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菅政権が掲げるべきは「脱・政治主導」

政治家の誤解が政権の迷走を招く

2010年9月15日(水)

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 2010年9月14日の民主党代表選挙により、菅直人代表が再選された。わずか3カ月前に菅氏が選出されていることから、今回は無投票再選になるとの予想もあったが、7月の参議院選挙で民主党が敗北したことを受けて、小沢一郎前幹事長が対抗馬として立候補し、2人の正面衝突となった。その選挙戦では様々な議論がなされ、消費税増税問題や円高対策、財源問題などについての相違点も明確になった。一方で、「政治主導」あるいは「脱官僚」についてはほぼ同様の主張がなされ、双方共に自らのリーダーシップが勝っていることを訴える形になった。

 2009年9月の歴史的な政権交代以来、民主党政権は「政治主導」をキャッチフレーズに掲げ続けている。一方でこの1年間の成果については、「政治主導が実行されていない」と不満を持っている国民が多く、それが参議院選挙の敗北にもつながったと考えられる。筆者はあえて主張したい。この「政治主導」という言葉について、民主党は大きな誤解をしている。それがこれまでの政権の迷走の一因にもなっていることを。

「政治主導」がもたらした様々な混乱

 民主党政権が一貫して目指してきた「政治主導」とは、具体的にどのようなものだったのだろうか? それをまとめたのが、表1である。

表1:3つの政治主導の形態

  具体的形態 実態
第1策:政務三役による意思決定 ○政務三役が意思決定する
×政府に100人の政治家が入る
決定はできているが、調整が不十分で、一部の省庁では混乱も
第2策:内閣としての意思決定 ○閣僚委員会を開催し、調整する
○事務次官会議を廃止する
決定も調整も十分に機能していない
第3策:官邸の指導力 ○国家戦略室を設置する
○室員を政治的任用する
国家戦略室は効果的に機能していない

 第1に、各省庁の「政務三役を中心に政治主導で政策を立案、調整、決定」するようになった。これは、2009年のマニフェスト(政権公約)の第1策に対応している。その冒頭部分である「政府に国会議員約100人を配置」することは実現していないが、多くの官僚に話を聞いても、これまで課長あるいは補佐レベルで意思決定していたものの多くが、大臣のほか、副大臣や大臣政務官に委ねられるようになったという。

 第2に、官僚主導の象徴と見られてきた「事務次官会議は廃止し」、「閣僚を先頭に政治家自ら困難な課題を調整する」ために、「閣僚委員会」を開催するようになった。これらは、マニフェストの第2策に対応しており、内閣が責任を持って意思決定を行うことを意味している。2010年度予算編成において、各省大臣に査定大臣となるように求めたことも、これに該当するだろう。

 第3に、「官邸機能を強化」するために、「総理直属の国家戦略局を設置」した。当時の菅国家戦略担当大臣や古川元久国家戦略室長を中心に、確かに「官民の優秀な人材を」政治的に任用したし、「新時代の国家ビジョンを創り、政治主導で予算の骨格を策定する」ことを予定していた。実際には「国家戦略室」との名称だが、内閣官房に30人程度の組織が現存しており、マニフェストの第3策に対応している。

 このように、マニフェストに明記された政治主導の3策はそれなりに実行されているようにも見える。しかし、その実態はどうだったのか?

 第1に、確かに各省大臣の意思決定力は強まった。八ッ場ダムの工事中止といったこれまでは難しかった決断が国土交通大臣によって華々しくなされ、総務事務次官が総務大臣によって異例の短期間で更迭された。一方で郵政改革担当大臣によって、郵政民営化の見直しといった唐突な政策が、強行されそうになった。こうして「大臣支配」と呼べるような状況が現出した一方で、大臣間・省庁間の調整は拙劣を極めた。テレビ番組において、郵政改革担当大臣と財務大臣が、「言った」「聞いてない」と、「郵政改革」を巡って押し問答を臆面もなく披露した。第1策は確かに実現されたようだが、その副作用も大きかった。

 この副作用が最も致命的な形で現れたのが、第2の内閣としての意思決定である。普天間基地移設問題を巡っては、外務大臣や防衛大臣、そして所掌外の消費者担当大臣が、マスメディアの前で異なる発言を展開し、それらをまとめる立場にある総理や官房長官は、曖昧な発言による先延ばしに終始した。閣僚間の調整の場であったはずの閣僚委員会は、誰をメンバーにするかで対立が生じ、定期的に開催されなくなった。憲法66条の通り内閣は合議制であるが、閣議でも閣僚委員会でも十分な議論と合意形成がなされない状況が続いた。第2策の中で事務次官会議の廃止は実現されたわけだが、それが総合調整の劣化につながったと取られても仕方ないような事態に陥った。

 第3の国家戦略室は、設置から1年が経過しようとしているが、期待が大きかったこともあり評価は芳しくない。当初はそもそも室員が足りないという事情からその活動量は極めて少なかったが、ようやく2009年12月に30人規模に拡充され、「新成長戦略(基本方針)」を2週間で立案した。しかし、各省庁の既存の政策を「ホチキス」した内容が多く、2010年6月の「新成長戦略」本体に至っても新規性に乏しく、やはり政権交代と共に新設された行政刷新会議と比較して、独自性を発揮できていない。

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