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弁護士になったのに、失業なんて…

日弁連会長「法律のプロ、企業で採用しませんか?」

2010年9月21日(火)

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 芸能界から政界まで、弁護士たちが華々しく活躍している。タレント弁護士がテレビのバラエティー番組でトークに興じ、橋下徹大阪府知事や自民党の谷垣禎一総裁など弁護士から転身した政治家の発言力が増す。経済界やスポーツ界でも、不祥事が発覚すれば、頼みの綱となるのは弁護士たち。再発防止を名目に立ち上げる「第三者委員会」には、必ずと言っていいほど大物弁護士が名を連ねる。

 そんな華やかで、頼もしい弁護士の世界が今、一大事だ(詳しくは日経ビジネス9月13日号「危機救う最後の知恵袋」を参照)。2002年に当時の小泉内閣が閣議決定した司法制度改革がきっかけだ。「最難関の国家試験」と言われた司法試験を廃止し、格段に高い合格率を想定した新司法試験への移行することを決めた。

 年間500~1000人程度で推移していた合格者数は、現在2000人程度に達している。このほど法務省が発表した2010年の新司法試験合格者は2074人だった。政府は当初「2010年頃に3000人程度に引き上げる」ことを目標としていたが、達成できなかった。

 受験生の学力不足などが原因だが、それでも弁護士の数は現在2万8800人と、10年前より7割近くも増えた。急増の結果、新人弁護士の就職難など、様々な歪みが表面化している。全国の弁護士で組織する日本弁護士連合会(日弁連)の宇都宮健児会長は、合格者数を年1500人に抑えるべきだと訴えている。真意を聞いた。

(聞き手は吉野次郎=日経ビジネス記者)

―― 司法試験の合格者を年1500人に減らし、増員ペースを抑えるべきだと主張しています。なぜですか。

日本弁護士連合会(日弁連)の宇都宮健児会長(写真:陶山 勉)

 宇都宮 弁護士の就職難が大きな問題になっているからです。司法試験に合格すると、裁判官、検事、弁護士のいずれかになる道が開かれます。しかし、裁判官と検事の採用人数はほとんど増えておらず、弁護士にシワ寄せがきています。

 弁護士の増員に、法的な需要が追いついていません。通常、新人弁護士はまずどこかの法律事務所に就職し、先輩から現場教育を受けながら一人前になります。しかし、仕事が不足し、就職できずにいる新人たちの数が年を追うごとに増えています。

遅れる日本の法基盤整備

 司法試験の合格者を増やすのなら、まずはその人数に見合った司法基盤の整備を行って、法的な需要を掘り起こすべきです。例えば、経済的な理由から、弁護士を雇えずにいる人々を支援する、国の法律扶助予算の増額です。ほかの先進国と比べても、日本の法律扶助予算は極めて少ないのが実情です。また裁判官や検事も増やして、より多くの事件に対処できる体制を整えなければなりません。

 日弁連としても、子どもや障がい者、外国人など、国の法律扶助制度の対象にならない経済的・社会的弱者の事件を独自に支援したり、弁護士のいない地域に弁護士を派遣したり、中小企業を対象に電話で法律相談を受け付けたりするなどして、需要の掘り起こしに取り組んでいます。ただ、それでも限界があります。

 関係者みんなで、多くの司法試験合格者を受け入れられるだけのしっかりとした法的基盤を整備するまでは、より緩やかなペースでの増員を図る必要があると考えています。

―― 合格者の抑制に向けた具体的な取り組みを教えてください。

 「合格者を年1500人にする」という考え方は、日弁連会長選挙に立候補した時の私の公約であり、あくまでも個人的な意見です。日弁連全体としての方針は、今年6月に立ち上げた「法曹人口政策会議」で議論しています。より積極的に合格者を増やすべきだとする弁護士も交えて話し合っており、2011年3月までには中間報告書を取りまとめる予定です。

 ここで得られた結論は、マスコミなどを通じて市民に理解を求めていくほか、政府で合格者数の見直しに向けた議論が始まれば、その場でも訴えていきます。

狭すぎる弁護士の活躍の場

―― 弁護士の人数が増えた分、弁護士が様々な分野で活躍することが期待されています。

 日弁連としても、法律事務所に限らず、企業や公官庁などに対して積極的に弁護士を採用するよう働きかけています。国際機関で働きたい弁護士のためのセミナーも先日開きました。活躍の場は徐々に広がっていますが、就職難を解消するには至っていません。

