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道路を守るコンクリ補修材

アルファ工業(横浜市、工業用接着剤の製造・販売)

2010年10月20日(水)

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コンクリートのひび割れを補修するエポキシ樹脂系の接着剤を開発した。橋梁や高速道路など国内建造物の老朽化によって需要が増え、売り上げを伸ばす。フィリピンの大型ダムの補修でも使われ海外事業者からも注目を集める。

アルファ工業の本社にある開発室で、エポシキ樹脂の接着剤を手にする大井川幸彦社長(写真:大槻純一)
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 高架鉄道や橋げたなどコンクリート構造物の老朽化に伴って、コンクリート片の落下が問題になっている。公共工事が減少する中、いかに既存のインフラを整備するかが課題だ。

 こうしたコンクリートの補修に使う工業用の接着剤を製造、販売するのが横浜市にあるアルファ工業だ。エポキシ樹脂を使った200種類以上の製品を開発して、特許件数は出願中も含めるとこれまでに28を数える。中でも東日本、中日本、西日本の高速道路3社と共同開発した「アルファテック380」は、ひび割れ個所の表面にハケで塗るだけで、毛細管現象によりひびの奥まで接着剤が入り込む。

 アルファ工業の年間売上高8億3000万円(2010年7月期)の20%程度を占める主力製品で、2000年に特許出願し2006年に登録された。

表面に塗るだけの手軽な接着剤

 従来の接着剤では特殊な注入機を使いひび割れに対処する。0.2mm以下の微細な割れ目に入れることが難しく、奥まで届かなかったり、揮発してしまうこともあった。上向きに塗ると垂れてしまうことも多い。作業も煩雑になる。

 一方、アルファテック380では、ペンキを塗る感覚でコンクリート表面を塗るだけ。アルファ工業の大井川幸彦社長は「今まで1週間かかっていた作業が1~2日で終えられる」と誇らしげに語る。接着性能の高さだけではなく、作業コストも下げられる。

 このアルファ工業のエポキシ接着剤に目をつけたのがフィリピン政府だ。

 アルファ工業は横浜市の臨海地区にある。京浜工業地帯の再開発地区で、横浜市が研究開発型中小製造業などの集積のために造成したファクトリーパークに2002年から居を構える。

 ここに昨年の夏、フィリピン公共事業道路省の担当者が現地ゼネコン担当者とともに訪ねてきた。「フィリピンのインフラ整備に御社の接着剤の利用を検討している」と話すと製造過程や実験装置を見学し、接着剤の特徴を確認した。その後、日本の国際協力機構(JICA)とフィリピン政府が共同で進める事業での採用が決まった。

 フィリピンでは2002年にも大規模補修工事に加わったことがある。高さ200m、幅1.2kmに及ぶ巨大なサンロケダムで、合計20kmになるひび割れを接着剤で補修した。売り込み当初は「塗るだけなんて信じられない」と取り合ってもらえなかった。しかし、現場で実験をして効果を見せると一気に話が進み、3カ月後には契約がまとまった。工期は1カ月程度で作業人数も少なくて済んだ。

阪神・淡路大震災で依頼が殺到

 大井川社長がアルファ工業を創業したのは1977年のこと。米国からエポキシ樹脂製品を輸入し、ディーゼルエンジン発電設備の基礎補修業務を始めた。機械設備は振動などの影響で長年使うと土台に亀裂が走る。こうした機械設備の土台の補修には当時、セメント系の材料を使うことが多かった。

 しかし、米国ではセメントに代わりエポキシが主流となっていて「日本も必ず変わる」と大井川社長は考えた。勤めていた外資系商社を辞め横浜市でニュージーランド人の仕事仲間と2人で起業した。

 読みは当たり日本鋼管(現JFEスチール)や三菱重工業の発電設備の補修を請け負うなど、業務を拡大した。工法で独自のノウハウを蓄積して89年からは自社製品の開発に乗り出した。

 その時、知り合いの紹介でフィリピン人のファービニア・ロメロ氏を開発技術部に迎えた。アルファ工業の開発陣は現在4人で、ロメロ氏がマネジャーを務める。ロメロ氏はエポキシ技術に詳しく、大井川社長と二人三脚で次々に新商品を開発していった。

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「道路を守るコンクリ補修材」の著者

宇賀神 宰司

宇賀神 宰司(うがじん・さいじ)

日経ビジネス記者

日経クリック、日経ベンチャー(現・トップリーダー編集などを経て、2007年1月から日経ビジネス編集記者。流通、中小ベンチャー、マネジメント、IT(情報技術)を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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