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「患者にも医者にも感謝されていない」寂寥感

医療事務の20代と30代の女性のケース

  • 小林 美希

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2010年10月4日(月)

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 「正職員になったら残業代も請求できなくなった」

 医療事務として働く三木優子さん(仮名、20代)は、まるで“名ばかり正社員”の状態だ。優子さんは診療情報管理士の資格を持ち、医療事務を得意とする派遣大手に正社員として入社。派遣会社に籍を置きながら病院などに派遣される「特定派遣」という形態で働き始めた。

 診療情報管理士とは民間の資格で、患者の診療録を精査しデータを分析するなどして医療の安全管理、質の向上を図る役割がある。全国で約2万人が認定を受けている。病院職場では、医師や看護師、薬剤師など国家資格を持って働く職種が大多数の中で、事務職の存在感を増すきっかけとなったのが、2000年度の診療報酬で「診療録管理体制加算」が導入されたことだ。診療録を管理する者が1人以上配置されていると、患者1人当たり入院初日に30点の加算(300円)がつく。病院にしてみれば収入源が増えるため、診療情報管理士が脚光を浴びるようになった。

 さらに2003年度からのDPC(診断群分類)導入で、病名によって診療や使う薬剤などを細かく管理し、利益を出す必要が出てきた。このため、今までのような医療事務のレセプト(診療報酬明細書)請求業務だけでない、診療情報管理士の腕ひとつで病院経営にも影響が出る仕事ができるようになり、事務職としての道が開けたのだった。

経済的に自立できず、やりがいもない

 優子さんは、病院の事務職として働き始めてから3年経って、派遣先の病院で正職員採用された。しかし、診療情報管理士の資格を取得するために身につけた勉強の成果は活かされることはなかった。疾病統計からデータを分析して診療に役立てるような仕事は期待されていなかったのだ。その代わり、ただひたすら事務的なデータ入力に追われた。

 入院患者のカルテや手術の同意書など書類に不備がないか、完璧にチェックするのが優子さんの日常業務。万が一の訴訟などの事態に備えてもいる。同意書が紛失しているような時は書類が出てくるまで探し回り、病名や手術の登録番号をデータベース化していくと、あっという間に時間が過ぎる。

 医師が忙しすぎて印鑑漏れがあったり、輸血の伝票が添付されていなかったりなど、不完全なカルテが回されてくることも少なくない。書類を整理するのにも一苦労。簡単な照合業務なら同じ職場の派遣社員に任せることもできるが、判断を伴うチェックは優子さん1人で数百人分ものカルテを担当するため、残業は恒常的に発生する。

 机に積み上がったカルテを見ると、それが不良債権の積み残しのように思え、「まだまだ借金が返済できない・・・」と思わずつぶやいてしまう。1人ではやりきれず、昨年度のカルテの登録がまだ終わっていない状態だ。

 「もう1人、事務に人がいればいいのに」と思っても、事務部門は人件費削減でターゲットにされやすい部署。いくら仕事量が多いからといって、増員は望めない状態だ。診療情報管理士は優子さんだけ。仕事で疑問が生じても教えてくれる先輩も上司もいないため、すべて自分で判断しなければならない。

 派遣社員の頃は、残業代などを派遣元が厳しく管理していたため、すべて請求できて月収が手取りでも23万円だった。ところが、病院の正職員になると残業代はほとんどつけられず、月の手取りは14万円に落ち込んだ。

コメント4件コメント/レビュー

いや、逆に小泉以降、社会を破壊しつくすのが日本の為政者の目標になっているのでしょう。悪いことをした人間をかばわれるのも困るが、証拠がなくて起訴を出来なかった同じ党の人間を、悪口をマスコミで言いふらすことで印象を悪くして、起訴に持ち込むなんて子供のいじめそのままの行動を首相がやっちゃうんだし…。映画「シッコ」の様な米国社会のコピーが望みなのでしょう。(2010/10/04)

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いただいたコメント

いや、逆に小泉以降、社会を破壊しつくすのが日本の為政者の目標になっているのでしょう。悪いことをした人間をかばわれるのも困るが、証拠がなくて起訴を出来なかった同じ党の人間を、悪口をマスコミで言いふらすことで印象を悪くして、起訴に持ち込むなんて子供のいじめそのままの行動を首相がやっちゃうんだし…。映画「シッコ」の様な米国社会のコピーが望みなのでしょう。(2010/10/04)

現場の声は、請求しないと何も伝わらない。とすると、上司に嫌味を言われようが、実際に一生懸命やって残業されたのであれば残業代を請求するか、まともな労働組合のある病院への転職を検討されるか。労組があっても、何も手当てされないこともあるので、転職も難しいのですが・・・。声をあげない限り人が増えるとか改善はありえないし。もちろん社会システムとして破綻しているという、今回の記事とても参考になるのですが、このまま泣き寝入りで体や心をいためてしまえば、何も出来なくなります。それがとても心配です。(おやさん)(2010/10/04)

 非正規(派遣)雇用の根絶を主張する政党もありますが,職種によっては今回提示されているように正職員になった方が待遇が悪化していることを理解していないようです。法律でうわべだけ対応するのではなく,このような現象が生じている原因を修正することが真の対応なのですが,現在の民主党政権には全く期待できません。(2010/10/04)

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