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尖閣問題における中国の強硬姿勢は両刃の剣

日本は自衛力、日米同盟、東南アジア諸国との連携強化に進め

  • 飯田 将史

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2010年10月7日(木)

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中国の漁船が海保の巡視船に接触

 2010年9月7日午前、日本の領土である尖閣諸島の久場島の領海内で、日本政府の許可を得ず、違法に操業していると思われる中国漁船を海上保安庁の巡視船「よなくに」が発見した。「よなくに」が法令に基づき退去勧告を行ったところ、この中国漁船は「よなくに」に船体を衝突させ、逃走を図った。その後この中国漁船は、領海内で海上保安庁の巡視船「みずき」にも接触した。最終的には、海上保安庁が停船させた上で、立ち入り検査を実施した。

 翌8日には、海上保安庁が中国漁船の船長を公務執行妨害の容疑で逮捕した。漁船とその他14人の船員も法令に基づき拘束した。

船長の逮捕に対して厳しい反応をみせた中国

 こうした海上保安庁の対応について、中国側は極めて厳しい反応を見せた。中国外交部は8日に日本の丹羽宇一朗大使を呼び、尖閣諸島に対する中国の領有権を主張した上で、今回の海上保安庁による漁船の拿捕と船長の逮捕は「不法」であり、船員と漁船を速やかに解放すべきであると要求した。

 10日に石垣簡易裁判所が船長に対する10日間の勾留を認めると、楊外交部長が再び丹羽大使を呼んで強く抗議した。翌11日には、同月中旬に予定されていた東シナ海におけるガス田の共同開発に関する条約交渉を一方的に延期。12日未明には外交担当の戴秉国・国務委員が深夜に丹羽大使を呼び出し、日本政府に「賢明な政治的判断」を下すよう要求した。

 中国側の激しい抗議に対して、日本側は日本の法令に基づいて粛々と対応するとの立場を崩さず、19日には石垣簡裁が船長勾留の10日間延長を認めた。これを受けて中国は対応をエスカレートさせ、閣僚級の交流停止、上海万博への日本の青少年招待の延期などを行った。21日には国連総会に出席するため訪米していた温家宝総理が船長の早期・無条件の解放を要求し、拒否された場合にはさらなる対抗措置を取る用意があると明言した。その後も中国は日本に対するレア・アースの輸出を停滞させたり、日本企業の社員4人を拘束するなど日本への圧力を高めた。

 こうした状況の中で、9月24日、那覇地方検察庁は船長を処分保留で釈放することを突然発表。翌25日に船長は中国政府のチャーター機で故郷へ戻り、「英雄」として迎えられた。船長は「再び釣魚島へ漁に出る」と発言したと報じられている。
 

中国が強硬姿勢を取った4つの理由

 今回の事件で、日本のみならず周辺諸国や国際社会に強い印象を与えたのは、中国が極めて強硬な対応を取ったことであった。中国が一漁船長の逮捕に関してここまで強硬な対日姿勢を取った背景には、以下のような理由があるだろう。

 第1は、中国の国内において、海洋権益を擁護する必要性に対する意識が高まっていたことである。昨年来、南シナ海における領海や排他的経済水域などをめぐって、中国は東南アジア諸国と対立を続けてきた。今年に入ってからも、漁政局の漁業監視船が南シナ海における中国漁船の操業を護衛したり、北海艦隊や南海艦隊がこの海域で大規模な演習を行ったことが大々的に報道された。

 また、米韓海軍の合同演習をめぐり、米空母ジョージ・ワシントンが展開する海域をめぐって、中国は自国の安全保障を脅かすものとして、ジョージ・ワシントンが黄海へ進入することに強硬に反対した。このように、周辺海域における海洋権益や安全保障に関する中国国内の関心が高まっていた中で、中国にとって領有権にからむ今回の事件が発生したのである。

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