テーマとすることになったが、電力分野におけるスマートグリッドは、通信分野におけるインターネットと瓜二つであることを、確信するようになったのである。

 スマートグリッドをインターネットと関連付けて議論する人は、私だけでない。特にアメリカでは、多くの人が似たようなことを言っている。しかしその意味するところは多岐にわたる。第1に、最も広義な意味で、スマートグリッドはインターネットのような大きなビジネスチャンスをもたらす、という指摘がある。1990年代にインターネットが爆発的に普及し、接続端末としてのパソコンや接続サービスの市場が拡大すると共に、そのうえでアマゾン・ドット・コムやヤフーといったネット企業が電子商取引を展開するようになったことは、ご存じの通りである。それに匹敵するような大きな可能性があるということで、一見、電力とは縁の薄い企業やベンチャーキャピタルが、スマートグリッドに熱い視線を送っている。

 第2に、もう少し狭義になって、新たなビジネスチャンスといっても特にIT(情報技術)ビジネスの機会が広がるという指摘がある。スマートグリッドのことを、「Internet of Things=物のインターネット」と呼ぶ人がいるように、既存の電力網がITで武装することにより、様々な家電や電気自動車(EV)が情報通信網を通じてつながる時代がやってくる。これまで電力業界といえば、公益企業である電力会社とごく限られた重電会社が支配する閉鎖性の高い市場であった。しかし今後は、IBMやアクセンチュア、シスコやグーグルといったIT企業にとって、大きなビジネスチャンスが到来すると見られる。彼らはインターネットを通して急成長したのと同じような成功モデルを描いているのである。

 私が、スマートグリッドはインターネットと同じという際には、これら2つの指摘に全く同意したうえで、さらに一歩進んで、スマートグリッドはインターネットと同様のイノベーションの構図を持っていることを意図している。インターネットとは、1990年代から2000年代にかけて通信分野で起きたイノベーションであり、旧来の電話網が全く新しいネットワークに進化しただけでなく、そのうえで新たなビジネスが興り、産業の水平分業化や消費者の選択肢の拡大といった、様々な社会的・経済的変革をもたらした。

 これと同様の変革が、今後10~20年程度かけて、電力分野において生じるのではないか。もしそうだとすれば、インターネットの際のイノベーションの原理や特徴を理解していれば、今後の電力分野の変革を大胆に予想できるのではないか。本コラムの一貫したテーマは、「インターネットのアナロジー」から、今話題のスマートグリッドを読み解くことにある。

需要が供給に“協力”して最適化を目指す仕組み

 ところで、その議論に入る前に、スマートグリッドとは何か? 既に多くの人がこの言葉を聞いたことがあるだろうし、いろんな人がいろんな説明をしている。アメリカの「Energy Independence and Security Act of 2007」(エネルギー自給・安全保障法)による定義を意訳すれば、「集中型及び分散型の発電から高圧送電、配電、工場やビル、家庭といった消費者、さらに蓄電装置やEV、家電までを含む電力システムの稼動を監視し、防御し、自動的に最適化できるよう、送電システムを近代化すること」となる。非常に丁寧な説明ではあるが、これを初めて聞いて理解できる人は多くないだろう。

 私なりにスマートグリッドの目指すところを突き詰めれば、「需要者が供給者に協力することにより、電力の需給を一致させる」ことに到達する。これを実現するためには、家庭などによる需要と電力会社による供給の情報をリアルタイムに収集し、瞬時にそれらを均衡させることが不可欠であり、そこにITの力が求められている。ITを駆使して需給の最適化を図ることを指して、スマートな電力網と呼ばれているのである。この理屈を理解するには、まず既存の電力システムを説明する必要がある。

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