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IT革命の次は「e-T革命」がやって来る

スマートグリッドがニューエコノミーを創り出す

2010年10月4日(月)

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 どうして、インターネットをスマートグリッドと同一視できるのだろうか? まず、その前提となる通信サービスも電力サービスも、共に公益事業として共通点が多い。公益事業とは、多くの人々の生活にとって必要不可欠なサービスを提供する事業を指し、水道、ガス、鉄道、航空などが該当する。

 一般にこれらの事業は、ネットワークの形成などに巨額の投資を必要とし、自然独占性が高い。例えばレストランを開いて食事を提供するサービスと比べれば、投資金額として参入障壁が高く、ネットワークを巨大化すればするほど単位当たりのコストが大きく逓減される。一方で、レストランチェーンが複数あっても、競争が激しくなるだけで問題ないが、公益事業の全国的ネットワークが3つも4つもあっても、需要が3倍4倍になることはまずないので、社会全体から見れば大きな非効率になりかねない。そのため、公的機関が独占的に事業を経営するか、民間企業が経営する場合にも事業法などの下に厳しい規制がかけられ、料金を認可制にし、供給義務を課すことにより、独占力の行使を抑制する。

通信でも電力でも「自由化」の議論

 (国内)通信サービスは、1985年まで電電公社による独占が法的に認められ、古典的な公益事業の典型例であった。公的機関が通信サービスを提供する唯一の事業者だったのであり、需要者は、自ら通信網を構築して使う場合を除けば、電電公社以外のサービス主体を選択することはできなかった。サービス内容も音声電話に限定された画一的なものであり(※1)、市内通話料金は全国一律の3分10円だった。電電公社の監督は旧郵政省が担当し、予算や決算には国会の承認が必要であった。

※1 厳密には、19世紀から電信として始まり、その後音声電話が主流となり、1970年代以降、データ通信やファクシミリといったサービスが追加されたが、インターネットが登場するまで、電気通信と言えばあくまで音声電話を指していた。

 電力サービスはどうか? 電力サービスは、日本では100年以上前から一時期を除いて民間企業が担ってきた。戦前には600以上の電力会社が競争を繰り広げた時期もあったが、自然独占の理論が教える通り、規模の経済性から寡占化が進み、戦時中には国家管理の下で日本発送電株式会社と9つの配電会社に再編されたこともあった。戦後は、旧通商産業省の所管の下、地域独占と垂直統合を基本とする体制となり、再度9つの民間企業となった。すなわち、関東は東京電力、北海道は北海道電力といった具合に、一般家庭の需要者は供給者を選ぶことができず、電気料金は認可制である。また、発電から送電、配電までを1社が統合的に管理することが、安定供給を実現する最適の手段とされてきた。

 1980年代以降、世界的に公益事業の自由化が進められた。その背景には、小さな政府を良しとする新自由主義的な考え方やコンテスタブル市場理論の影響があり、公益事業と言えども一定の枠組みの下で市場を開放して競争を導入することにより、料金の低下やサービスの質の向上が期待できるとされた。その結果、国営企業の民営化や独占市場の開放と新規参入の促進、ボトルネックとなる設備のアンバンドリングといった規制改革や競争政策が進められたが、通信や電力もその例外ではなかった。

 日本の通信分野では、1980年代前半にいわゆる第二臨調の政策論議を経て、電電公社がNTTへと民営化された。国内長距離電話市場には、DDIなどいくつかの新規参入があり、競争が生じるようになった。しかし自由化されたとは言え、通信市場は公益性が極めて高く、市場参入は容易ではないため、電気通信事業法の下で、(旧来の一般)電気通信事業者には価格規制、参入規制、外資規制などが課されるようになった。また、民営化後もNTTは独占的な市場支配力を持ち続けたため、ボトルネックとなる地域通信網への競合他社の「接続」の問題や、地域網と基幹網の双方を所有するNTTの分割問題が、10年以上にわたって政治の場で議論され続けたのである。

 1990年代に入り、電力分野でも欧米の例にならって自由化が議論されるようになった。地域独占に対しては、発電分野に競争が導入され、大口需要者は供給者を選べるようになった。また垂直統合に対しては、送電網を大手電力会社(一般電気事業者)から借りる「託送」の制度が整えられた。しかし、いまだに一般電気事業者は、発電・送電・配電を一体的に所有しており、ボトルネックとなる送電網の(構造)分離は実現されていない。

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