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 低炭素社会の実現を目指し、2007年度から、東京工業大学の研究グループと東京ガスが共同で推進しているのが「燃料電池コプロダクション実証試験」だ。これは2種類の燃料電池をうまく組み合わせて使うことで、化石燃料の利用効率を高め、発電効率の向上を目指そうという取り組みである。

 「2種類の燃料電池をうまく組み合わせて使うことで、化石燃料の利用効率を高めたい」

 「燃料電池コプロダクション実証試験」のプロジェクトリーダー、荒木和路特任教授は力強く語る。

東京工業大学の荒木和路特任教授

 燃料電池コプロダクション実証試験とは、低炭素社会の実現を目指し、2007年度から、東京工業大学の山崎陽太郎教授の研究グループと東京ガスが共同で推進しているプロジェクトだ。荒木特任教授は元々東京ガスのエネルギーシステムに関する技術者で、現在は東京工業大学の特任教授として同プロジェクト推進の中心的役割を担っている。

 東京工業大学では、現在、「AESプロジェクト」を推進している。AESとはAdvanced Energy Systems for Sustainabilityの略で、「持続可能社会のための先進エネルギーシステム」のことだ。AESプロジェクトでは、産・官・学・民が集まり、さまざまなサブプロジェクトを立ち上げ、研究開発、実証実験を進めている。燃料電池コプロダクション実証試験も、そのサブプロジェクトの1つ。2007年度からの3年間は、国土交通省「住宅・建築関連先導技術開発助成事業」として実施された。

 そもそも燃料電池は水素と酸素を反応させることによって発電する。「電池」という名前がついているものの、通常の電池のように電気をためるというものではなく、水素と酸素が反応して水になる際に発生する化学エネルギーを直接電気に換えるという、いわば「発電装置」だ。しかし、同じ発電装置でも、化石燃料を燃やして蒸気を作り、その蒸気でタービンを回して発電する火力発電などとは異なり、発電の際に水しか発生しない。それが「環境に優しい」と言われるゆえんだ。

 では、荒木特任教授がいうところの「化石燃料の利用効率を高める」とは一体どういうことなのか。

水素の製造過程でCO2が発生している

 実は燃料電池は、発電の際には化石燃料は使わないものの、現在、その材料となる水素を、石油や都市ガスなどの化石燃料を燃やして作っている。つまり、水素の製造過程でCO2を発生させているのである。

 水素を製造する際に発生するCO2をできる限り減らしたい――。これが、同プロジェクトの狙いだ。そして、「2種類の燃料電池をうまく組み合わせることで、化石燃料の利用効率を高めることができ、結果、CO2排出量を削減し、発電効率を向上できるはずだ」というのが、同プロジェクトが想定したシナリオである。

 燃料電池は陰極、陽極、電解質膜によって構成されており、これを「セル」と呼ぶ。現在、燃料電池は、使われている電解質膜によって主に4種類に分けられる。同プロジェクトで扱っているのは、実用化に向け研究開発が最も進んでいる「固体高分子形燃料電池(PEFC)」と「固体酸化物形燃料電池(SOFC)」の2種類だ。

 PEFCはすでに、東京ガスが提供する家庭用燃料電池システム「エネファーム」に採用されており、最も身近な燃料電池と言えるだろう。


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