みなさん、お久しぶりです。最近、うちの5歳児がお友達のおもちゃを取り上げたりして悩んでいるタナカ(仮称)です。
前回の連載は、参議院選挙スペシャル、国のあり方に対する「もうひとつの」意見を提示させていただきました。これは、政治の構造を考えるうえで必要な、視点の複眼化を、自省の意味も含めて実践してみようという連載でした。
その中で、「『国防戦略』なき国会議員でいいんですか?」という記事を書き、最後にこんなことを書きました。
「参院選というこの機会に、空論ではない理想論を闘わせるべきなのです。まだ周辺地域が平時であるうちに・・・」
この記事を書いたのが6月、平時は3カ月しか続きませんでした。
言うまでもなく、これは尖閣諸島での出来事を指しています。
いろいろな解釈はあるでしょうけれど、この事態は、既に「平時」を越えているとワタシは考えています。
そしてこれは中国の“断末魔の苦しみ”がもたらしたものであり、ここ20年間にわたる中国の経済的躍進が、踊り場に来つつあること、それが政治的自滅をもたらしかねないことを懸念しています。
尖閣諸島について、中国が「自国領である」とか、「領土問題が存在している」とか騒ぎ立てるのは、内部的な問題が大きく2つあるからだと考えられます。主要な1つは、資源の問題です。もう1つは、国内における「期待値」と現実の落差の問題です。
この2つは、ともに国家「体制」の生存にとって致命的なことであり、なんらかの解決手段を講じないと、体制を保てなくなりかねません。これに対応しようとして舵取りを間違った、というのが今回の問題の本質であり、恐らく中国当局は、そのことに気がついているのではないでしょうか。しかしながら、今さらなかったことにはできない・・・。
日本の与党も、世論の突き上げを受けてたいへんでしょうけれど、中国共産党もなかなか厳しい状況に身を置くことになってしまったと思われます。中国市民のためには、ワタシとしては被害最小の収拾方法を検討していただきたいものだと思います。日本人のワタシが言うのは、お門違いでもありますが。
海運が欠かせなくなった中国
最初に、資源の問題です。尖閣諸島の問題勃発とともに、中国政府はどうやら海底ガス田の開発を再開したようです。これは国境をまたぐ資源問題であり、些少とはいえ、問題の本質をかなり象徴的に示しているように思われます。
中国はここ20年の改革開放路線により、日本を凌ぐ巨大な経済規模を誇る国となりました。昔は自給自足の農業国だったわけですが、いまや立派な工業国です。共産主義国家なのに株式市場の時価総額は日本を凌ぎ、エネルギー効率は高くないものの、日本の高度成長期並みの暮らしができる層が、日本の総人口の数倍いるような国家になりました。素晴らしいことです。
ただ、日本のこの時期は、全国で公害が社会問題になった時期であり、中国でも当時の日本同様に、国土の荒廃が進行しているようです。乱開発による自然破壊やダムに沈んだ村の話など、工業社会化がもたらす弊害は日本も経験済みであり、報道を見る限り、中国でも同種の問題がもっとスケールアップして再来しているようです。
そして、食糧、エネルギー、資源など、中国は完全な輸入国になりました。目立つ輸出資源はレアアースで、資源大国としての中国の目玉商品は、実は既にこれしかありません。
物資の輸送は、船の効率が一番です。これは、中国が海運によって死命を決せられる海運国になったことを意味します。主体的に自国の海運を保護しようとした場合、遠く中東やブラジル、アフリカから得られる物資を、他国の政治的干渉や軍事的牽制から守り切る必要があります。
それは要するに外洋海軍が必要になったということであり、実際に中国海軍は外洋海軍への脱皮を図っています。象徴的なのは、沿岸海軍には不要である正規空母の保有を視野に入れた軍拡を行なっていることです。
ただし、その場合、米海軍が最大の壁になります。歴史上、まともな空母機動部隊の実戦運用経験があるのは、日英米の3カ国だけで、このうち日本はドロップアウトしてノウハウを失いましたし、英国は正規空母を運営するお金がなくなってV/STOL空母にランクダウンし、さらに貧乏が高じてフランスとの空母の共同運用などまで考え出す始末ですから、今もって本格的な空母機動部隊を運営しているのはアメリカだけです(フランスやドイツ、スペイン、イタリア、ロシア、インドなどは埒外です)。
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