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あの「米中」が電池で合弁する狙い

背景には米中両政府の強力なパートナーシップ

2010年10月7日(木)

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万向集団が作った電気自動車(EV)のバス
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 右のバスは、中国浙江省の杭州市内を走る一見何の変哲もないバスだ。だが実はリチウムイオン電池を搭載した電気自動車(EV)のバスである。杭州では2004年以降、こうしたEVのバスが30台ほど走っている。供給しているのは、杭州に本社を置く中国の自動車部品最大手の万向集団だ。

 同社はこのほど同じ杭州にあるバス会社、簫山交通からEVバス100台を受注。また、現在開催中の上海万博の会場においては、巡回する電気自動車のバス75台とハイブリッド車のバス250台分の電池も供給した。

 そして今年5月には、米リチウムイオン電池メーカーのエナワン(Ener1)と、杭州に自動車に向け電池及び電池システムの製造販売を手がける合弁会社を設立すると発表した。エナワンが工場を持つ米インディアナ州インディアナポリスで行われた両社による共同記者会見には、米エネルギー庁の高官やインディアナ州知事、中国側からは中国商務省の高官、中国総領事、中国自動車工業会の役員が顔を揃えるなど、まさに合弁事業に米中両政府がお墨付きを与えた格好だった。

突然のオバマ大統領、胡錦濤国家主席による共同声明

エナワンのCTO、太田直樹氏

 「オバマ大統領が昨年秋、中国を訪問して胡錦濤国家主席と会談した直後、2人は『米中は今後、クリーンエネルギーを巡り全面的に協力していく』という共同声明を発表した。当初、誰もそんな声明発表があるとは予想していなかったので、突然の発表に多くの人が驚いた。しかし、今回、米中トップ同士が合意するということの威力を感じた」。エナワンのCTO(最高経営責任者)を務める太田直樹氏は感慨深げにこう話す。

 確かに2009年11月に発表されたクリーンエネルギーを巡る共同声明(U.S.-China Energy Announcement)は、米中が広範囲にわたって協力関係を築くことを謳っている。

 柱は7本。両国で「クリーエネルギー研究センターを設立し、今後5年間で1500万ドルを投じてクリーンエネルギー技術の共同研究・開発に取り組む」ことや、EVの開発を加速するための「米中EVイニシアティブ」、CCS(二酸化炭素の回収・貯留)を含めた環境にやさしい石炭利用を促進する「21世紀の石炭」、「米中再生エネルギーパートナーシップ」「シェールガスイニシアティブ」などで全面協力するとしている。

 特に「EVイニシアティブ」では、リチウムイオン電池の開発はもちろん、EVやEV向け電池などの試験の標準化、プラグなどの主要部品の設計の標準化を図ると同時に、12以上の都市におけるEVの実証実験、今後数年の必要な研究開発計画の策定などを目指すとしている。

 リチウムイオン電池の技術では日本が進んでいるとの声もあるが、世界1位と2位の規模の自動車市場を抱える米中が、リチウムイオン電池の開発やEV普及及びその標準化に向けてタッグを組んで動き出せば、その影響力は極めて大きい。

米国立研究所では米中の研究者で電池の開発会議

 実際、このEVイニシアティブに基づき、8月29日から4日間、米最大の国立研究所であるアルゴンヌ研究所(イリノイ州)において、米中の電池関連の研究者が約100人集まり、電池テストの標準化や今後の研究課題について検討する会議が開かれた。研究員に2500人以上の博士を抱えることでも知られるアルゴンヌ研究所は米政府の政策のもと、現在、EV普及に必要とされるリチウムイオン電池の研究開発 を進める中心的存在である。

 こうした中、米電池メーカーと中国の自動車部品最大手の杭州における合弁事業が今、立ち上がろうとしている。現在、両社の間で合弁会社設立のための最終段階の詰めの交渉が進んでおり、「万向集団が既に昨年、新工場を立ち上げたので、来年早々にも当社の生産技術、ノウハウをこの工場に投入し合弁事業としてスタートさせる」と太田CTOは話す。

 エナワンは、米ナスダック市場に上場しているリチウムイオン電池メーカーで、伊藤忠が約5%出資している。2004年にエナワンと米部品大手のデルファイと自動車向けリチウムイオン電池の開発、製造、販売をする会社としてエナデル(EnerDer)という会社を設立、事業を展開していたが、この9月エナワンがEnerDelを全面的に吸収した。エナワンは、昨年米政府から環境車向け電池事業の助成金として1億1850万ドルを得たのを機に現在、第3工場をインディアナ州に建設中で、既に、ノルウエーの電気自動車メーカー、シンクなどに電池を供給している。ちなみに伊藤忠商事はこの7月、シンクに約4%出資した。

 一方、万向集団とはいかなる会社なのか。

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「あの「米中」が電池で合弁する狙い」の著者

石黒 千賀子

石黒 千賀子(いしぐろ・ちかこ)

日経ビジネス編集委員

日経BPに入社後、英LSEに留学し修士取得。日経ビジネス、日経ナショナルジオグラフィック、日経ベンチャーを経て、2003年日経ビジネスに編集委員として戻る。主に、本誌の「世界鳥瞰」の欄を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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