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超電導ケーブル、ついに実証実験へ

住友電工、マイナス200度突破で大きな一歩

2010年10月1日(金)

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 電気抵抗がほとんどない「超電導」という現象が発見されて、ちょうど100周年の節目にあたる来年秋、住友電気工業が開発した高温超電導ケーブルが、日本で初めて電力網に接続される。これは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2007年度から実施している「高温超電導ケーブル実証プロジェクト」の一環だ。高温超電導ケーブルは、既存の銅線の電力ケーブルに比べて、送電による電力損失を大幅に削減できるため、低炭素社会に向けた重要技術の1つとして位置づけられている。同プロジェクトでは2016年の本格導入を目指している。

 「ついにマイナス196度で実用に耐えるものができた。以前、超電導の研究者にとって、この値は想像もつかないほど高い温度だった。いよいよ“高温超電導ケーブル”が現実のものになる」。

 こう語るのは、住友電気工業の材料技術研究開発本部・超電導担当技術長の佐藤謙一氏である。

住友電気工業の材料技術研究開発本部・超電導担当技術長の佐藤謙一氏

 来年秋、いよいよ佐藤氏らが、20年以上にわたって研究開発を進めてきた高温超電導ケーブルが、日本で初めて、神奈川県横浜市で、送電網の一部として電力網に接続される。

 これは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2007年度から2011年度までの5年間にわたって実施している「高温超電導ケーブル実証プロジェクト」の一環だ。同プロジェクトでは、2016年の本格導入を目指している。

 そもそも超電導とは、1911年にオランダの物理学者によって水銀で発見された現象だ。ある特定の金属を、絶対零度(約マイナス273度)に近い極低温に冷却すると、その金属の電気抵抗がゼロになり、電圧をかけ続けなくても電流が流れ続けるというものだ。

 電気を流す際、電気抵抗があると、電力は熱に変換され、エネルギーを損失してしまう。また、送電する距離が長ければ長いほど失われる電力量も多い。しかし、超電導であれば、電気抵抗がほぼゼロに等しいので、送電による電力損失がほとんどない。電力ケーブルとして使うには最適だ。

「極低温」という壁

 しかし、長年、超電導ケーブルが実用化されなかったのには理由がある。「極低温」という障壁だ。

 絶対零度に近い極低温環境を作るには、マイナス269度の沸点をもつ液体ヘリウムで電力ケーブルを冷却し続けなければいけない。しかし、液体ヘリウムは、1リットル当たり約1500円と非常に高価で、特に日本の場合、米国からの輸入に100%頼らざるを得ない状況にある。金属の超電導現象を利用して電力ケーブルを作るのは、とても現実的とは言えない。

 ところが、である。

 1986年、「超電導ケーブルも夢ではない」と思えるような出来事があった。金属よりもずっと高温の、マイナス196度で超電導現象を起こす新物質が発見されたのである。新物質とは、いわゆる陶器と同じセラミックスの一種で、常温では電気を通さない絶縁体だ。現在、「高温超電導材料」と呼ばれている。

 超電導の世界において、マイナス269度とマイナス196度との間には雲泥の差がある。なぜなら、マイナス196度とは、液体窒素の沸点だからである。

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「超電導ケーブル、ついに実証実験へ」の著者

山田 久美

山田 久美(やまだ・くみ)

科学技術ジャーナリスト

早稲田大学教育学部数学科出身。都市銀行システム開発部を経て現職。2005年3月、東京理科大学大学院修了(技術経営修士)。サイエンス&テクノロジー、技術経営関連の記事を中心に執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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