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異文化が交わる人間関係だから、細かいニュアンスが大事になる

「自己主張」だけでも「謙遜」だけでもダメ

  • 河合 江理子

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2010年10月12日(火)

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 前々回(「英語ができても、意思が通じるとは限らない」、前回「英語でセルフマーケティングができて仕事につながる」と、コミュニケーションについて述べてきた。これらを踏まえて、今回は英語が共通語として使われる組織内における経験を紹介していきたい。

 私が働いていたスイスのバーゼルにある国際機関のBIS(国際決済銀行)では、利害衝突を避ける「難しい状況に対処する方法」という職員向けのセミナーが用意されていた。「難しい状況」と言っているが、実際は、多くの職員が悩んでいる「難しい人間関係」をスムーズにするテクニックを教えるセミナーである。国際機関は、同僚や上司でも全く違う考え方や習慣を持つ人の寄り合い所帯である分、余計にコミュニケーションの改善に努力を払う必要があるのだ。

 コミュニケーションのスタイルとしては、大まかに分けて「Aggressive=攻撃的」、「Assertive=自分の意見を主張」、「Submissive=従属的または服従的」の3つがある。一番好ましいのは自分の意見を理論的に主張しながら、相手の主張を聞き入れて妥協点を見出すことだ。避けるべき態度は、攻撃的と服従的な態度であると教えられて、各々のスタイルを分析した。

毅然とプロフェッショナルな態度を取る

 日本では服従的な態度には、あまりネガティブなイメージがないかもしれない。それどころか、儒教の教えでは、部下は上司に従順であるべきということになっている。しかし、セミナーでは自分の思っていることを相手に伝えない「避ける」という態度も、「受身」の態度も従順的な態度と考え、避けるべき態度とされる。私も攻撃的な態度のベルギー人の上司に対して知らず知らずに、直接的なコンタクトを避けたり、自分の意見を言わずに自分の殻に閉じこもったりという防衛的な態度を取っていた。

 ヨーロッパで相手に自分の考えに気がついてもらうのを待つというという態度では自分の意見が伝わらない。それどころか、服従的な態度を取ると、自分のフラストレーションを相手にぶつける「いじめ」に遭うこともある。海外でも攻撃的な人間によるいじめ=「パワハラ(パワーハラスメント)」はある。

 その場合は「毅然とした態度を取ることが必要」「口争いはせずに、プロフェショナルな態度で接するべきだ」と教えられた。声のトーンやボディーランゲージに気をつけ、相手の目を見つめて、“I do not agree with you.”と相手にはっきりと告げる。同時に、関係悪化を防ぐために、相手と同意できる点もあることを前もって考えて告げる。仕事のうえで協力できる関係を保つことを忘れてはならない。相手の気持ちや立ち場などを想像し、相手とは同等に対峙するのだが、自分なりの戦略を考える必要がある。その想像力が大切である。

 私の元上司は、「360度評価」で部下に対する圧政的・攻撃的な態度が問題になった上司であった。360度評価というのは、多面評価とも言われ、通常の上司からだけの評価ではなく、部下や同僚、仕事で関係のある他部門の担当者などから評価される評価制度である。「僕はあなたの領地で働く農奴ではない」とケンカして辞めた同僚さえいた。

 その上司は結局、そういう態度が災いして降格された。セミナーに参加して、他の部門でも、攻撃的な上司にそれを避けるために従属的な態度を取り、いじめまでにはいかないが、言葉の被害にあっている人たちが多くいることを知った。

 「上司の立場として、どうしたら攻撃的な態度を避けられるか」などについても話し合った。言葉のニュアンスの問題もある。一般的に、“You should”とか“You ought”とかという表現は避けること。そしてなるべく、“I”を使って、“I think”“I need”というように自分の責任をはっきりさせることも重要なポイントだ。

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