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主導権を狙うアメリカ、したたかに便益を求める欧州

世界で始まったスマートグリッド実現競争《前編》

2010年10月25日(月)

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 これまでの私のスマートグリッド論は、巷で言われている話を最も大きなサイズでまとめた将来の見取り図である。私は電力システムに非連続のイノベーションが起きると確信しているが、それは最も「過激な」部類に入る予想であり、現時点ではほとんど実現されていないのも事実である。

 一方で、様々な分野の企業が新しいビジネスに参入するために、各国政府が環境対策の切り札として、競ってスマートグリッドに取り組んでいるのも、また事実である。その方向性は、総論としてはスマートなエネルギー需給を実現するという点で一致しているが、各論としては大きな幅がある。今回と次回は、世界の主要国がどのようにスマートグリッドに取り組んでいるのか、具体的に見ていくことにしたい。

IT・新興企業主導で盛り上がるアメリカ

 スマートグリッドと言えば、一番盛り上がっているのはアメリカであろう。米IBMは「スマート・プラネット」という全社戦略を掲げ、その代表例であるスマートグリッドについて世界各地で実証実験に参加している。米グーグルは「パワーメーター」というソフトウエアを無償配布し、家庭にいながら電力消費をパソコン上で見られるようにすることを目指している。米インテルや米TI(テキサス・インスツルメンツ)は、スマートメーターなどに使われる半導体の売り込みに躍起になり、米アクセンチュアも情報システムによる電力ビジネスへの参入を目指している。

 このように、IT(情報技術)企業と呼ばれるもので、スマートグリッドに関心を示していないものは皆無と言ってよい。それは、第1回のコラム(「スマートグリッドは、いったい何が凄いのか?」)で説明した通り、スマートグリッドが電力網のIT化と捉えられているからだ。

 と同時に、スマートグリッド分野に多額のベンチャー投資が集まり、新興企業が勃興している点も、アメリカの特徴である。AMI(Advanced Metering Infrastructure)関連のサービス分野では、2002年設立の米シルバースプリングネットワークス(SSN)が、グーグルのベンチャー投資ファンド「グーグル・ベンチャーズ」の第1号案件になった。2003年設立の米グリッドポイントは、既に2億ドル以上の資金を調達している。このため、スマートグリッド分野の盛り上がりが、IT革命の時に一部で生じたようなバブルではないかとの指摘もある。

 これらの新興企業の経営者はIT分野の経験者が多く、ビジネスのスタイルや発想法までIT革命時代を彷彿とさせるものがある。例えばSSNやグリッドポイントは、自らが得意とするサービス・ソフトウエア分野に特化し、その提供に必要となるスマートメーターなどの中核機器は他社製品を使うなど、「パートナー企業」との水平分業的な連携を徹底している。ウェブサイトでSSNは「スマート・エネルギー・プラットフォームが、オープンなIPベースのネットワークインフラである」ことを強調し、「スマートグリッドは、エネルギー効率化のためのインターネットとして機能する」とまで明記している。

 そのほか、太陽光発電の分野では、1999年設立の米ファーストソーラーが発電セルの生産量で2008年にシャープを抜いて世界2位となった(IEA=国際エネルギー機関、“Trends in Photovoltaic Applications”、2009年)。またEV(電気自動車)の分野では、日本の自動車メーカーに対して出遅れたビッグスリーではなく、2003年設立の米テスラモーターズが3秒で時速100kmまで加速する高級スポーツカーを販売しており、2010年5月に社長即決でトヨタ自動車が5000万ドルの出資を発表したことが話題になった。

オバマ政権はスマートグリッドでグリーン・ニューディール

 このようにアメリカでは、既存のIT企業や新興のベンチャー企業によってスマートグリッド市場が立ち上がりつつあるが、その背景に政府の政策的後押しが存在する点も見逃せない。バラク・オバマ米大統領は、いわゆるグリーン・ニューディール政策を掲げ、その中核にスマートグリッドや再生可能エネルギーの普及を据えている。

 2008年の大統領選挙期間中に発表された“New Energy for America”では、今後10年間でクリーンエネルギーに1500億ドルを投資し、500万人の雇用を生み出すとし、2015年までに100万台のPHV(プラグインハイブリッド車)を普及させ、2025年までに電力の25%を再生可能エネルギーで賄う目標を掲げ、スマートグリッドへの投資も明記した。2009年の政権発足後には、景気刺激策としてARRA(アメリカ復興・再投資法)が可決され、スマートグリッドに45億ドルが割り当てられた(※1)。

 ※1 投資助成や実証実験など「送電網の近代化」に対して45億ドルのほか、ビルの省エネ化など「エネルギー効率化」に120億ドル、先端蓄電池の開発など「運輸」に28億5000万ドル、バイオマスや太陽光など「再生可能エネルギー」に16億4000万ドルとなっている(米エネルギー省ウェブサイトより)。

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