コメント9件コメント/レビュー

企業内弁護士が、ビジネスサイドに立って新しいアイディアの実現に協力してくれるのが理想。以前働いた会社では、危険を回避するために新しいことに挑戦することにブレーキを掛けており、社内警察として「悪を暴くこと」に躍起になっていた。ちょっとしたルール違反を見つけては大騒ぎをし、懲戒・訓告を発っすることで「解決」とする様子を見るにつけ、情けないと感じていた。弁護士ではあっても他の社員同様、ビジネス経験を積んでからでないと企業内弁護士としては使えない。MBAを取っただけで大きなビジネスができるようになったと勘違いしている人と変わらない。雇われる側も雇う側も意識改革が必要。余剰弁護士を企業で吸収して欲しい態度なら、単なる雇用調整弁として企業を見ているに過ぎない。自己研鑽や切磋琢磨がなければ失業するのはどの世界も同じこと。能力の高い弁護士は仕事が切れることはなく、そうでない弁護士は淘汰される。法曹の世界が、完全雇用の世界から淘汰の力が働く通常の世界に移行したということは、むしろ良いことと思う。(2010/09/25)

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「弁護士になったのに、失業なんて…」の著者

吉野 次郎

吉野 次郎(よしの・じろう)

日本経済新聞社記者

1996年、日経BPに入社。2007年から日経ビジネス編集部で電機業界や自動車業界、企業の不祥事を担当。2015年4月から日本経済新聞社電子編集部に出向中。産業、経済事件を中心に取材・執筆する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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企業内弁護士が、ビジネスサイドに立って新しいアイディアの実現に協力してくれるのが理想。以前働いた会社では、危険を回避するために新しいことに挑戦することにブレーキを掛けており、社内警察として「悪を暴くこと」に躍起になっていた。ちょっとしたルール違反を見つけては大騒ぎをし、懲戒・訓告を発っすることで「解決」とする様子を見るにつけ、情けないと感じていた。弁護士ではあっても他の社員同様、ビジネス経験を積んでからでないと企業内弁護士としては使えない。MBAを取っただけで大きなビジネスができるようになったと勘違いしている人と変わらない。雇われる側も雇う側も意識改革が必要。余剰弁護士を企業で吸収して欲しい態度なら、単なる雇用調整弁として企業を見ているに過ぎない。自己研鑽や切磋琢磨がなければ失業するのはどの世界も同じこと。能力の高い弁護士は仕事が切れることはなく、そうでない弁護士は淘汰される。法曹の世界が、完全雇用の世界から淘汰の力が働く通常の世界に移行したということは、むしろ良いことと思う。(2010/09/25)

今でも、欧米と比較して国民人口あたりの弁護士数は少ないのが日本の現状です。失業している若者に対して「仕事がないのではなく、儲かりづらい仕事をやらない」だけではありませんか? と著名な弁護士さんたちが「接客や介護業界に進まない理由」を同じ言いぐさで批判していませんか? 今でも弁護士ゼロ地域が有る以上、「仕事が無い」から増員不要など言い訳にもならないです。(2010/09/24)

弁護士の待遇にばかり目が向いてしまいそうな構成と表題に問題ありそうな。誤読をさそってしまいそう(というよりそれが狙い?)。安定した後の弁護士稼業が儲かるようにという主張をされているのではなく、司法試験合格時若しくは弁護士スタート時に何らかの生活保障がないと、悪事だろうが金儲けに走ったり(やたら債務専門の弁護士が増え、CMだらけになったのを考えて)、それこそ初期は稼ぎがなくても平気な金持ちの師弟のみ弁護士になり、家族の弁護に走る(政治家の師弟とか、官僚の師弟とか、一族全員司法関係とか、って想像してみて)なんてことにもなりかねないので、お願いしたいということだと思います(それも金持ちにしてくれなんていうのではなくて、今までどおり司法修習生にも何がしか支払いをお願いしたい。報酬というよりは奨学金に近いイメージでしょう)。 *これをやってもらえないものだから、昔のように司法試験合格者を制限してはとなっていますが、裁判官・検察官の定員を増やしてくれれば、日弁連は制限なんて取り下げるといっていませんでしたっけ?そもそも、弁護士が足りないから合格者を増やすといったのに、もう一方の当事者である裁判官・検察官は足りているというのは変でしょう)。(2010/09/21)

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